2017年9月29日
台湾の企業と住友商事が電動スクーターの普及に新たな挑戦
観光地などでの小規模な電動スクーターのレンタル開始などの話題は耳にすることもあったが、このほど発表された台湾の「Gogoro」社と住友商事による事業は、人気急上昇中の石垣島をかかえる石垣市も巻き込んだ初の本格的な電動スクーターの普及事業となりそうだ。
発表された資料によれば、
「Gogoro社と住友商事は、日本および海外展開においてGogoro社のサスティナブルなエネルギーネットワークインフラを活用した、オープンプラットフォーム事業を共同展開するために戦略的パートナーシップを締結しました。これに伴い、住友商事はGogoro社が実施した約300億円の第三者割当増資の一部を引き受けました。
Gogoro社は、バッテリー交換式電動スクーター(スマートスクーター)と交換式バッテリー用充電ステーション(GoStation)を製造しており、そのデザイン性の高さと先進性から、台湾においては高い認知度を得ているスタートアップ企業です。現在、台湾全土におけるGoStationの設置数は400カ所以上に上ります。2015年の販売開始以来、スマートスクーターの累計販売台数は3万4千台以上で、既に台湾以外への進出も果たしており、2016年にベルリンへ、2017年にはパリへも出し、シェアリング事業を展開しています。
住友商事は、沖縄県石垣市におけるエコアイランド化構想をサポートする一環で、Gogoro社の日本への初の展開として、地場企業と協力しながら、石垣島におけるスマートスクーターとGoStationを活用したシェアリングサービスの今年度中の開始を目指します。」
としている。
石垣市としてはGogoro社の電動スクーターを、急増する観光客向けの足として利用してもらい、駐車場不足や環境汚染などの問題を一気に解消しようという計画だ。
ここで中心となるGogoro社の電動スクーターの詳細を取り上げるべきなのだが、これまでの電動スクーターメーカーと違うのは、「わが社はスクーターメーカーではありません。バッテリーメーカーでもありません。オープンプラットフォーム企業なのです」(GogoroのHorace Luke CEO)つまり電動スクーターは手段であって、最終目的ではない、ということ。したがって電動スクーターの特徴も、1充電で何km走れる、とか、性能はどれほどで、といった項目よりも、独自の技術と胸を張る6秒で可能な“バッテリー交換方式”であったり、これまた独自の開発である“交換式バッテリー用充電ステーション”の普及が主たる目的で、使用される電動スクーターは“交換式バッテリー”システムに対応していれば極端な話どんなカタチでもかまわない、ということだ。
“充電ステーション”という言葉も本来なら“電池交換ステーション”とでも命名した方がより特徴を表していると思える。ユーザーにとっては“充電”という言葉とは無縁になり、バッテリー残量が心もとなくなったらステーションに行ってポンと外し、充電済みの新しい電池と差し替えるだけ。充電はステーションの仕事で常時行ってくれているのだ。その充電にもこだわりがある。Gogoro社では、一部のGoStationでの充電に太陽光パネルによる再生可能エネルギーを活用している。災害時には防災拠点への緊急電力供給の役割を担う設備としても活用する予定とか。
石垣市と住友商事としては、「本事業を通して、石垣島の世界に誇る自然環境の保全に貢献し、自然が生んだエネルギーと先端の技術を組み合わせ、市民の生活をサポートし、魅力のある観光資源の発掘・育成に取り組みます」としている。
クルマの世界では今年に入って一気に電動自動車の話題が沸騰しているが、電動二輪の普及はこういった地道な活動を積み重ねて行くのが無理のないところだろう。そういえば、今年の9月スタートを目標に「さいたま新都心駅東口自転車等駐車場における一般ユーザー向け原付一種クラス(第一種原動機付自転車。道路運送車両法で定める、総排気量50cc以下のエンジン、または定格出力0.60kW以下の電動モーターを搭載する二輪以上の乗りもの)の電動バイクのレンタルとバッテリー交換サービスを開始。レンタルされる車両は、ヤマハのE-Vino(イービーノ)30台で、7月21日からさいたま市のホームページにて利用希望者を募集。将来的には、この実証実験のほか、電動バイクのシェアリングの実証実験も検討している」というニュースを紹介したが、こちらの実証実験の進捗具合はいかがでしょうか。
■Gogoro社 https://www.gogoro.com/(外部のサイトへ移動します)