2017年10月31日
カー&バイクメーカー9社が参加する「スマートデバイスリンクコンソーシアム日本分科会」設立、 二輪車向けアプリなどの今後の展開に期待
第45回東京モーターショーの会場で10月27日、「スマートデバイスリンクコンソーシアム日本分科会」設立に関する発表会が行われた。
スマートデバイスリンク(以下SDLと略)とは、クルマやバイクとスマートフォンやタブレットなどのパーソナルデジタルデバイスを接続することで、さまざまな新機軸を実現するためのオープンソースプラットフォームだ。その標準化を進めるための団体が、2016年11月に設立したSDLコンソーシアムである。
この分野ではAppleが「CarPlay」、Googleが「Android Auto」として先行している。たとえばスマホとスマートウオッチをリンクさせれば、スマホで受信したメールをスマートウオッチが音声で読み上げてくれるし、それに対する返信も音声でこなせる。そのような使い勝手を、車載機器とスマホなどのスマートデバイスの間でも実現するための規格、といえば理解しやすいだろうか。
最大のメリットは、世界中のアプリ開発者が“秒進時歩”の勢いで進化させていくスマートデバイス用アプリの機能をいち早く車載機器側へ反映できる点だ。この点において、カー/バイクメーカーが純正搭載する車載機器はまったく太刀打ちできない。
しかし、スマートデバイス用アプリは当然ながら運転中の使い勝手を考慮して開発されているとは限らないし、そもそも運転中のスマートデバイス操作は、地域によっては法に抵触する行為でもある。ならば、車載機器側で安全にスマートデバイス用アプリの機能を活用できるようにするためのガイドラインやテンプレートを作ろう、というのが開発の狙いである。
ただし、CarPlayやAndroid Autoは、カー/バイクメーカーとしては諸般の事情から少々使い勝手のよろしくない部分がある。たとえば、当然ながらCarPlayはiOS、Android AutoはAndroid OSにしか対応しない。また、カー/バイクメーカー側からすると改善の余地アリと思える部分があったとしても、それが反映されるとは限らない。
そこで、もともとフォードが開発していた「AppLink」というシステムをベースとしてオープンソース化し、より使いやすいものを作ろう、というのがSDLの骨子で、現在世界中の車両OEM企業11社を筆頭にさまざまな分野の企業が参加している。
そしてSDLコンソーシアムは、SDLの普及・発展とSDLエコシステムの拡張について議論するためのオープンソースコミュニティだ。具体的にはSDL通信手順の標準化、アプリ開発キットの開発・提供を目的とする。
SDLコンソーシアム日本分科会にはトヨタ自動車工業を筆頭にカー/バイクメーカー9社、機器提供側としてパナソニック、アプリおよびサービス提供側としてLINE、NAVITIME、KDDIなどが参加している。発表会にはそのうち10社の代表者が登壇し、参加に対する意気込みを語っていた。
バイクメーカーからのコメントとして印象に残ったのは、ヤマハ発動機・島本氏の以下のような発言だ。
「モーターサイクルに乗っているお客さまも、すでにスマホのナビなどで“つながる”ことを始めている方もいらっしゃると思います。残念ながらモーターサイクル業界は雨に濡れたり、スペースや振動の問題などの制約から、四輪各社さんと比べるとハードの提供がかなり遅れていると認識しております。そういった課題を解決する上でコンソーシアムに参加させていただき、四輪メーカーさんのノウハウも教えていただきながら我々の開発を進めていきたいと考えております(要約)」
「SmartRiding」や「RevQuest by つながるバイク」など、自らスマートデバイス向けアプリを積極的に開発・提供してきたヤマハを代表しての発言だけに、今後の展開には期待できそうだ。