2018年2月26日
“アフリカツイン”がマイナーチェンジとAdventure Sportsをタイプ設定
1989年のXRV650Rでヒストリーが始まった、ホンダのアドベンチャーモデル“Africa Twin”シリーズ。その“Africa Twin”の名を冠して颯爽と復活したCRF1000L Africa Twin。2016年2月の発売以来、このジャンルのリッターモデルとしては驚異的な人気ぶりを発揮してきた。
ただ意外にも、その知名度の高さからはあまり想像できないのだが、この稀代の名車“Africa Twin”シリーズの歴史自体はわずか10年足らずしか無い。初代XRV650Rの登場から、2代目XRV750Rを経て、3代目のXRV750R、2000年の最終モデルの製造中止までのわずかな期間に超新星のごとく耀き、そして消えていった。まだ“パリ・ダカールラリー”と呼ばれていた当時の壮大なアドベンチャー・ラリーでの活躍を背景に、その存在を強烈に印象付けたということだろう。
また、ホンダは大排気量アドベンチャーカテゴリーマシンとして、XL500Sを始め、XLV750R、XL600Rファラオ、XLV600Rトランザルプ、と連綿とその歴史を積み上げてきていたからこそ、Africa Twinのヒストリーも光るのだともいえる。
それはともかく、新時代のAfrica Twin、CRF1000L Africa Twinは、2014年11月のEICMA2014(ミラノショー)に出展された「True Adventure プロトタイプ」で示した方向性を実際に製品化したモデルといえ、ホンダの英国現地法人であるホンダモーターヨーロッパ・リミテッドが、2015年5月に「2015年中に発売する」と発表したのが正式デビューとなっている。国内登場は、先にふれたとおり、翌2016年の2月の発売となった。
スタイルは、現代の“ダカール・マシン”CRF450 RALLYのイメージも取り入れてはいるが、LEDヘッドライトを備えたフェアリングを始め、18リットル入りの大型燃料タンク(初代のAfrica Twinは何と23リットル入り)などにより、Africa Twin一族のDNAを色濃く受け継いだデザインで、新世代ながらも紛れもないアドベンチャーマシンであることを強烈に主張している。
搭載されるエンジンは、“ユニカムバルブトレイン”や“軽量キャストカムシャフト”などの最新テクノロジーを取り入れた新開発の直列2気筒で、270度位相クランクによる不等間隔爆発及び、ツインプラグの位相点火制御システムなどを採用することで、優れたトラクション性能を発揮するとともに、小気味よい鼓動感も実現している。
また、エンジンの背面にバッテリーなど重量物を集中配置することで、マスの集中化も実現。さらに、軽量でありながら十分な剛性を確保する「セミダブルクレードルフレーム」の採用によってオフロードでの優れた走行性能とオンロードでの安定感のあるハンドリングを両立。荒れた路面でも効率よく動力を伝達する“Honda セレクタブル トルク コントロール”を全車に搭載。Honda独自の“Dual Clutch Transmission”採用モデルでは、オンロードからオフロードまでライダーの感覚に沿ったコントロール性能を発揮するよう3段階のシフトパターンを選択できるようさらに進化している。
2017年2月には、初のモデルチェンジを受け、国内の排出ガス規制に適合させるとともに各部の適正化により、従来モデルから2kWのエンジン出力向上、3N・mのトルクアップも図られるなど初のマイナーチェンジが行われた。また、同時に「キャンディープロミネンスレッド」の新色が追加され、全4色のカラーラインナップとなっていた。
今回のモデルチェンジも基本はそのままで、新たに“スルットル・バイ・ワイヤシステム”が採用されたほか、Hondaセレクタブルトルクコントロール(HSTC)のセッティング幅の拡大や、走行状況に応じてエンジンの出力特性を変更できるライディングモードセレクトの採用、そしてエマージェンシーストップシグナル、オートキャンセルウインカーなどの新機能も追加された。
また、も一つのトピックスとしては、フラッグシップアドベンチャーモデルとしての地位をより確固たるものにする24リットル入り“シームレス溶接”フューエルタンク(ノーマルは18リットル)の導入や、ストローク長を延長させた専用サスペンションの採用(最低地上高も250mmから270mmへ)、また同時にシート高を60mm下げたローダウンタイプもラインナップする”Adventure Sports”モデルのタイプ設定も行われた。
★HONDA ニュースリースより (2018年2月26日)
「CRF1000L Africa Twin」の仕様装備を充実させるとともに「CRF1000L Africa Twin Adventure Sports」を新たに追加し発売
Hondaは、アドベンチャーモデル「CRF1000L Africa Twin」にスロットル・バイ・ワイヤシステムなど先進装備を採用するとともに、大型のフューエルタンクなどを装備することで、さらなる冒険心を駆り立てる新モデル「CRF1000L Africa Twin Adventure Sports」を追加し、4月2日(月)に新販売網のHonda Dreamより発売します。
「CRF1000L Africa Twin」には新たにスロットル・バイ・ワイヤシステムを採用。Hondaセレクタブルトルクコントロール(HSTC)のセッティング幅の拡大や、走行状況に応じてエンジンの出力特性を変更できるライディングモードセレクトの採用に加え、エマージェンシーストップシグナル、オートキャンセルウインカーなどの機能を追加。軽量コンパクトなリチウムイオンバッテリーの採用や車体各部の見直しによって車両重量の軽量化を図っています。
「CRF1000L Africa Twin」は、「日常から夢の大地まで安心して楽しめる本格アドベンチャー」を開発コンセプトに、市街地や高速道路、郊外のワインディングロードから未舗装路まで、さまざまな道を走破できるアドベンチャーモデルとして発売。次世代アドベンチャーモデルにふさわしい装備やHonda独自の二輪車用「デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)」をタイプ設定するなど、先進技術を搭載したアドベンチャーモデルとして発売以来多くのお客様に支持されてきました。
