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スズキ 二輪事業本部 二輪開発部 レース車両開発課
プロジェクトリーダー 課長・寺田 覚氏
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スズキ 二輪事業本部 二輪開発部 レース車両開発課
GPチーム技術監督 課長代理・河内 健氏。
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-: まずは2015年のレビューとして、開幕前に立てていた目標はどの程度到達できましたか?
寺田:「ランキングはアレイシ(・エスパルガロ)が11位、マーヴェリック(・ヴィニャーレス)が12位でしたが、単純に言えば、もう少し上を目標にしていました。トップテン圏内で、他のワークスの直後を目指していましたが、そこには少し届きませんでした」
-: 河内さんも、目標は寺田さんと同じものだったのですか?
河内:「そうですね。共有して同じ目標を立てていたんですが、及ばなかったですね」
-: 目標に到達できなかった、他のファクトリー勢に離される結果に終わってしまった原因はどういうところにあると分析しているのですか。
寺田:「加速力という点では、もう少し改善しなければいけないと思っています。そこがまず一番。エンジンパワーだけではなく、車体や電子制御も含めて、特に低速コーナーからの加速力を上げることが課題です」
-: では、ランキング11位と12位だった両選手のパフォーマンスはそれぞれ、どういうふうに評価をしていますか。
寺田:「ご存じのとおり、アレイシは熱血漢で感情も比較的ストレートに出すタイプです。順位がいいとハッピーだし、逆にリザルトが悪いときはとても不機嫌です。結果としてはとてもよく走ってくれたと思っています。予選では特にしっかりパフォーマンスを発揮してくれました。レース本番では、我々が弱点を克服できていればもう少し上を狙えたと思います。ライダーのパフォーマンスは期待どおりでした。マーヴェリックはルーキーイヤーでしたが、乗り方も着実に勉強して習得してくれました。いつも落ち着いてステップアップしてくれて、アレイシと比べても遜色ない走りで彼の前に行くときもあったので、マーヴェリックも期待どおりのパフォーマンスだったと思います」
-: レースウィーク中に両選手から話を聞かせてもらう際、エスパルガロ選手についてはまさに今、寺田さんの話にあったように感情をストレートに出す姿が印象的でした。我々に対してもそうなのだから、内部の皆さんには、さらにストレートだったのではないかと思うのですが。
寺田:「もちろんライダーですから、改善しなければならないところは我々にズバッと言ってもらうのが正しい姿勢だと思います。しっかりとそういう話をしてくれていましたね」
-: エスパルガロ選手からは、シーズンを通じてどういうリクエストが多かったのですか?
寺田:「我々が弱点と捉えているところがやはり、そのまま彼からのリクエストでした。加速力ですね」
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-: 一方のヴィニャーレス選手は、ヨーロッパでは高い資質の持ち主として非常に期待されており、じっさいにコメント内容も年齢のわりには非常に冷静な選手だといつも感じていたのですが、お二人から見て、この一年の彼の成長はどうでしたか。
河内:「予想以上でした。慣れるのにもう少し時間がかかるかな、もしかしたら一年くらいは勉強の期間が必要かなと思っていましたが、最初の4~5戦を経て、第7戦のカタルーニャくらいからは普通にMotoGPのバイクに乗っていました。我々が想像していた以上で、非常に頑張ってくれたと思っています」
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-: 今、話の出たカタルーニャGPは、スズキにとって予選のパフォーマンスという面でエポックなレースだったと思います。このカタルーニャGPを含めて、2015年はどのレースが印象に残っていますか?
