2017年11月8日
2017EICMA/ミラノショー速報!『It’s Show Time! お愉しみはこれからだ。』
■レポート&写真:河野正士
さて、今日(現地時間11月7日)がようやく2017EICMAプレスデイ初日。朝9時から夕方6時まで約30分刻みで、二輪車メーカー&用品メーカーがプレスカンファレンスを開催します。秋になるとEICMAで発表されるであろうニューモデルのスパイ画像や噂が出始めるのですが、ここ最近は世界各国のデジタル媒体によってその動きは早くなり、またさまざまなメーカーがSNSを利用してティザー(予告的なヤツですね)を積極的に打ち始めたことで、EICMA前はプチお祭り状態になります。その情報をもとに各メーカーがどんなニューモデルを発表するのか、それを予測しながら各ブースに向かうのです。こう書くと眉間にしわを寄せてアタマを悩ませているように聞こえますが、その作業は実に楽しい。当たるも八卦当たらぬも八卦、ですから。そのワクワク感があるから毎年ここに来たくなるのです。
みなさんもご存じのように、メーカーが行うプレスカンファレンスはライブ中継されるほか、世界中から集まってきた媒体関係者が生配信&取って出し画像や映像を、ほぼ時間差無しでバンバンアップしていることから、SNSを中心としたデジタルメディアはEICMA祭り状態。現場は、けっこう殺伐としているのですが……それを差し引いても、やはりお披露目の場にいるのは嬉しいものです。
さて、レポートに参りましょう。
■トライアンフ
続いて噂があった新型「タイガー800 XC/XR」です。前モデルから200ヶ所を超えるアップグレードを果たしオフロードにおける走行性能の向上、長距離走行における快適性の向上が図られています。ライドインを担当したのは、トライアンフのブランドアンバサダーであるチャーリー・ボアマン。
続いては、その新型タイガー800XCをベースにしたプロトタイプマシン「タイガー・トラモンタナ」。デビッドとフェリペのロペス兄弟が、今年9月にモロッコで開催されたパンアフリカン・ラリーに参加するために製作したマシン。このまま市販しちゃえばいいのに、ってくらい格好いい。
最後は「タイガー1200 XC/XR」です。前モデルから10kgの軽量化を実現。オフロードライディングモードを含む6つのライディングモードを持ち、エンジン出力も向上。外装類も一新。心身ともに“エクスクルーシブ”を実現しています。
■BMW
トライアンフのカンファレンスを終えてすぐ向かったのですが、迷って時間をロス。会場に着いたらこの状態……スミマセン。
アンベールされたのはK1600シリーズのニューモデル「K1600グランド・アメリカ」、そして発表の噂があったFシリーズのニューモデル「F750GS」「F850GS」、そしてスクーターモデル「C400X」です。アンベールされているのですが詳細が見えず……別日に会場で写真を撮ってきます。
「K1600グランド・アメリカ」は、すでに発表されているバガースタイルのK1600Bの発展系とでも言いましょうか。アメリカで人気のボディデザインとリンクした大型リアバッグを装着し、長距離走行を楽しむカスタムスタイル。バッグを装着しているから“バガー”なのです。同じくリアバッグを装着するK1600GT/GTLとは違う、リア下がりのボディラインがバガーの特徴。バッグがボディと一体化しているように見えるのも特徴です。テコ入れを行っていると個人的に想像している、BMWのアメリカマーケット向け車両ですね。
「F750GS」「F850GS」は、新型エンジンを搭載。英語の資料によると、クランクシャフトを90度オフセットし270/450度の爆発間隔、と書かれています。いわゆる270度クランクなのか、否か……確認します。ロードとレインの、2つのライディングモードがあり、BMW独自のABSとACS(オートマチック・スタビリティ・コントロール)を装備。フレームも一新されています。
午後、別のカンファレンスへの移動時に通りかかったBMWブースでスクーターモデル「C400X」だけ写真を撮ることができました(K1600とFの2台は他のメディアが撮影中でした)。プレゼン時の映像を見たとき“EVかぁ!?”と思ったほど斬新なデザイン。サイドのカウルガードやヘッドライト周りのデザイン、またエッジの効いたボディワークは“GSシリーズ”と相通ずるモノがあります。エンジンは排気量350ccの単気筒。駆動系はCVTで、BMW独自のABSとACS(オートマチック・スタビリティ・コントロール)を装備。6.5インチのフルカラーTFTモニターを搭載し、スマホなんかと連動できるBMW Motorradコネクティビティをオプションで装備しています。
■インディアン
アメリカン・フラットトラック選手権、いわゆるダートトラックの全米選手権で圧倒的な速さを誇っているインディアンモーターサイクルのファクトリーマシン「FTR750」のストリートバージョンが出る、という噂があっただけに期待大で前列をキープしたのですが、発表されたのはインディアンの軽量Vツインマシン、スカウトの1200ccエンジンを使ったカスタムコンセプトマシン「スカウト1200カスタム」でした。カスタム、と言ってもフレームやスイングアームは、おそらく一品モノのオリジナル。カーボン外装も同じくオリジナルで製作。会場には、アメリカン・フラットトラック選手権を戦う3人のワークスライダーも参加していました。