「CRF1000L Africa Twin Adventure Sports」は「CRF1000L Africa Twin」をベースに航続距離を延伸できる24Lの大型フューエルタンクをはじめ、快適な高速巡行を可能とする大型ウインドスクリーンや車体へのダメージを軽減するフロントサイドパイプ、不整地での飛び石などからエンジンを保護する大型のスキッドプレートを装備。また専用サスペンションによりストローク量を伸長させることで悪路での走破性を高めています。さらに、足つき性を考慮した専用サスペンションによってシート高を標準より60mm低くしたローダウンタイプも設定しています。
- ●販売計画台数(国内・年間)
- シリーズ合計 800台
- ●メーカー希望小売価格(消費税8%込み)
- CRF1000L Africa Twin
- マットバリスティックブラックメタリック 1,382,400円 (1,280,000円)
- パールグレアホワイト、グランプリレッド 1,414,800円 (1,310,000円)
- CRF1000L Africa Twin <デュアル・クラッチ・トランスミッション>
- マットバリスティックブラックメタリック 1,490,400円 (1,380,000円)
- パールグレアホワイト、グランプリレッド 1,522,800円 (1,410,000円)
- CRF1000L Africa Twin Adventure Sports
- パールグレアホワイト 1,551,960円 (1,437,000円)
- CRF1000L Africa Twin Adventure Sports Type LD
- パールグレアホワイト 1,551,960円 (1,437,000円)
- CRF1000L Africa Twin Adventure Sports<デュアル・クラッチ・トランスミッション>
- パールグレアホワイト 1,659,960円 (1,537,000円)
- CRF1000L Africa Twin Adventure Sports Type LD<デュアル・クラッチ・トランスミッション>
- パールグレアホワイト 1,659,960円 (1,537,000円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
- =CRF1000L Africa Twinシリーズの主な特徴=
- ●パワーユニット
- ・スロットルグリップ開度をセンサーで検出し、ECUが駆動信号を送ることでスロットルバルブ開度をモーターにて制御する「スロットル・バイ・ワイヤシステム」を採用。
- ・吸排気系の見直しにより排気音と鼓動感をさらに際立たせるとともに、キャタライザーを分割化することでサイレンサーの小型軽量化を実現。
- ・マニュアルトランスミッション仕様車は変速時のクラッチ操作とスロットル操作を不要とし、シフトアップ・シフトダウンに対応した「クイックシフター」をオプション設定。
- ●Hondaセレクタブルトルクコントロール(HSTC)
- ・7段階のトルクコントロールと、トルクコントロールを必要としないOFF状態の選択を可能とし、ライダーの好みに応じたセッティングの幅を拡大。
- ●ライディングモードセレクト
- ・さまざまな走行状況でライダーの好みに応じたエンジン出力特性を選択できるライディングモードを採用。スロットル操作に対するスロットルバルブの開度とエンジンブレーキ、HSTCの介入量を切り替えることにより、「Tour(ツアー)」「Urban(アーバン)」「Gravel(グラベル)」の3モードとライダーの好みに合わせた設定が可能な「User(ユーザー)」モードの計4モードが選択可能。
- ●電装
- ・急ブレーキ時にウインカーランプが高速点滅する事で急減速状態を後続車に知らせる「エマージェンシーストップシグナル」を採用。
- ・右左折や車線変更完了時に自動でウインカーをキャンセルする「オートキャンセルウインカー」を装備。
- ・軽量コンパクトなリチウムイオンバッテリーを採用。これまでの鉛バッテリーに対して軽量化とマスの集中化に寄与。
- ・冷寒時の走行に便利なスポーツグリップヒーターと、携帯電話などの充電に便利なアクセサリーソケットを標準装備とし、ツーリング時における利便性を向上。
- =CRF1000L Africa Twin Adventure Sports の主な特徴=
- ・1988年に発売された初代アフリカツインであるXRV650の生誕30周年を記念して、フューエルタンク上部に専用ステッカーを配し、XRV650のカラーリングをイメージした専用カラーを採用。
- ・容量24Lのシームレス溶接フューエルタンクを採用。前後の体重移動の妨げにならない形状とし、ゆったりとしたライディングポジションと専用の大型ウインドスクリーンの採用と相まって、ロングツーリング時のさらなる快適性を実現。
- ・リアカウル右側にユーティリティーポケットを採用するとともに、タンデムシートとリアキャリアの上面をフラットな配置としたステンレス製リアキャリアを装備する事で、ツーリング時の積載性を向上。
- ・ストローク量を伸長させた専用サスペンションを採用。最低地上高をベースモデルの250mmから270mmへと変更し、オフロード走行時の走破性向上に寄与。
- ・専用サスペンションにより標準モデルに対してシート高60mm下げ、足つき性を考慮したローダウンタイプを設定。
★主要諸元
車名型式 | 2BL-SD04 | |
---|---|---|
CRF1000L Africa Twin〈CRF1000L Africa Twin<DCT>〉 | ||
発売日 | 2018年4月2日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.330×0.930×1.475 | |
軸距(m) | 1.575 | |
最低地上高(m)★ | 0.250 | |
シート高(m)★ | 0.870/0.850 | |
車両重量(kg) | 230〈240〉 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※1 | 32.0(国交省届出値 定地燃費値※2 60km/h 2名乗車時) | |