寺田:「予選から言えば、第3戦のアルゼンチンでアレイシがフロントローを獲得してくれましたし、カタルーニャでは予選で1-2になりました。これはライダーのがんばりだけでは獲れないグリッドなので、オートバイが持つパフォーマンスのアピールもできたと思っています。レースとしては、両ライダーとも6位が最高位ですが、決勝レースの中身、リザルトという意味では第16戦のフィリップアイランドがベストレースだったと思います」
河内:「皆さんからはカタルーニャの予選1-2を言っていただくんですが、それよりも第3戦アルゼンチンでフロントローに行けたときのほうが、自分では驚きというか喜びが大きかったですね。あのときは二人ともQP2まで進めたので、『やっと普通のレースをできるようになった、これを続けていかなければ』と思いました。じつは第2戦のオースティンでもふたりともQP2に行ってるんですが、アルゼンチンの予選のほうが私は印象に残っていますね。決勝はリザルトで見るとフィリップアイランドが一番かな。マーヴェリックについては、最後は転倒しましたが第11戦ブルノで初めて中段グループで走れたので、内容の濃いいいレースだったと思います」
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-: ライバルメーカーよりもワンステップ柔らかいコンパウンドのタイヤを使えたことは、予選のタイムアタックで有利に働く面もあると思うのですが、決勝レースでは有利な面と不利な面が相半ばすることもあったと思います。実際に戦っていく上ではいかがでしたか。
寺田:「予選では確かに、一発タイムを出しに行くときはソフトを選んでいることが多かったのですが、決勝についてはあまり恩恵を感じなかったですね」
河内:「バイクが旋回性重視から、レースをするにつれて加速性重視でなければ戦えないということがわかってきて、それを一年通じて徐々に変えていったシーズンだったんです。最初はソフト側のタイヤでエッジグリップがあれば一発タイムは出るしハッピーだったのですが、後半になればその柔らかいタイヤが逆に機能させづらい状況になることもありました。実際に、最終戦のバレンシアでアレイシが予選4番手のタイムを出したときは、僕らにとってのハード側だったんです。そちらのほうが結果が良かったということもあって、(ワンステップ柔らかいコンパウンドのタイヤを履けることは)良いところもあったし悪いところもあった。他陣営と同じタイヤでパフォーマンスを出せる、ということは良いことだと思うんですよ、僕らだけヘンな方向に行っているわけではない、ということがわかったという点では。シーズン序盤はソフトタイヤで助かった面はありますが、シーズン中盤からは、ソフトではなくても良かったんじゃないかと思っています」
-: シーズン中盤以降になると、エスパルガロ選手はセッション終了後に、「ソフト側のタイヤをうまく使えなかった」とよく言っていたのですが、それはいまの河内さんの話からすると、ハード側のタイヤで走れるバイクに変更していったから、ということが理由なのですか。
河内:「バイクもそういう方向に変更されていきましたからね。硬いほうのタイヤを履くことを目的にしていたわけではありませんが、バイクを加速させようとするとそちらのチョイスのほうが良かったのだろうな、と思います」
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-: 旋回性を重視したマシンから加速で勝負するマシンに変わっていったのは、どこか分岐点になったレースがあったのですか?
河内:「そうですね……、ここで、というレースがあるわけではないんですが、レースを重ねていくと、予選で一発タイムは出るけど、決勝で皆と並んで走ると我々の速いところでは前が詰まっていて出られなくて、立ち上がりでは置いていかれてしまう。そういうレースが続くと、『我々はもっと加速で稼がなければよそに勝てないね』ということがわかって、そこを目指して少しずつ変えていきました」
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-: それが見えてきたのはどのあたりのレースでしたか。
河内:「序盤3戦で、これは厳しいなあ、とわかりましたね(苦笑)」
寺田:「アッセンやザクセンリンクでは、細かいサーキットの割に苦戦をしたので、そういうレースでは、加速を強くしなければいけないということを改めて強く感じましたね」
-: 旋回性から加速性を重視することになって、部品の製作など開発の方向性も変わっていったのですか?
河内:「大きくは変わってないですね。ただ、僕らのコンセプトとしては、旋回性を武器にしながらそれをしっかりと加速につなげていく、という考え方なので、そのうちの加速の占めるウェイトが若干大きくなっていった、ということです」
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-: 加速性の向上は、一年間戦って、自分たちの狙っていたところにどれくらいまで近づけましたか。
寺田:「結果的にはまだ課題として残っています。来年に向けたオートバイ作りでも、これは大きく改善していくポイントのひとつなので、ライバルに追いつけるところまで行けたのかというとけっしてそうではなくて、まだまだ弱点だと思います」
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-: 開幕前のライバル勢との差が縮まってきた実感は?
寺田:「そこは縮まっていると思います。開幕戦の頃は、自分たちが想定していたところにも届いていなかったような状態でスタートしたので、その意味ではシーズンを戦っていく中で加速力を重視するマシンに持って行きながら、差は縮まってきたと思います」
-: 一年を戦ってきて、開発は想定どおりに進みましたか?
寺田:「エンジン出力という面では、それなりにステップアップできたと思います。ただ、我々の弱点はもっと伸びしろが必要だったんだろうな、と感じています」
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-: 2015年のレギュレーションでは、スズキはライダー一名あたり12基までエンジンを使っていいことになっていましたが、それぞれ10基ずつでしたよね。
寺田:「シーズン終盤に、エンジンは換えていないけれども、チェックしたいことがあり、シール(封印)を切って確認したことがあったんですよ」
-: いずれにせよ、レギュレーションで規定する12基をフルに使用する必要はなかった、ということですか。
寺田:「そうですね。2016年には12基も使用できないことはあらかじめわかっていたので、我々としても新しいレギュレーションに対応できることを念頭に、耐久性の向上に取り組んでいました。また、我々はシーズン中にエンジン仕様のバージョンアップが許容されていたので、そのバージョンアップに伴って使用基数が増えていった、という側面もあります。仕様を変更しなければもっと少ないエンジン数でも対応できると考えています」
-: 2016年のレギュレーションでは、ライバル陣営が7基であるのに対してスズキとアプリリアは9基までエンジンを使用できますが、耐久性という面だけに限れば、何基くらいでシーズンを回せそうですか。
寺田:「7基で大丈夫です」
河内:「そうですね。7基で充分、行けます」
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-: 2015年のシーズン初頭と最終戦では、エンジンパフォーマンスはどれくらい向上していましたか?
寺田:「そこは言いづらいですね。何パーセント、というとだいたいわかってしまいますしね(笑)」
河内:「ま、かなり上がっていますよ」
-: エンジンのバージョンアップは計画どおりに進んでいきましたか。
河内:「そうですね。そこに関しては計画どおりでした」
-:「そこに関しては」ということは、狙いどおりにいかなかったこともあったんですか?
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河内:「バージョンアップの仕様が入ったときに、たとえば現場は20馬力ほしいけれども開発状況などで10馬力だよ、という場合もあるわけじゃないですか。欲を言えばキリが無いけれども、もっとほしかった、というところはありますね」
寺田:「目標としていた成績にはちょっと届かなかったので、成績を挙げるためにはもっと性能を上げたい、という気持ちはありますよね。だからどうしても、表現としては『足りなかった』という言い方になってしまう面はあります」
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-: たしかに日々の取材でも、エスパルガロ選手はエンジンパワーの不足をよく指摘していました。その一方で、話題が電子制御になると、シーズンが進むにつれ、我々に対しては「だいぶ良くなってきた」と話すようになっていたのですが、レース現場の実感としても、制御の進歩は順調でしたか。
河内:「そうですね。ある程度順調にバージョンアップしました。あとは、現場のスタッフがアレイシの好みを少しずつわかってきた、という面も大きいと思います」
-: シームレスシフトは2015年シーズン中には投入されませんでした。シームレスとコンベンショナルなトランスミッションとの差は、やはり大きいと思いますか。
寺田:「大きいですよ。計算上でも差は明らかですからね。最終戦後に実施したセパンサーキットのプライベートテストで使用して、ライダーもその差を実感していました。我々の弱点だった加速面の助けには確実になります。コンベンショナルなギアなら、シフトチェンジの際の何十ミリ秒の間に出力がカットされる部分が、シームレスでは極力少なくなるので、加速時間は確実に長くなるわけです。コーナーのなかでシフトアップしていくときなどは、操作が安定するという意味でもシームレスの貢献は大きいと思います。極端なことをいえば、少しマシンを起こしてからシフトアップしなければならなかったものが、バンクした状態のままでも確実にシフトアップしていけるわけですから」
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-: 先日のセパンテストで試したトランスミッションは、アップ側・ダウン側ともシームレス化されていたのですか。
寺田:「アップ側だけです。ダウン側も、2016年シーズンには間に合わせるつもりで進めています。次のテストで用意できるかどうかはともかく、開幕時には対応している予定です」
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-: 燃料容量についても、2015年は24リットルまで使えることになっていましたが、実際には24リットルも必要でしたか?
