2017年10月26日

新世代のホンダビジネススクーター、ベンリィシリーズが平成28年国内排出ガス規制対応

ベンリィ110/ベンリィ110 プロ/ベンリィ/ベンリィ プロ 280,800円/294,840円(10月27日発売)/237,600円/248,400円(11月2日発売)

“世界のスーパーカブ”の牙城が、“普通のオートマチック”を備えたビジネス・スクーター達に追い上げられている。それは、実際に使用する現場の若者達を中心にスーパーカブの独特の乗り味や、ギアシフトの負担が敬遠されてきている、ということなのだろうか。

新聞配達に代表される原付ビジネスバイクの世界に変化が訪れたのは、1994年9月にヤマハのギアが登場してからといえるだろう。それまでの配達業務に使われるバイクといえば、メーカーこそ変われど、すべて“カブスタイル”のビジネスモデルだった。長年に渡って培われ、いわば常識ともなっていたその“常識”に風穴を開けたのがギアだった。

戦後の日本の経済を支えた“頑丈で壊れない”スーパーカブの時代から、豊かさが当たり前、ビジネスモデルでも“軽快で乗りやすい”へと時代は替わったといえる。で、カブの本家本元、ホンダとしても“普通のオートマチック”を採用するビジネスモデルをリリースせざるを得なくなったのが2011年の9月のこと。満を持して登場した“普通のオートマチック”原付ビジネスモデルこそが「ベンリィ」だった。

ちなみに「ベンリィ」といえば1960年代から’70年代にかけて、スポーツモデルからビジネスまで一大勢力を誇ったホンダの由緒正しきブランド名だ。しかしその後、大型化するスポーツモデルとともに「ドリーム」の名称にお株を奪われて、ビジネスモデルの専用ブランド名となってしまった経緯がある。あらためてそんな説明が必要なほど、スポーツモデルも含めた「ベンリィ」の伝統は遠い昔のヒストリーになってしまったが。

いや、そんな遠い昔のことは知らなくても、1996年4月に突然、かつての姿をそのまま持ってきたような復刻スタイルでリリースされたベンリィ50S、ベンリィ90Sならご存じの方も多いだろう。レトロスポーツのモデル名としてのベンリィだ。あれこそが’70年代当時のベンリィ・スタイルだった(2007年1月のカラーリング変更まで生き延びていた)。

その後のビジネスモデルとしてのベンリィは、スーパーカブと並ぶ地道なベストセラーとしてホンダのビジネスモデルの一翼を担い続けてきた。そして2000年代に入ってからもその名は続いていたのだが、ここ数年は途絶えてしまっていた。それでもベンリィといえば“オーソドックスなスタイルのビジネス車”のイメージはしっかり残っていたことだろう。

そんな中、2011年9月に「ベンリィ」が復活した。ケータリングサービスなどにも適した実用一点張り、質実剛健のスタイルと“普通のオートマチック”スクーターの使いやすさを全面に押し出したモデルだった。

また、同時に大型のフロントバスケットとリアキャリアを装備、フットブレーキを追加してより業務仕様に徹したベンリィ プロもラインナップされている。

その後2012年2月には、従来、「パールホワイト」という白一色だったボディカラーにプラスして、パーソナルユースにも対応した「パールホワイト×ブラウン」と「オニキスブルーメタリック×ブラック」の新色2色が追加設定された。

2015年の8月(50シリーズ)と9月(110シリーズ)に初のフルモデルチェンジが行わている。それは、エンジンを空冷から最新のテクノロジーにより開発された水冷“eSP”に変更したもので(50シリーズ)、実用性と経済性をさらに高めるモデルチェンジだった。また信頼性や耐久性もアップし、低中速域のトルク特性も向上させている。その他、ACGスターターの採用により静粛性を向上、専用設計の扁平マフラーの採用と短軸長リアアクスルシャフトの採用によりマフラーを取り外さずにタイヤ交換が可能となっている。

今回は、平成28年国内排出ガス規制に対応するとともに一部仕様に変更が行われている。新型スーパーカブ・シリーズの登場により“カブワールド”の継続、さらなる発展も期待される中で、純然たるビジネスモデルとしてのベンリィシリーズの役割も拡大していくことが予想される。

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ベンリィ。カラーはシリーズを通して「ロスホワイト」の1色。

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ベンリィ プロ。プロは積載性の高い大型フロントバスケットと大型リアキャリアなどを装備。

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ベンリィ110。110は107cc、5.8kWエンジンを搭載。

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ベンリィ110 プロ。プロは夜間などに手元灯としても使えるポジションランプを新たに採用。

 

★HONDA ニュースリリースより (2017年10月26日)

平成28年度排出ガス規制に対応した原付ビジネススクーター「ベンリィ」シリーズを発売

Hondaは、新聞配達や宅配用途で求められる取り回しの良い車体サイズや、優れた実用性と経済性はそのままに、平成28年度排出ガス規制に適合させるとともに、一部仕様を変更した「ベンリィ110」「ベンリィ110 プロ」を10月27日(金)に、「ベンリィ」「ベンリィ プロ」を11月2日(木)にそれぞれ発売します。

今回、平成28年度排出ガス規制に適合させるため、燃料蒸発ガス抑制装置や排出ガスの異常を警告する車載故障診断装置を装着。また従来同様、排出ガスの浄化とエンジンの性能を効率よく引き出す、電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)を採用しています。

燃料タンクは大容量の10Lを確保し、給油の回数を軽減。さらに日常点検でエンジンオイルの汚れや量の確認を容易にする点検窓を装備しました。

大型のリアデッキは配達の効率を追求。最大積載量を「ベンリィ」「ベンリィ プロ」は30kg「ベンリィ110」「ベンリィ110 プロ」は60kgとするとともに、低床設計により荷物の積み降ろしを楽に行えます。
メインスタンドは荷物が多い場合も、かけやすい工夫を施すとともにビジネス用途にふさわしい強度を確保しました。使用頻度の高いサイドスタンドはリターンスプリングを複数化して信頼性を向上させるとともに、接地ポイントの最適化により傾斜地での駐車安定性に配慮。さらに傾斜地駐車の補助機能として、フロントブレーキレバーロック機構を装備しました。

インナーパネルは灰色から黒色へ変更し、車体色はロスホワイトの一色を設定しました。

■実用性を重視した「ベンリィ」シリーズの主な装備
 ・ハロゲンバルブにマルチリフレクター採用のヘッドライト
 ・メインスイッチとハンドルロック機構を集約し、鍵穴を保護するシャッター付きのキーシリンダー
 ・キーロック付きのヘルメットホルダー
 ・視認性に優れたスピードメーターと燃料計
 ・インナーポケットと最大1kgまで掛けられるフロントフック
 
■「ベンリィ」「ベンリィ110」
 左のレバー(後輪ブレーキ)を握るだけで前輪にも適正な制動力を配分する、Honda独自の前・後輪連動ブレーキシステム「コンビブレーキ」と駐停車で便利なリアブレーキロック機構を採用。
 
■「ベンリィ」「ベンリィ プロ」
 50cc水冷・4ストロークエンジン「eSP」を搭載。低燃費を実現させながら登坂路走行や発進加速での軽快で力強い走りを両立させました。また、ACGスターターの採用により向上した始動時の静粛性は、早朝などの市街地における集配業務で効果を発揮します。さらに携帯電話の充電など、さまざまな用途に使えるアクセサリーソケットを装備。
 
■「ベンリィ プロ」「ベンリィ110 プロ」
 夜間などに手元灯としても使えるポジションランプを新たに採用。積載性の高い大型フロントバスケットと大型リアキャリア、発進・停止をスムーズにするフットブレーキと駐停車で便利なリアブレーキロック機構、集配業務で雨風から手元を守るナックルバイザーを装備。
 
