EICMA2015初日、とはいっても前日にドゥカティ、ホンダ、ヤマハのカンファレンスが行われたので自分的には2日目なんですが(詳細はコチラ→http://www.m-bike.sakura.ne.jp/?p=102648)……EICMAの前半2日間はプレス&関係者限定公開日。朝8時30分に会場がオープンして、9時から18時まで、約30分刻みで車両&アクセサリーメーカーのプレスカンファレンスが続きます。
■取材レポート:河野正士
昨年まで直列に並んでいた馬鹿デカイ6つの会場。端から端まで歩いて移動するだけで10~15分ほど掛かっていました。それをタイムスケジュールに合わせて行ったり来たり……端から端に移動して、また端に戻るなんてことはいつものこと。しかし今年は並列に6つの会場が並び(完全に並列じゃないんですけど)、移動は若干楽になりましたが、それでも移動には5~10分ほど掛かります。プレスデーなので、普段は着ないジャケットと革靴なんかを履いちゃうので&外は息が白いほど寒いのですが会場内はしっかり暖房が効いているので、移動してカンファレンスに着くと5分ほど汗が止まりません……。
という言い訳をしっかりしたので、今日もカンファレンスの様子でご勘弁を、何とぞ……今回はカンファレンスの中から、いくつか抜粋してご紹介します。
またプレスカンファレンスはどこに陣取るか、また次の会場に移動するタイミングをどう計るかがポイント。判断を誤ると狙っていた車両が遠くでアンベールされたり、前側に陣取れなくて写真が撮れなかったり……賭け事のようにシルエットで判断するのですが、なかなか難しいです。
■BIMOTA
イタリアです。ミラノです。ビモータです。 |
2015EICMAプレスカンファレンスのキックオフはビモータから。ブースそのものは非常に小さいのですが、イタリアンハイブランドと言うことで、たくさんのプレスが来場。で、音楽が鳴るとそれに合わせてバレリーナが登場。ベールの掛かったマシンの周りを踊ります。で、そのままアンベール。登場したのはドゥカティ・ディアベルのエンジンを搭載した「IMPETO」。テージなのにカフェレーサー、その名もずばり「Tesi 3D Cafe Racer」。そしてアンベール後に、ブース中央に置かれたフレームとエンジンだけの「SUPERCHARGER」です。このスーパーチャージャーはKITになっていて、ビモータが採用するドゥカティ用に開発されたそうです。ゆくゆくは、車両にセットして販売したいが、その時期や価格などは未定とのこと。
BIMOTA IMPETO。DIAVELのツインスパークLツインエンジンを搭載するハイパーネイキッド。OHLINSサスにBREMBOラジアルマウントキャリパー、OZ Racingライトウェイトホイールと“逸品”パーツのてんこ盛り。 |
出ましたこれぞビモータ。洗練されたカウルモデルを見慣れた目には、ビモータのストリート・ファイター、Tesi 3D Cafe Racerはおどろおどろしくもあります。ドゥカティの803cc、Lツインエンジン搭載。 | フレームとエンジンだけで展示された「SUPERCHARGER」。将来的にはコンプリートで販売するという。 |
■SUZUKI
GSX-R1000が生まれ変わります。今はまだ“Prototype”とされてますが、ほぼこのままで市販開始でしょう。そしてSV650は市販予定車ですね。 |
スズキは2台のマシンをアンベール。「SV650」は燃費性能の向上や「ローRPMアシスト」などを搭載したマイナーチェンジが加えられたとのこと。また注目の「GSX-R1000」は、コンセプトモデルという前置きが付いてしまいましたが、新エンジン&新フレームが採用されています。
10:00から始まるアンベールを待つワールドプレミアマシンたち。 | 「SV650」のデザインイメージ。開発コンセプトは“Back to its origin”だそうです。ちなみにGSX-R1000のほうの開発コンセプトは“No.1 Sportsbike”。分かりやすい。 |
■BMW
Rizoma BMW R nineTを筆頭に、R nineT、S 1000 XR、R 1200 R、R 1200 RS、R 1200 RT、S 1000 R、R 1200 GS Adventure、R 1200 R DarkWhite、など大挙して展示したBMW。 |
すでにネットでバンバン情報が出ている3台を発表。「C650 SPORTS」と「C650 GT」の2台のスクーターと、前方吸気後方排気の313ccエンジンを採用した「G 310 R」、そしてR nineTのバリエーションモデル「R nineT Scrambler」です。スクランブラーはFホイールが大径化されているうえに、キャスターアングルも変更されているそうです。
TMAXのライバルが新しくなりました。「C650SPORTS」と「C650GT」。松井 勉さんによる試乗インプレッション記事を、近々アップの予定です。 | R nineTをベースに開発された「R nineT Scrambler」。「Scrambler」というネーミングが今旬ワードのようで。 |