河内:「たいていのサーキットは22リットルで行けますね」
-: 22016年のレギュレーション(全車22リットル)には、すでに対応できているわけですね。
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河内:「今年ラクをさせてもらった分だけ、多少は気にしなければならないかもしれませんが、それでも大丈夫だろうという予測は立っています」
-: 2015年の18戦を戦い終えて、両選手のマシン仕様はどの程度異なっていたのですか?
寺田:「ベースは同じですよ。車体のセッティングやエンジンのマッピングはそれぞれ好みがあるので、制御の効かせ方などで異なる面はありますが、基本は同じでセッティング違い、という程度です。両者に大きく別の部品を入れるというような差はなかったですね」
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-: 2016年からはECUソフトウェアが統一されて、タイヤもブリヂストンからミシュランへ変更されます。この大きな変更はスズキにとって有利に働くと思いますか?
寺田:「うーん、どうでしょうか……。たとえばミシュランについては、我々のバイクに少し合っているのかなと感じるところはあります。ECUソフトウェアの変更については、そのセットアップを全員がゼロからやらなければならないわけですよね。そういったところは開発力の差が出る部分なので、皆が同じものを使うからといっても、我々に必ずしも有利に働くわけではないと思います。ただ、今の共通ソフトウェア製作はホンダ、ヤマハ、ドゥカティの三社が進めてきたもので、我々とアプリリアは一歩引いている立場です。その意味では、用意ドンで全員がセッティングをスタートするとはいっても、他の三メーカーのほうが既に知っているところが多い、という面もなくはないんですよ」
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-: バレンシア事後テストの際に、共通ECUソフトを搭載したマシンに乗ったライダーたちのなかには、「バイクのパフォーマンスが数年前に戻ったようだ」という印象を述べていた選手もいました。共通ソフトのパフォーマンスは、あの当時の性能レベルなのですか?
寺田:「あの段階ではセットアップがまだ充分に進んでいないから、そう感じた面もあったのかもしれません。今年までのソフトウェアは各社それぞれ違いがありましたが、我々にとっても、それまでできていたことができなくなる、という面はもちろんあります」
-: 2015年のソフトウェアよりも、共通ソフトは不便なところが多くなるのですか。
寺田:「うーん……、それは今後もうちょっとセットアップを進めてみなければなんともいえないですね。ただ、確かにやれなくなることはあるので、難しくなる部分はあります」
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-: レースを運営するDORNAの考え方としては、共通ECUを導入することでレースをもっと緊密にしようという狙いもあると思います。2016年のレースはもっと接近すると思いますか?