■カワサキ
うーん、結構早く動いたつもりだったのにカワサキブースに着いたらこんな感じ。東京モーターショーで“Z900RS”が発表され、それが欧州初登場だったこと、また“H2”のツーリングモデルが発表されるとの噂があったことから注目度が高かったのです。それを見越してなのか、今年のカワサキブースは広かった。とはいえ、人垣の中に飛び込んで写真を撮ろうとしたのですが、この有様です……泣。
で、人がはけたところで撮影。噂通り、スーパーチャージャー付きのツーリングモデル「Ninja H2 SX」です。あのエッジの効いたH2のボディデザインをどうやってツーリングモデルに仕立てるのか興味津々でしたがじつに良い感じ。H2との兄弟感、あえてフレームカラーを抑えてエッジの効いた大型カウルを目立たせる手法など、なかなかです(上から目線でスミマセン)。前から見ると、ちゃんとH2しています。
Z900RSのバリエーションモデル「Z900RS Cafe」を登場させるとは意外でした。だからこそ、会場でも大人気。丸形ビキニカウルですが、下あご部分をキュっと起こすあたり、カラーリングはもちろん、ローソン・レプリカを彷彿とさせます。
スーパーバイク世界選手権で、ジョナサン・レイが圧倒的な強さを見せ、それを支えたZX-10Rにセミアクティブサスペンションを搭載した新型車「ZX-10R SE」も発表されました。フロントフォークとリアサスペンションにストロークセンサーとソレノイドを内蔵するSHOWA製エレクトリックサスペンションを採用。ECUとIMUと連動するそれら新電子制御サスペンションを“KECS/カワサキ・エレクトリック・コントロール・サスペンション”と名付けています。
■KTM
こちらも噂があった、というか昨年のEICMAで開発中のモデルとして発表した「790デューク」のストリートバージョンが発表されました。あ、今年もプレゼンターは喋りもルックスもいいKTMの開発ライダー、アレックス・ホフマンです。「790デューク」のアンベールを担当したのはKTMのマーケティング部門責任者であるフーベルト・トゥルンケンポルツと、KTMのMotoGPファクトリーライダーであるポル・エスパルガロ。
そして初お披露目となった、790DUKEの兄弟モデルでありプロトタイプモデルである「790アドベンチャーR」もアンベール。トゥルンケンポルツとともにベールを取ったのは、2018ダカールに挑むKTMのファクトリーライダー、サム・サンダーランド。
また、そのサンダーランドが駆る新型のダカールマシン「450ラリー」もアンベールされました。
■ハスクバーナ
背の高い欧州人ジャーナリストの背後に入って動けず、うまくカンファレンス時の写真を撮れませんでした……。発表されたのはネイキッドモデル「スバルトピーレン701&401」、スクランブラーモデル「ヴィットピーレン401」のそれぞれ市販バージョンです。
そして舞台中央でアンベールされたのは新コンセプトモデル「ヴィットピーレン701」です。スクランブラーテイストだった401に対し、701はフラットトラッカースタイル。昨年ハスクバーナが発表したコンセプトモデル/スバルトピーレン401エアロのカフェスタイルといい、トレンドのまっただ中って感じです。
■キムコ
台湾のスクーターメーカー・キムコは、1台のニューモデルと2台のコンセプトモデルを発表しました。ともに排気量400cc以上のビッグスクーターであり、利便性とともに快適性、さらにはリッチなテイストを追求したモデルたちでした。そのニューモデルが「エキサイティングS400」です。ユニットスイングエンジンをフレームに連結するハンガーアクスルを新設計。快適性とともに安定性も向上しています。メーター内蔵のナビも装備。
また2台のコンセプトモデルのコンセプトは“アドベンチャー・ツアラー”。旅における快適性を追求することで、スクーターの世界をよりリッチにしていこう、と理解しました。フロント2輪の三輪スクーター「CV3コンセプト」は、屋根まで装備しています。また一般的な二輪スクーター「CV2コンセプト」は随所にラグジュアリーな装備を採用しています。
■ロイヤルエンフィールド
最後はロイヤルエンフィールドです。これまでシングルシリンダー・モデルに特化してきたロイヤルエンフィールドですが、今回は新開発の空冷SOHC8バルブ並列2気筒648ccエンジンを搭載した2モデルを発表しました。リーク情報があったことにくわえ、ロイヤルエンフィールドとしては初となる648cc2気筒エンジン搭載モデルとなるだけに注目度も高く、会場に駆けつけたときには近寄ることができませんでした。その2台はアップハンドル採用のコンチネンタル650と、スワローハンドル採用のインターセプターINT650です。
駆け足でしたが、3日間にわたる2017EICMA速報。これにて終了です。といって僕は金曜日まで会場に足を運び、取材を続けます。そして最後は、少しだけ撮ったキャンギャルのお姉さんたちです。