2017年10月4日
MBHCC D3 小宮山幸雄 順逆無一文
第80回『ナンバー自動読み取り装置』
第80回『ナンバー自動読み取り装置』
緑枠の自動二輪にお乗りのライダーの方、車検が切れてしまったりしていませんか。ついうっかり、なんてことのないように。
車検切れの車両で走るということは、道路運送車両法の「無車検車運行違反」の罪に当たり、違反点数6点で(前歴がない場合)30日間の免許停止となります。この行政処分に加えて、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事処分も課せられます。
で、車検を忘れているということは、車検期間に合わせて掛けることがほとんどの自賠責保険の方も更新がされてない、ってことがほとんどでしょうから、自賠責の更新が切れてしまっていただけなら「自動車損害賠償保障法違反」で違反点数が6点、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という処分が、車検切れと重なってしまうと、違反点数は一気に12点で90日間の免許停止(前歴のない場合)、そして1年6ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金となってしまいます。うっかりじゃなく切れていることを知りながら走らせた、みたいに悪質なケースだと交通刑務所行きもあり得る、というほどの重大な罪です。ご注意を。
さて、この車検切れ車両を撲滅しようと国土交通省が新手の対策を開始するというニュースが入って来てました。なんでも実際に一般道路を走っている車検切れの車両は、推計で20万台にも上るそう(国内には約8千万台にのぼる車やバイクがあって、そのうち約500万台が車検切れのはず。ただ、その多くは放置状態で、走行していると考えられるのが約20万台とか)で、整備不良の心配ばかりでなく、万が一そんな車両が事故でも起こした場合「無保険車」の可能性も高く、被害者が満足な補償が得られないケースも大いに考えられます。
で、そんな“異常”事態を前に国交省が対応に乗り出そうというわけです。
導入する対策というのは、9月15日に実際にデモンストレーションも行われたという“ナンバー自動読み取り装置”を使っての街頭取り締まりです。国交省は今年度から試験導入する可搬式のナンバー自動読み取り装置を使い、通行する車のナンバーをカメラで撮影、その場でナンバープレートの情報と手元の車検車両のデーターベースを照合、たちどころに車検切れの車両をあぶり出してしまおうというもの。
デモンストレーションでは、ナンバー自動読み取り装置をセットした取り締まりスペースへ車両を誘導。対象車両のナンバー情報をカメラで読み取り、連携したパソコンでデータベースと照合。車検切れ車両と判明した場合、画面に「HIT」の警告文字とナンバープレート情報が表示されるという。ここまでが国交省の担当。その後は、HITした車両を数十メートル先に控えた警察のエリアに誘導。警察官が自動車検査証を確認。車検切れが判明すれば警告書を交付するという流れに。
ニュースリリースで勝手に想像していたのは、移動式オービスのように自動読み取り装置が走行車両を次々に撮影、車検切れ車両が通れば自動でピックアップ、記録。その情報から後日所有者なり使用者が呼び出されて処分を受ける、というスタイルでした。しかし実際のデモンストレーションの様子は、国土交通省の係官と警察官による違法改造車の取り締まり時などと同様の、実に“アナログチック”な取り締まりシステム、だったようですね。確かにナンバーの認識作業とデータの照合に関しては“自動”のようですが。
整備不良車や盗難車の取り締まりなども、あくまで現場検挙が目的で、これではなかなか摘発効率が上がらないのではと危惧した次第。それにデモンストレーションだからなのでしょうか、車検切れが確認された場合の対応が「警告書を交付」というのも引っかかりますね(当初のニュースリリースの解説図中「取締・指導」が「指導・警告」に変わってました)。
明らかにそれと分かるような、不案内な道でのついうっかりの一時停止違反でも“警告”で済まされるケースなどは一切なく即キップ、片やついうっかりもあってはならない責任重大な過失ともいえる車検切れ車両の運行で“警告書”ですか。ちょっとおかしくありませんかね。
車検切れの車両で走るということは、道路運送車両法の「無車検車運行違反」の罪に当たり、違反点数6点で(前歴がない場合)30日間の免許停止となります。この行政処分に加えて、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事処分も課せられます。
で、車検を忘れているということは、車検期間に合わせて掛けることがほとんどの自賠責保険の方も更新がされてない、ってことがほとんどでしょうから、自賠責の更新が切れてしまっていただけなら「自動車損害賠償保障法違反」で違反点数が6点、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という処分が、車検切れと重なってしまうと、違反点数は一気に12点で90日間の免許停止(前歴のない場合)、そして1年6ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金となってしまいます。うっかりじゃなく切れていることを知りながら走らせた、みたいに悪質なケースだと交通刑務所行きもあり得る、というほどの重大な罪です。ご注意を。