河内:「他社のコメントを聞く限りでは、制御に関してはある程度近くなるのかなとは思います。でも、それが即座に実力伯仲のレースになるのかというと、そうでもないように思います」
-: 先ほど、寺田さんがおっしゃっていた、「ミシュランはスズキに合っている面もある」ということについて、もう少し細かく教えてもらえますか。
寺田:「2015年はリアのグリップに少し苦労をしていた部分があって、それがつまり加速の課題につながるんですが、その点でミシュランのリアタイヤはグリップがかなり良いので、それが我々に合っているのかな、と思います」
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-: 最終戦終了後にドゥカティのジジ・ダッリーニャに対して、今回のレギュレーション変更は彼らにとって有利になるのか不利になるのか、と訊ねた際、彼は「2016年も2015年と同じレギュレーションだったなら、我々はホンダとヤマハにさらに肉薄できていただろう」と話していました。今回のレギュレーション変更がなければ、スズキも2016年はライバル陣営にさらに肉薄できていたと思いますか。あるいは、先ほどの質問の繰り返しになりますが、この新レギュレーションはスズキにとって有利不利のどちらに作用すると思いますか。
寺田:「どうでしょう……。タイヤの要素がどう働くかは開幕してみなければわかりませんが、ウチのバイクに合っていてくれればいいなあ、という期待はあります。制御に関しては、先ほども言いましたが、用意ドンでやるにしても開発力のスピードの差が出るでしょうから、不利かどうかはともかく、けっして有利になるとはいえないでしょう」
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-: 開発スピード、ということに関しては、部品の種類によって異なるとは思いますが、2015年の開発は、リードタイムの面でも充分でしたか。
寺田:「選手の求める開発スピードは、それこそ『次のレースに間に合わせてほしい!』というレベルなので、そこにはさすがに応えきれてないんですが……。たとえばシームレスは今年入れることができなかったとか、加速力を上げることができなかったという点でいけば、もう少し行きたかったですね」
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-: 今、自分たちのバイクに点数をつけるとすれば、何点くらいですか?
寺田:「65点くらいですか? 70点は行かないな。80点や85点なら合格圏で、ライダーががんばってくれればライバルと競えるレベルだと思うんですが」
-: 足りない35点分は、課題の加速力とさらに何がありますか?
河内:「今年、一戦だけですがマシントラブルでリタイアしているんですよ。現場では細心の注意を払って細かいトラブルが出ないようにコントロールしているんですが、そういうところも、ワンランク上げていかなければならないと痛感しています。予選はライダーのがんばりとタイヤのグリップで一発タイムを出すことはできますが、決勝のレースディスタンスは開発力を含めたオートバイの力が予選以上に結果に反映されると思うんです。そこでトラブルを出さないためのバイクの質、それをワンステップ上げないと結果がついてこないと思っています」
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寺田:「順位的には今年実現できていないこと、ワークス勢の中で走り、表彰台を狙っていきたいですね。シーズンのなるべく早い段階で、半ばごろまでには達成したいと思います」
-: まったく別の話題になりますが、2016年の8耐にMotoGPのチームが関わる可能性はあるのですか? スズキのファクトリー参戦はともかくとしても、8耐でスズキ系のチームにたとえばエスパルガロ選手が合流すれば、日本のファンも欧州のファンもとても盛り上がると思うんですが。
寺田:「そこはまだ何も決まっていなくて、お話しできることは何もないんですよ」
-: 1月にテストライダーで海外テストをする予定はあるのですか。
河内:「ないですね。次のテストはセパンで行う2月のIRTAテストです」
寺田:「そうですね。竜洋でシェイクダウンしたものをセパンに持って行く予定です。がんばりますので、楽しみにお待ちください」
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二輪事業本部 二輪開発部 レース車両開発課のメンバー。写真向かって右から車体設計リーダー河田晃一郎さん。エンジン設計リーダー山田郁夫さん。テクニカルマネージャー河内 健さん。プロジェクトリーダー寺田 覚さん。車両実験リーダー益田大治郎さん。エンジン実験リーダー馬場和俊さん。電装設計リーダー渡邊英章さん。
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