2015年11月17日
■スズキがEICMAミラノショーで海外向けのニューモデルを発表
スズキは、11月17日から22日までイタリア・ミラノで開催されている二輪車ショー「EICMA2015(ミラノショー)」で、海外向けのニューモデル「SV650/A」を発表、さらにコンセプトモデル「GSX-R1000」も出品した。
●SV650/A
開発コンセプトは“Back to its origin”
新型「SV650/A」。欧州、北米などで販売予定。 |
新型「SV650/A」は、既存の645cm3、V型2気筒エンジンをベースに、新排出ガス規制「ユーロ4」(欧州仕様車)を満たしながら出力と燃費性能を高め、軽量でコンパクトな車体に搭載したロードスポーツモデル。車両の細部にわたる見直しを行い、既存エンジン搭載の「グラディウス」と比較して8kg(ABS仕様車)の軽量化を実現したスリムな車体は、Vツインエンジンの力強さを引き立てるとともに、高い操縦性に貢献しているという。エンジン内にはピストンのスカート部にスズメッキと樹脂コートを施すことで、メカニカルロスを低減し燃焼効率を高めている。また、発進時や低回転域においてエンジン回転数を僅かに上げることで、発進・停車を繰り返す市街地走行などでの操作性を向上する「ローRPMアシスト」機構を採用している。また、スタータースイッチを押し続けることなくワンプッシュするだけでエンジンが始動する「スズキイージースタートシステム」も採用し、日常用途での利便性を高めている。
この「SV650」は、2016年1月よりスズキの豊川工場で生産を開始し、欧州、北米などで販売を開始する計画。
「SV650A」。こちらはABSモデル。 | 「SV650A」。カラーはSV650、SV650Aともに4色。「Metallic Triton Blue」「Pearl Glacier White」「Pearl Mira Red」「Metallic Mat Black」。 |
新設計されたエアクリーナーボックス。燃費向上に一役。クラッチカバーも一新。 | マルチファンクション・インストゥルメント・パネルを採用したメーター周り。フルLCDデザインだ。 | 車両重量はノーマルブレーキ仕様が195kg、ABS仕様が197kg。SFV650は各202kgと205kg。 |
開発コンセプトは“Back to its origin”。スズキならではのミドルクラスVツイン・スポーツにこだわったSV650の原点に戻って、再開発してみようというものだった。
こだわりの90度V型2気筒DOHC、645ccエンジンも一から見直され、60点以上のパーツが新たに作りこまれた。車体周りのパーツとも合わせれば、実に140パーツがリデザインされたという。それらは機能の向上だけでなく、8kgの軽量化にも貢献している。
このニューSV650で取り入れられた新機構のひとつが「ローRPMアシスト」(Low RPM Assist)だ。スタートや低回転時にエンジン回転数をわずかに上げてライダーのアクセルコントロールの負担を軽減してくれるシステム。また「スズキイージースタートシステム」(SUZUKI Easy Start)は、スターターボタンをワンタッチするだけで、エンジンの始動をバイクに任せられるという、四輪では一般的となりつつあるシステムで、ライダーの負担軽減を図っている。
スタイルデザインコンセプトは“Clean, Slim ans Simple”。スリム化、軽量化と合わせてクリーンなボディスタイルが目標とされた。車体周りはよりスリム化され、軽量化と合わせて機敏な運動性にも寄与。シート高785mmはクラスでもっとも低いレベルとなっている。
ちなみにグラディウスとの比較では、最高出力で3kWアップの56.0kW/8,500rpmを発生。それでいて燃費は3.48リットル/100kmとEuro4を達成している(グラディウスは1ランク下のEuro3)。
●GSX-R1000 Prototype
開発コンセプトは「No.1 Sportsbike」
コンセプトモデル「GSX-R1000 Prototype」。 |
コンセプトモデル(参考出品車)の「GSX-R1000 Prototype」は、MotoGPで培われた技術を採用することで「GSX-R1000」をさらに進化させたモデル。「GSX-R」シリーズの特長である、エンジンと車体が調和した「走る・曲がる・止まる」の基本設計を徹底的に見直し、高次元でバランスさせるべく開発が進められているという。新開発の1,000cc直列4気筒エンジンは、低中速域での出力を犠牲にすることなく高回転域での出力を高める為に、吸気VVTやスズキ二輪車初の電子スロットルなど、MotoGPレースで開発された技術を取り込んだ新機構「ブロードパワーシステム」を搭載している。また車体は、新開発のフレームとスイングアームにより、強度の最適化と軽量化が図られており、空気抵抗を大幅に低減する為にカウリングも一新された。さらに、走行条件に応じてモードを選択可能なトラクションコントロールを搭載、サーキットでの走行において有効な電子制御としてクイックシフトシステムとローンチコントロールも装備している。