2017年9月22日
GSX-S125 ABS/Address125 『意気込み満載、スズキ2つの新125』
■撮影:依田 麗
■スズキ http://www1.suzuki.co.jp/motor/
平成28年国内排出ガス規制によって日本の二輪車ラインナップ、さらには世界の二輪車ラインナップの新陳代謝が始まったようだ。スズキはまず、原付二種のラインナップが変わろうとしている。9月29日から発売されるスクーター「アドレス125」と、10月11日から発売のロードスポーツ「GSX-S125 ABS」を新規投入! 色々と注目されている125ccクラスだけに、スズキの意気込みを感じる2機種だ。
V125シリーズを大きく下回る車両価格戦略もトピック
ひとまわり大きくなった? いや、今までのV125シリーズ、さらに遡れば2ストローク時代のV100シリーズが原付二種としては異例にコンパクトだったのかもしれない。生産終了となったしまったアドレスV125シリーズの跡を継いで”V”の字がとれたニューモデル「アドレス125」の見た目の第一印象である。
アドレスV100&V125シリーズが”通勤快速”として大ヒット、長きに渡って親しまれてきた理由は、その優れた動力性能に加え、軽さや取り回しの良さなどもあったはず。そんなチャームポイントと言えたコンパクトなボディサイズを、新型アドレス125が継承しなかったことを意外と思う人は多いだろう。アドレス125をグローバルモデルとして展開するスズキ社内の事情はもちろんあるだろうが、これまでのアドレスV100&V125ユーザーにリサーチしてみると「もっとコンパクトに!」という極端な意見がある一方「もうちょっとゆったり走りたい」という声も多かったとか。「ならば、これまでのアドレスVシリーズが得てきた高い評価ポイントを進化させつつ、より快適なモデルにしようじゃないか」と開発されたのが今回のアドレス125となる。
アドレス125は「毎日の生活を支える、スタイリッシュスクーター」をコンセプトに掲げ、快適性と実用性にこだわって開発された。快適性の面では、フロアボードにゆとりをもたせることでライディングポジションの自由度を高めたり、シートはタンデム時なども考慮したゆったりサイズに。スカイウェイブなどへの採用でもお馴染み、カットフロアボードによって足着き性も確保された。また、フレームは最適な剛性バランスが求められ、サスペンションのセッティングの煮詰めなどによっても快適性が追求されている。
もちろん、車体のサイズアップによって、これまで好評を博してきたアドレスVシリーズの優れたパフォーマンスをスポイルしてしまっては元も子もない。平成28年国内排出ガス規制に対応した125ccエンジンは、アドレス110やV50などでお馴染みとなっているSEP(スズキ・エコ・パフォーマンス )のマスコットネームをもつ新開発ユニットで、燃費のみならず街中でのスムーズな発進、スムーズな走行も追及、スズキらしいまじめな作りこみが特徴に。CVTの最適なセッティングともあいまって、V125シリーズを上回る加速力を実現したという。
他、インナーラックやリアキャリアの標準装備など、ユーティリティ面でも抜かりない。四半世紀以上に渡って”通勤快速”を作り続けてきたスズキ、さすが原二スクーター・ユーザーの心理を理解した仕上がりぶり。加えて、代替えや原付一種(50cc)からのステップアップを考慮し、V125シリーズを大きく下回る車両価格戦略もトピックと言える。
GSXシリーズの哲学を125ccクラスで体感できるよう開発
一方、昨年のEICMA(ミラノショー)にて発表、遂に日本市場にも投入された「GSX-S 125 ABS」。かつてエントリーモデルであった50ccが皆無な現在、ミニマム・サイズのロードスポーツと言える。ただ、スズキはエントリーからベテランユーザーに向けて前後に17インチタイヤを履くフルサイズ・ロードスポーツを選択。KTMの125DUKEあたりがライバルとなるだろう。また、今年1月から販売が開始された150ccクラスのロードスポーツ、ジクサーとはキャラクターが異なるエントリーモデルと位置付けているようだ。ちなみに、日本市場でスズキの125ccクラス・フルサイズのロードスポーツの投入は、1995年のRG125γ/ウルフ125以来。4ストローク・エンジン搭載モデルとしてはGS125Eカタナ以来かもしれない。
昨年のインターモト(ケルンショー)で発表されたフルカウルのスーパースポーツ「GSX-R 125」のスーパーネイキッド版、という出で立ちは、兄貴分の1000や750と同じ。”GSX”シリーズとして恥ずかしくないパフォーマンスを追求し、新たな市場開拓を狙っているという。
GSX-S 125 ABS は、GSXシリーズが求める”走る・曲がる・止まる”の高い基本性能を125ccクラスでも体感できるよう開発。新設計となる水冷DOHC4バルブエンジンを搭載し、軽快な乗り味を狙っているという。一方でハンドルの切れ角を40度に設定するなど、街中での取り回しの良さも特徴だ。
軽快感はエクステリア・デザインでも表現され、多機能のインパネやLEDヘッドランプといった装備類もスーパーネイキッドに相応しいもの。軽量・小型の最新ABS(ボッシュ製)を標準装備としている点も、スズキがこのモデルに対する思い入れが感じられる。
先日、英国のシルバーストーン・サーキット周辺で行われた試乗会では、欧州のジャーナリストを中心に高評価を得たという。
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