さて、この車検切れ車両を撲滅しようと国土交通省が新手の対策を開始するというニュースが入って来てました。なんでも実際に一般道路を走っている車検切れの車両は、推計で20万台にも上るそう(国内には約8千万台にのぼる車やバイクがあって、そのうち約500万台が車検切れのはず。ただ、その多くは放置状態で、走行していると考えられるのが約20万台とか)で、整備不良の心配ばかりでなく、万が一そんな車両が事故でも起こした場合「無保険車」の可能性も高く、被害者が満足な補償が得られないケースも大いに考えられます。
で、そんな“異常”事態を前に国交省が対応に乗り出そうというわけです。
導入する対策というのは、9月15日に実際にデモンストレーションも行われたという“ナンバー自動読み取り装置”を使っての街頭取り締まりです。国交省は今年度から試験導入する可搬式のナンバー自動読み取り装置を使い、通行する車のナンバーをカメラで撮影、その場でナンバープレートの情報と手元の車検車両のデーターベースを照合、たちどころに車検切れの車両をあぶり出してしまおうというもの。
デモンストレーションでは、ナンバー自動読み取り装置をセットした取り締まりスペースへ車両を誘導。対象車両のナンバー情報をカメラで読み取り、連携したパソコンでデータベースと照合。車検切れ車両と判明した場合、画面に「HIT」の警告文字とナンバープレート情報が表示されるという。ここまでが国交省の担当。その後は、HITした車両を数十メートル先に控えた警察のエリアに誘導。警察官が自動車検査証を確認。車検切れが判明すれば警告書を交付するという流れに。
ニュースリリースで勝手に想像していたのは、移動式オービスのように自動読み取り装置が走行車両を次々に撮影、車検切れ車両が通れば自動でピックアップ、記録。その情報から後日所有者なり使用者が呼び出されて処分を受ける、というスタイルでした。しかし実際のデモンストレーションの様子は、国土交通省の係官と警察官による違法改造車の取り締まり時などと同様の、実に“アナログチック”な取り締まりシステム、だったようですね。確かにナンバーの認識作業とデータの照合に関しては“自動”のようですが。
整備不良車や盗難車の取り締まりなども、あくまで現場検挙が目的で、これではなかなか摘発効率が上がらないのではと危惧した次第。それにデモンストレーションだからなのでしょうか、車検切れが確認された場合の対応が「警告書を交付」というのも引っかかりますね(当初のニュースリリースの解説図中「取締・指導」が「指導・警告」に変わってました)。
明らかにそれと分かるような、不案内な道でのついうっかりの一時停止違反でも“警告”で済まされるケースなどは一切なく即キップ、片やついうっかりもあってはならない責任重大な過失ともいえる車検切れ車両の運行で“警告書”ですか。ちょっとおかしくありませんかね。
※国土交通省発表資料より
話は飛びますが、今後も監視カメラは市民生活に密接に入り込んでくるはずで、こそこそと物陰に隠れて取り締まる一時停止違反取り締まりなどといった“市民から嫌われるノルマ作業”から警察官が解放され、それらの取り締まりは、人間に比べはるかに平等で休むことなく取り締まることのできる監視カメラに任せてしまう方がよほど市民に理解されることになるはず。そのかわり、違反を追及されても平気で無視するような反社会的な人間に対応するのが警察本来の出番と変わっていくはず。まあ、そんな犯罪気質の人間に警察官といえども生身の人間が対処するのは手に余る、なんてことにもなるでしょうから、根っからの反社会的な人間にはロボットが対応する、なんてSFのような世界もそう遠くはないような気もします。
本気で交差点での二輪車の無謀なすり抜けによる事故を無くしたいと思うなら、交差点ごとに取り締まり用の監視カメラを設置すればたちどころに減少するはず。もうすでに生身の警察官による取り締まりでは限界にきているんですかね。
現実に話を戻すと、国交省ではこのナンバー自動読み取り装置を今年度中に全国5カ所で試験導入し、2018年度には本格的な導入、運用を開始したいとしています。老婆心ながら、20万台も車検切れ車両が跋扈しているというのに、この程度の規模と「警告書」ではあまりに心もとないという気がしませんか……。
(小宮山幸雄)
本気で交差点での二輪車の無謀なすり抜けによる事故を無くしたいと思うなら、交差点ごとに取り締まり用の監視カメラを設置すればたちどころに減少するはず。もうすでに生身の警察官による取り締まりでは限界にきているんですかね。
現実に話を戻すと、国交省ではこのナンバー自動読み取り装置を今年度中に全国5カ所で試験導入し、2018年度には本格的な導入、運用を開始したいとしています。老婆心ながら、20万台も車検切れ車両が跋扈しているというのに、この程度の規模と「警告書」ではあまりに心もとないという気がしませんか……。
(小宮山幸雄)
小宮山幸雄
“雪ヶ谷時代”からMr.BIKEにかかわってきた団塊ライダー。本人いわく「ただ、だらだらとやって来ただけ…」。エンジンが付く乗り物なら、クルマ、バイクから軽飛行機、モーターボートとなんでも、の乗り物好き。「霞ヶ関」じゃない本物!?の「日本の埋蔵金」サイトを主宰する同姓同名人物は、“閼伽の本人”。
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