この木箱をアンベールすると、事前の予告が無かった…右の写真へ。 | G 310 Rが登場。水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ、ボア×ストローク80×62mm、313ccエンジンは、最高出力34HP/9,500rpm、最大トルク28Nm/7,500rpmを発生する。車両重量わずか158.5kg。グローバルでの300クラスの隆盛にBMWとしても黙っていられなかった、というわけ。 |
■KAWASAKI
いわゆる“コンセプトマシン”などという「夢物語」に力を入れることのないカワサキ。ターボチャージャーマシンだって展示したからには、きちんと製品化する前提でしたもんね。あくまで実際に市販するモデルが中心です。 |
このカンファレンスは、ワタクシは完全に負け組でした。出遅れた上に、他のメディアを押しのけて前方に行ったら車両はなく、邪魔だなぁと思っていた柱が布製で、それがベールだったのです。あわててそちらに行くと、ベールの中から表れたのは黒いレオタード姿のお姉さん、ではなくて「ZX-10R WINTER EDITION」。WSBKのワークスチームが、スポンサーが決まっていない冬期テスト期間に使用していた、あのグラフィックです。
邪魔だな~と思っていた↑この柱が→右の写真へ。 | 中から出てきたのがお姉さんと話題のZX-10Rでした。アンベール! |
■TRIUMPH
このところ積極攻勢に出ているトライアンフ。とはいえ、伝統や大人の嗜好を大切にする、英国のジョンブル魂ならではのマシン作りは変わらずです。 |
新型ボンネビルが大量に展示されているトライアンフブースは、新型「スピードトリプル」と「タイガー・エクスプローラー」が発表される。メインステージの両サイドにあるひな壇にそれぞれ登場すると読み、その片側近くに陣取ると、そこには「スピードトリプル」に乗った、トライアンフ・アンバサダーになったカール・フォガティが登場。大きな紙の膜を突き破って登壇するのですが、勢い余ってスタートでホイールスピンし、バランスを崩しながら登場。本人もそれをビビったようで、登壇後も近くの人に“やばかったよ”的な話をしてました。もう一方のひな壇には、俳優ユアン・マクレガーと冒険の旅「ロング・ウェイ・ダウン」に出たチャーリー・ボアマンが「タイガー・エクスプローラー」に乗って登場。ぶれぶれの写真は、ヤマを張ったのに、張り逃したヤマにあきらめが悪い自分への戒めです。
ニューSPEED TRIPLE SとRを発表。1,050cc3気筒エンジンはシリンダーヘッド、ピストン、クランクシャフトなどの見直し、“Ride-by-Wire”の採用により10%近くの燃費改善や、リニアなスロットルレスポンスを獲得したという。 | トライアンフ・アンバサダーにしてWSBで通算59勝という記録を持つのカール・フォガティが、スピードトリプルに乗って登場。 |
トライアンフTIGER 800シリーズの兄貴分、1215ccエンジンを搭載するTiger Explorerシリーズをランナップ。 |
■KTM
KTMブースの目玉は、1290 Super Dukeをベースに開発したスーパースポーツマシン「1290 Super Duke GT」。最高出力173bhp、車両重量228kg、そしてセミアクティブサス等を採用するマシンながら、Euro4をクリアし、燃料タンクは23リッターとアドベンチャー・ユースもこなしてしまうオールラウンダーでもあるという。 |
ここも出遅れてしまいました。しかし“ソーリー、ソーリー”と言いながら、なんとか前方にカラダをねじ込みました。注目は「1290Super Duke GT」でしょうか。Super Duke R譲りのハイパフォーマンスを持ちながら、旅もできちゃうKTMらしいマシン。
■HUSQVARNA
若いライダーにとって“ハスクバーナ”といえばお洒落なオフマシンブランド、そんなイメージしかわかないかもしれないが、かつては魅力的なストリートモデルもラインアップした北欧メーカー。現在ではKTMグループの傘下に入っているが、そのハスクバーナがオンロードモデルのラインナップを復活させようとしている。昨年の400クラスに続き、今年は水冷単気筒、690ccエンジンを搭載するモデルをデビューさせた。 |
昨年発表したアヴァンギャルドなカフェ・コンセプトマシン「Vitpilen 401」を彷彿とさせる「Vitpilen 701」を発表。その名前からも分かるとおり、同時に発表された「701ENDURO」「701SUPERMOTO」にも搭載されているKTM 690Duke系エンジンが使用されていると予想されます。
■AGV
AGVヘルメットといえば、やはりオジサン世代にはアゴスチーニですよね。1960年代から1970年代にかけてイタリアカラーをイメージした赤×白×緑に塗り分けたヘルメットでロードレース世界選手権で活躍しまくりました。ちなみに500ccクラスと350ccクラスで通算122回の優勝は、いまだ破られない大記録なのだそうです(ウィキペディアさん情報)。 |
AGVの歴史や、ヘルメット開発のフィロソフィーについてのプレゼンテーションがあり、最後にはジャコモ・アゴスチーニが登場。かつて実際にレースで使用していたAGV製フルフェイスヘルメットを手に、昔話も聞かせてくれました!
とゆーことで、本日の現場からは以上です。
(取材レポート:河野正士)