2018年3月13日
Kawasaki Ninja250試乗 『250ccスポーツ普及の立役者が フルモデルチェンジで戦闘力アップ!』
■試乗&文:中村浩史 ■撮影:森 浩輔
■協力:カワサキ http://www.kawasaki-motors.com/
誰が何と言おうと、現在の250ccスポーツの盛り上がりは
カワサキNinja250Rのおかげだと思う。
2008年にデビュー、消えかけていた250ccスポーツの灯を
再び力強く灯してくれたのだ。
あれから10年。Ninjaが再びモデルチェンジ。
もういちど、250ccスポーツのトップを目指した。
2008年にデビューしたカワサキNinja250R(初代は車名に「R」がつきます)は、本当に消えかけていた250ccクラスの灯を、力強く復活させてくれた。
当時は、本当に250ccクラスがジリ貧で、スクーター人気が末期に近づき、モタードやトラッカーも目新しいモデルが少なかった時代。ちょうど排出ガス規制が刷新されたことで、たくさんの250ccモデルがカタログ落ちしたタイミングでもあった。
その中で、カワサキは新しいスポーツモデルNinja250Rを発表したのだ。
エンジンは、ZZ-R250の水冷パラツインをベースにシリンダーヘッドを新作、インジェクション仕様として排出ガス規制をパスし、GPz250R系のスチールパイプフレームに搭載。さらにNinjaシリーズ共通イメージのフルカウルをまとったスタイリングで、タイ生産として、発売価格は50万円を下回る戦略的モデルでもあった。
そして、これが大人気! 魅力的なモデルさえ発売すれば、まだまだオートバイ人気はイケるんだ、とバイク乗りにもメーカーにも教えてくれたのだ。
その後、各メーカーとも新世代の250ccスポーツを発売し、今のマーケットが成立。ホンダCBR250R(と後のRR)、ヤマハYZF-R25、スズキGSX250Rと合わせて年間販売台数1万5000~2万台近くのボリュームを持つに至った。
これはもう、Ninjaサマサマ。Ninjaが誕生して、それを追いかけてホンダもスズキもヤマハもライバル車を発売。これを切磋琢磨というのだ。
そのNinja250が、2018年モデルでフルモデルチェンジ。エンジン、車体を一新し、さらにパフォーマンスをアップした。初代Ninja250Rが「250ccスポーツモデルのマーケット復活」を目指し、2代目Ninja250がさらに完成度を高め、今度のフルモデルチェンジで「250ccスポーツ最速」を狙ったかのようなモデルチェンジ。
今回も、Ninjaは相当にヤル気だ。
エンジンは新たにダウンドラフト吸気として、カムシャフトを鍛造品に、クランクウェブ形状を変更して軽量化。パワーは5psアップ、さらに新設計の車体も6kgも軽量化されているから、乗り出しからもう、まったく別物といった印象だ。
エンジン始動、少しブリッピングしてみると、もう違いは分かる。ピックアップが、まるで鋭いのだ。これは吸気系の新設計とクランクウェブの軽量化が効いているのだろう。それでいて、発進トルクからブ厚くなって、アクセル全閉からのそろそろ発進で、もう旧型Ninjaよりパワフルになっているのがわかる。
回転上昇はスムーズ。これも軽量クランクが効いている。さらに高回転がキッチリ1万3000回転まで回る! これもオーバーレブ特性がよくて、パワーが頭打ちせず、ぐんぐん伸びていく印象だった。もちろん、ストリートを走る時の常用回転域もトルクが厚くなっていて、旧モデルに対してのこの力強さは、排気量アップしたような感じもする。
街中で50~60km/hくらいで流していると、回転数はトップ6速で3500~4100回転くらい。振動もなくて、すごくスムーズに交通の流れに乗ることができる。しかもレスポンスがシャープだから、回転を乗せやすい。街中ですごく使い勝手のいいエンジン特性だった。
高速道路に入っても、この印象は変わらず。80km/hはトップ6速で5900回転、100km/hで7200回転くらい。まだまだ上が13000rpmまで回るんだから、このスピード域からの余裕は推して知るべし。100km/hで高速道路を流していると、振動がスーッと消えてきて、すごく平和なクルージングができたのだ。
ハンドリングは、旧モデルよりも少しスポーティになったかな、という感じ。これは車体が7kgも軽くなったからだけではなく、車体も新設計となったことで、旧モデルよりスポーツ的な味付けとしたのだろう。旧モデルはやや安定志向で、ハンドリングのレスポンスもシャープすぎなかったのを、応答性も上がっているし、バイクを寝かせている時の安定感も上がっている。
ひと言でいうと、すごく自然。タイヤの接地感がはっきりあって、スポーツランでも恐怖感がないのだ。特にフロントの安定感が大きくて、速く走りたい人はどんどん攻められるし、そうじゃない人は怖くなくペースアップができる、そんな車体なのだ。
まじめに作り込んだな、って印象がハッキリしたニューNinja250。だからスポーツランも、街乗りもツーリングにも使えるスポーツバイクに仕上がっている。
サーキットランをしたら、あの250ccクラスの規格(も価格も)を超えたCBR250RRとタメを張れると思う。いや、まだラップタイムではCBRが速いかな、それでも一般道での乗りやすさ、ツーリングの快適性はNinjaがハッキリと上。それでいて価格も10万円以上、CBRより安いのが素晴らしい!
ミスター・バイクBG誌の最新号によると、250ccスポーツの販売台数(2017年10月時点)はCBR250RR/YZF-R25/GSX250Rの順。初代の登場から10年の節目を迎えて、ニューNinjaがまた250ccスポーツモデルのマーケットを再構築するかもしれない。
(試乗・文:中村浩史)
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