21.1(WMTCモード値※3★ クラス3-2 1名乗車時) | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 2.6 | |
エンジン型式 | SD04E | |
水冷4ストローク直列2気筒SOHC(ユニカム)4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 998 | |
内径×行程(mm) | 92.0×75.1 | |
圧縮比★ | 10.0 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 70[95]/7,500 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 99[10.1]/6,000 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI] | |
始動方式★ | セルフ式 | |
点火方式★ | フルトランジスタ式バッテリー点火 | |
潤滑油方式★ | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L) | 18 | |
クラッチ形式★ | 湿式多板コイルスプリング式 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン〈電子式6段変速(DCT)〉 | |
変速比 | 1速 | 2.866〈2.561〉 |
2速 | 1.888〈1.761〉 | |
3速 | 1.480〈1.375〉 | |
4速 | 1.230〈1.133〉 | |
5速 | 1.100〈0.972〉 | |
6速 | 0.968〈0.882〉 | |
減速比1次★/2次 | 1.733×2.625〈1.883×2.625〉 | |
キャスター(度)★ | 27°30′ | |
トレール(mm)★ | 113 | |
タイヤサイズ | 前 | 90/90-21M/C 54H |
後 | 150/70R18M/C 70H | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム式(プロリンク) | |
フレーム形式 | セミダブルクレードルフレーム |
〈 〉内はデュアル・クラッチ・トランスミッション
★主要諸元
車名型式 | 2BL-SD04 | |
---|---|---|
CRF1000L Africa Twin Adventure Sports〈CRF1000L Africa Twin Adventure Sports<DCT>〉《Type LD》 | ||
発売日 | 2018年4月2日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.340《242》×0.930×1.570《1.510》 | |
軸距(m) | 1.580《1.560》 | |
最低地上高(m)★ | 0.270《0.210》 | |
シート高(m)★ | 0.890/0.870《830/810》 | |
車両重量(kg) | 243《242》〔253《252》〕 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※1 | 32.0(国交省届出値 定地燃費値※2 60km/h 2名乗車時) | |
21.1(WMTCモード値※3★ クラス3-2 1名乗車時) | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 2.6 | |
エンジン型式 | SD04E | |
水冷4ストローク直列2気筒SOHC(ユニカム)4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 998 | |
内径×行程(mm) | 92.0×75.1 | |
圧縮比★ | 10.0 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 70[95]/7,500 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 99[10.1]/6,000 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI] | |
始動方式★ | セルフ式 | |
点火方式★ | フルトランジスタ式バッテリー点火 | |
潤滑油方式★ | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L) | 24 | |
クラッチ形式★ | 湿式多板コイルスプリング式 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン〈電子式6段変速(DCT)〉 | |
変速比 | 1速 | 2.866〈2.561〉 |
2速 | 1.888〈1.761〉 | |
3速 | 1.480〈1.375〉 | |
4速 | 1.230〈1.133〉 | |
5速 | 1.100〈0.972〉 | |
6速 | 0.968〈0.882〉 | |
減速比1次★/2次 | 1.733×2.625〈1.883×2.625〉 | |
キャスター(度)★ | 27°30′ | |
トレール(mm)★ | 113 | |
タイヤサイズ | 前 | 90/90-21M/C 54H |
後 | 150/70R18M/C 70H | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム式(プロリンク) | |
フレーム形式 | セミダブルクレードルフレーム |
〈 〉内はデュアル・クラッチ・トランスミッション
《 》内はType-LD
■道路運送車両法に依る型式指定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
※1 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※2 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※3 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます