2017年11月1日

MBHCC D2 バ★ソ 幻立喰・ソ

第87回「じゃけ〜ぇ、のお」

幻立喰・ソ

 今年のカープは強かった。まさかあんなことになってしまうとは……広島のみなさま、心中お察しいたします。来年はきっと、フラミンゴもスズメも貴方もきっとおいしく飲めるでしょう「千福一杯いかがです〜」。と知ったようなことを書いていますが、千福の歌以外はよくわかっていないことをまずは告白しておきます。
 最近の坊やは知りませんが、昭和ベビーブーム世代の小僧は、サッカーでもバスケでもなく、球技と言えば野球。2人いれば野球盤、3人集まれば手打ち野球です。東京五輪では日本裏国技である手打ち野球が正式種目になると期待されましたが、案の定候補にも上がりませんでした。日本各地の空き地で大活躍していた透明ランナーも、草葉の陰で悲しんでいることでしょう。

しか

TDR250

いきなりですが広島クイズです。奈良と広島で見られる動物といえば? 奈良公園と宮島の鹿ですね。では奈良と広島を走った電車と言えば? 誰もがご存じ、松戸から奈良、そして広島へと流浪の一生を送ったクハ105。お隣のウグイス色103系も奈良と広島で走っていました。(2007年撮影)

 野球少年の必須アイテムはバットでもグローブでもなく野球帽。ご当地チームをご贔屓するのは当たりで、関西なら阪神、中京は中日、関東は巨人が大定番。でもセばっかり(除く福岡)で、パの帽子を被っているのはかなりマニアックなツウか、へそ曲がり少年でした(除く福岡)。
 残るセの牙城、広島は? 野球帽ずっぽり少年時代のご当地情報を知らないのですが、市民球団というくらいですからもちろんカープ一色、街中はHで真っ青だったはずです。「街中が真っ青? それは10月24日夜の広島の夜かい? ふふふっ」なんて言うのは少年時代に緑と橙の湘南電車色野球帽を被っていた川崎っ子でしょうか。それよりも「Hな真っ青じゃの〜て、Cの真っ赤じゃけぇ!」と上は大きめのユニフォーム、下はもちろん生足姿のカープ女子に強く叱責されたいのはやまやまですが、私がエセ野球少年になりたての頃、カープは青い帽子にHマークでした。私事で大変恐縮ですがついでに申し上げておきますと、Hの方はすっかりごぶさたです。すてきなユニフォーム+生足のカープ女子に、広島弁で激しく叱咤激励していただきつつC……すみません本気の冗談です。
 ちなみにHで真っ青な頃のカープは、今年のロッテに負けないくらい見事な負けっぷりな万年6位球団。それがいつの間にやら赤とCマークに変わって、ルーツ監督が古葉さんになって(さすがにその間の野崎さんは記憶にないです)、ホプキンス、シェーンがやってきて(眼鏡のライトルもステキ)あれよあれよとカープ黄金時代にまっしぐら。そんなカープ史は調べればわかる便利な時代ですが、わからないのが私の青い帽子。広島に行ったこともなければ縁もゆかりもない少年がなぜ? カープファンもいませんでしたし、どこで手に入れたんでしょうか。
「かあさん、僕のあの青い帽子、どうしてでしょう?」と角川映画みたいに聞いたら「ああ、中日の帽子な」「え?!」「ドラゴンズの帽子よく被っていたねえ。あの頃は素直でいい子だったのに……」「えええ???」「写真どこかにあるでしょ」
 いっしょうけんめい探しましたが、写真は見つかりませんでした。私が被っていた帽子がHなのかCDか。そんなことみなさん興味がないので、捜査打ち切り即迷宮入りです。

カープ電車

カープ電車

さすが広島、電車もカープ! 名古屋にドラゴンズカラーが、東京にジャイアンツ電車ありますか?(2016年撮影)

 カープ話を延々としてきたのはもちろんフリ。広島といえばお好み焼きに牡蠣やもみじまんじゅうが有名ですが、広島(市内)人、心の立喰・ソ(推定)が、広島駅1番線にあった通称「1番線のうどん」です。当コラムで実名(実は本当の店名を知らないけれど)ですから、残念ながら今や幻立喰・ソです。ホームの立喰・ソといえば、せいぜい5〜6人しか入れない小型店舗を想像しがちですが、50年近い歴史のある1番線のうどんは、30人くらいは入れそうなとてつもない大立喰・ソでした。繁盛していたはずですが、JR側のなにかしらの理由で、2014年11月頃幻立喰・ソになってしまいました。名残を惜しんで多くの常連さんが訪れたことでしょう。

1番線のうどん

1番線のうどん

1番線のうどんです。横から見ると大きさがおわかりいただけるでしょう。うどん推しですがソもありました。(2007年撮影)

 

 1番線のうどんの名物は赤うどん。食べたら特高が踏み込んできたり、インターナショナルを歌いたくなるうどんではありませんからご安心ください。もちろんカープの赤をイメージして、赤麹というものを練り込んだそうです。カープが勝った日は通常半分の玉子がまるまる1個というサービスも(2010年頃です。今やってないようです。もしやっていたら、今年はうれしい大赤字?)。カープうどんと名乗りたいところでしょうが、本家のカープうどんはMAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島に存在します。こちらは白い普通のうどんですが、市民球場時代からあるカープファンのソウルうどんです。私は食べるどころか、未だお目にかかったことすらありません。中日疑惑は消えていないものの、「1番ショート高橋(慶)、2番セカンド木下、3番サード衣笠、4番センター山本(浩)〜」と今も空で言える自称少年期カープファンとしては、ぜひ食べておかないと、死ぬときは死ぬんですけど死ぬに死にきれません。まったく関係ないですが、ホプキンスは整形外科医になったようです。シェーンはどうしているんでしょうか。

 赤うどんは今も食べられます。1番線のうどんは、ホームから跨線橋に移動して、驛麺家(えきめんや)という名称で再開しました。京急沿線のみなさんは、広島にえきめんやができたのか! と、びっくりぎょうてんかもしれませんが、京急系えきめんやとは関係もない驛麺家です。でも、赤い電車の京急と赤いうどんです。赤つながりで無関係とも言えないような。広島の遙か彼方、台湾の鉄道とコラボした京急です。広島くらいちょちょいのちょい。来年カープが優勝したら、えきめんやでも赤うどんいかがですか。

赤うどん

驛麺家

これが赤うどんです。が、2010年当時のポスターなので、今は変わっているかもしれません。真相は新装の驛麺家(2017年撮影)でぜひご確認を。広島行きたいなぁ。

 

 

●立喰・ソNEWS 2017 
手打ちトラップ

先日、福井県で所要の合間に某立喰・ソに行ってまいりました。えちぜん鉄道某駅とJR某駅の真ん中あたり、どちらの駅からも歩いて20分以上かかります。しかも電車は1時間に1本という、公共交通機関で合間に訪ねるにはハードル高めです。田んぼの中の一本道をずんずん歩いて、いつものパターンなら臨時休業とかすでに幻立喰・ソですが、今回は無事に入店。やれうれしやと券売機を見れば、なにやら貼り紙が。イヤな予感……おねーさんは「すみません、手打ちそば終わってしまったんですよ」と。ていおー事件(参照)再発ですか。ないならしょうがない。「うどんはありますよね?」「はい。両方あります」腹ぺこ野郎でしたから深く考えず「野菜天ぷら手打ちうどん」のボタンを押しました。
うどんおいしかったです。さつまいもの細切りが入ったかき揚げも。しかし、ソ食べたかったなあ。と、今改めて写真を見返すと、オレンジのボタンの下に、消えそうな字で「野菜天うどん」のボタンがあります。そういえば両方あるって言ったような。ということは手打ちと機械打ちがあるってこと?ならば手打ちじゃない方のソはあった?? たぶんあったんでしょうね。もう一度行く機会は訪れるんでしょうか?

before

のどかな秋晴れだったから、よかったですが、雨や雪だったらたぶん挫折していたことでしょう。

 

after

悪いのは、しっかり確認を怠った私であることは間違いありません。これも立喰・ソ神があたえたまふ試練でしょう。

 


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