 Hondaのビジネスモデルは、スーパーカブシリーズや三輪スクーターのジャイロシリーズと併せ、豊富なラインアップでお客様のさまざまなニーズにお応えします。
 
●販売計画台数(国内・年間)
シリーズ合計 5,200台
 
●メーカー希望小売価格(消費税8%込み)
ベンリィ 237,600円(消費税抜き本体価格 220,000円)
ベンリィ プロ 248,400円(消費税抜き本体価格 230,000円)
ベンリィ 110 280,800円(消費税抜き本体価格 260,000円)
ベンリィ 110 プロ 294,840円(消費税抜き本体価格 273,000円)
※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません。
 

★主要諸元

車名型式 2BH-AA05
ベンリィ〈ベンリィ プロ〉
発売日 2017年11月2日
全長×全幅×全高(m) 1.830〈1.845〉×0.690〈755〉×1.035
軸距(m) 1.280
最低地上高(m)★ 0.115
シート高(m)★ 0.710
車両重量(kg) 110〈114〉
乾燥重量(kg)
乗車定員(人) 1
燃費消費率(km/L)※1 65.2(国交省届出値 定地燃費値※2 30km/h 1名乗車時)
50.7(WMTCモード値※3★ クラス1 1名乗車時)
登坂能力(tanθ)
最小回転小半径(m) 1.9
エンジン型式 AA05E
水冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ
総排気量(cm3) 49
内径×行程(mm) 39.5×40.3
圧縮比★ 12.0
最高出力(kW[PS]/rpm) 3.2[4.4]/7,750
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 4.2[0.43]/6,000
燃料供給装置形式 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI]
始動方式★ セルフ式(キック併用)
点火方式★ フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑油方式
潤滑油容量(L)
燃料タンク容量(L) 10
クラッチ形式
変速機形式 無段変速式(Vマチック)
変速比 1速 2.970~0.830
キャスター(度)
トレール(mm)
タイヤサイズ 90/90-12 44J
110/90-10 61J
ブレーキ形式 機械式リーディング・トレーリング
機械式リーディング・トレーリング
懸架方式 テレスコピック式
ユニットスイング式
フレーム形式 アンダーボーン

■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目はHonda 公表諸元)
 ■製造事業者/五羊-本田摩托(広州)有限公司 ■製造国/中国 ■輸入事業者/本田技研工業株式会社
 ※1 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
 ※2 定地燃費値は、車速⼀定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
 ※3 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます

★主要諸元

車名型式 2BJ-JA09
ベンリィ110〈ベンリィ110 プロ〉
発売日 20157年10月27日
全長×全幅×全高(m) 1.805〈1.845〉×0.690〈755〉×1.040
軸距(m) 1.280
最低地上高(m)★ 0.115
シート高(m)★ 0.710
車両重量(kg) 117〈120〉
乾燥重量(kg)
乗車定員(人) 2
燃費消費率(km/L)※4 53.0(国交省届出値 定地燃費値※5 60km/h 2名乗車時)
50.3(WMTCモード値※6★ クラス1 1名乗車時)
登坂能力(tanθ)
最小回転小半径(m) 1.9
エンジン型式 JA09E
空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ
総排気量(cm3) 107
内径×行程(mm) 50.0×55.0
圧縮比★ 9.5
最高出力(kW[PS]/rpm) 5.8[7.9]/7,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 8.6[0.88]/5,000
燃料供給装置形式 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI]
始動方式★ セルフ式(キック併用)
点火方式★ フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑油方式
潤滑油容量(L)
燃料タンク容量(L) 10
クラッチ形式
変速機形式 無段変速式(Vマチック)
変速比 1速 2.600~0.840
キャスター(度)
トレール(mm)
タイヤサイズ 90/90-12 44J
110/80-10 58J
ブレーキ形式 機械式リーディング・トレーリング
機械式リーディング・トレーリング
懸架方式 テレスコピック式
ユニットスイング式
フレーム形式 アンダーボーン

■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目はHonda 公表諸元)
 ■製造事業者/五羊-本田摩托(広州)有限公司 ■製造国/中国 ■輸入事業者/本田技研工業株式会社
 ※4 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
 ※5 定地燃費値は、車速⼀定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
 ※6 WMTC モード値は、発進、加速、停⽌などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます