2017年8月17日
コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース
「ヤマハ強し!」
1978年に始まった“真夏の祭典”鈴鹿8時間耐久ロードレースが40回を迎えた。
ライダーの聖地“8耐”として親しまれ、数多くのドラマを生んできた。
今年も11時30分にスタートし8時間後の19時30分に、真っ先にチェッカーを受けたのは#21 YAMAHA FACTORY RACING TEAMだった。
これで3連覇を達成し、ヤマハとしては通算7回目の優勝となった。
●写真&写真キャプション:楠堂亜希
7月28日(金曜日)の予選だけでなく、翌29日(土曜日)予選上位10チームだけが、2名のライダーで各々1周だけのタイムアタックを行うトップ10トライアルでもトップタイムは、三連覇を狙う#21のYAMAHA FACTORY RACING TEAMのYZF-R1だった。
決勝のグリッドでヤマハの後に並んだのは、#12 YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACINGのGSX-R1000。#11 Kawasaki Team GREENのZX-10RR。#5 F.C.C.TSR Honda、#634 MuSASHi RT HARC-PRO. Hondaの CBR1000RR SP2。
打倒YAMAHA FACTORY RACING TEAMとして各社の実力チームが並んだ。マシンの規定が少し違うが、スーパーバイク世界選手権で破竹の勢いで勝っているカワサキZX-10RR、新型マシンになったスズキGSX-R1000とホンダCBR1000RR SP2がどう戦うか、40回を迎え記念大会となった“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレースの決勝は、30日(日曜日)11時30分、おなじみのル・マン式スタートで幕を開けた。

スタートダッシュに出遅れたもののマシンの良さを十分に引き出しレオン・ハスラム(#11 Kawasaki Team GREEN)がホールショット。
ホールショットを決めたのは3番手スタートの#11 Kawasaki Team GREENのレオン・ハスラムだった。しかしすぐに#634 MuSASHi RT HARC-PRO. Hondaの高橋巧が首位を奪う。そのすぐ後ろに#21 YAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行がぴたりとマークする。2周目に、2番手グリッドだったがスタートが上手くいかずトップグループから遅れ10位付近を走行していた#12 YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACINGのエースライダー、津田拓也が先を急いだことからか、他車に追突して転倒。勝ちを狙える速さを持っていただけに、その場面がモニターに映し出されると、鈴鹿サーキットでは驚きと落胆の声が漏れた。

序盤のトップ争いを演じたのは、#634 MuSASHi RT HARC-PRO. Hondaの高橋巧、#21 YAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行、#11 Kawasaki Team GREENのレオン・ハスラムだった。
スタートして20 分ほどを過ぎたところ西コースで雨粒が落ちペースが乱れ、ピットではレインタイヤを用意するチームも。しかし雨は上がりトップグループに大きな波乱はない。#634 高橋と#21 中須賀による3位以下をやや離しながらのデッドヒートが続いたが、高橋の真後ろで様子をみながら走っていた中須賀が、“満を持して”という表現がしっくりくるように前に出た。レース開始から約1時間後、各車のピットインが始まる。#21はトップのままアレックス・ローズ選手へ交代。#634は高橋からジャック・ミラーへと交代。

1回目のライダー交代後、#21 アレックス・ローズと周遅れを挟んで#634 ジャック・ミラーの争い。
このタイミングで、セーフティーカーが入っていた。この影響を受けてしまったのが、9年ぶりの8耐参戦で話題になっていた#19 MORIWAKI MOTUL RACINGだった。一時は4位まで上がった清成龍一から、高橋裕紀へとチェンジしピットアウトしたが、タイミングが悪くコースインを許されず。これで1周遅れとなり順位を10位近くまで落とすことになった。高橋は懸命な走りで徐々に順位を上げていくが、この後、清成の転倒があり上位入賞争いからモリワキは脱落した。

#19 MORIWAKI MOTUL RACINGは2時間あまり経過したあたりで清成が転倒、50位以下に転落するも必死の挽回で27位ゴール。

#12 YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACINGのエースライダー、津田拓也はスタートで出遅れ、2周目他車に追突して転倒してしまった。

2コーナーのイン側は「激感エリア」。間近で駆け抜けるトップ争いが堪能できるんです。序盤ウチらカメラマンもここのモニターのお世話になってます。
スタートから2時間経過、#21 YAMAHA FACTORY RACING TEAMと#634 MuSASHi RT HARC-PRO. Hondaの順位は変わらず。最初のピットイン前に#11 Kawasaki Team GREENの前に出て3番手に上がっていた#5 F.C.C.TSR Hondaがドミニク・エガーターからバトンを受けたランディ・ドゥ・プニエがトップから1分ほど遅れながらも3位をキープ。TSRチームはレースウィーク直前にステファン・ブラドル選手が病気の為来日できず、急遽、若手のジョシュ・フックをリザーブライダーとして起用。レースはドミニクとランディのふたりで戦う作戦に変更を余儀なくされていた。

#5 F.C.C.TSR Hondaは、30ラップでピットインという群を抜いた燃費仕様マシンだった。ジョシュ・フックは走らず、ドミニク・エガーターとランディ・ドゥ・プニエの2人で走行。

ジャック・ミラー(#634 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)はテストから積極的にマシンについてコメントを出していました。なんでもカッコよく乗りこなす選手。
ここでまた波乱が起きた。71周目、2位を走っていた#634の現役Moto2ライダーで、初めて8耐を走る中上貴晶がヘヤピンでフロントから転倒。すぐに再スタートできたが順位を4番手に落とした。3時間経過、#21は2位を2分ほど離して単独トップ。ここで2位争いが激化、#5 F.C.C.TSR Hondaのドミニクが#11 Kawasaki Team GREENのレオンを追いついて接近戦に。白熱したバトルは#5がランディ、#11が昨年は前を行くTSRチームから8耐に出ていた渡辺一馬にチェンジしても続いた。

Moto2で活躍する中上貴晶(#634 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)が初めて8耐を走った。しかし71周目のヘヤピンでフロントから転倒、順位を4位に落とす。


2014年チームカガヤマでの起用から人気がうなぎ上りのドミニク・エガーター(#5 F.C.C.TSR Honda)。
折り返しの4時間経過。トップは淡々と走り続ける#21。2位は#5、3位は10秒ほど離れた#11。4位は#634。この順位は5時間経過、6時間経過、7時間経過しても変わらなかった。しかし#21のヤマハは2位以下をラップしていた。このままの順位で終了かと思った夕闇に包まれたコースで最後のドラマが起きた。2位を走っていた#5。ライダーはランディ。ゴールまで30分を切った時、アンダーカウルの中で火が上がるF.C.C.TSR Hondaの青いマシンがモニターに映し出された。マシンはなんともないようだが、日が落ちたことで、その火が不気味に光った。機械的な問題からピットインを指示するオレンジサークルフラッグ、通称オレンジボールが#5に振られた。長時間の走行で中に入り込んだタイヤカスがマフラーの熱で燃えていたのだ。ランディがピットインした時には火は消えており、すぐに再スタートとなったが、順位を1つ落とし3位に。


ゴールまで残り30分……。カウルに溜まったタイヤかすが燃えて緊急ピットイン、順位を3番手に落としてしまった#5 F.C.C.TSR Honda。


#090 au&テルル・Koharaレーシングから参戦した長島哲太。
19時30分、チェッカーフラッグ。#21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM(中須賀克行/アレックス・ローズ/マイケル・ファン・デル・マーク)が、ホールショットこそ逃しているものの、予選、トップ10トライアル、そして本番である決勝の全てで1位という完全勝利。同チームでの3連覇は8耐の40年の歴史でも初という快挙であった。2位は、大きな波乱もなく走り続けた#11 Kawasaki Team GREEN(レオン・ハスラム/渡辺一馬/アズラン・シャー・カマルザマン)。3位は#5 F.C.C.TSR Honda(ドミニク・エガーター/ランディ・ドゥ・プニエ/ジョシュ・フック)。
1位のヤマハは同じようなタイムで走行していても、他チームより余裕があり安定感があるように見えた。それが速さであり強さだろう。そして、それを追うべき有力チームはペースを上げることを余儀なくされ自滅するようなアクシデントを招いた。横綱相撲というべき勝利であった。











[昨年の8耐レポートへ] (PCサイトへ移動します)