2017年8月4日
Hondaコレクションホール収蔵車両走行確認テスト
「闘うDNA」2017年夏その1
恒例となったホンダコレクションホール所蔵車両の走行確認テストが、2017年7月ツインリンクもてぎにて開催された。
今回走行したレーサー二輪8台、4輪3台の計11台。そのうちまだ紹介していない6台を順次ご紹介。
●撮影ー依田 麗
●取材協力-ホンダコレクションホール http://www.twinring.jp/collection-hall/
ホンダ /http://www.honda.co.jp/motor
年々スプリントレース化が進む鈴鹿8耐は1994年、従来のTT-F1からより改造範囲の狭いスーパーバイクへとレギュレーションが変更され、スターティンググリッドも前日のスペシャルステージのタイムによって決まるという新ルールが採用された。この変更に合わせ新たにベースマシンとなったのは、同年1月に500台限定で発売されたホモロゲーションマシンRVF(RC45)。カムギアトレーンのV型4気筒DOHC4バルブ749ccエンジンは、PGM-FIを採用。フレームは薄型のアルミ・ツインチューブのダイヤモンド形式。フロントφ41mm倒立、リアはアルミプロアーム。各部パーツにはチタン合金やマグネシウムが多数使われるなど、ワークスRVF750で培ったテクノロジーを盛り込んだ公道版RVF750といえる内容と姿であった。8耐デビューとなった1994年第17回大会で、ダグ・ポーレン/アーロン・スライト組(Team HRC #11)が見事初勝利を飾った。新ルール2年目となる1995年の第18回大会では、優勝車のラップ数が212周を記録する白熱した激しいバトルが展開され、そんな激戦の8耐を征したのが、今回走行したアーロン・スライト/岡田忠之組がライディングしたゼッケン11・Team HRCのRVF。このマシンは1994年12月に期間限定で販売された1995年モデルのRVF(RC45)がベースで、前年に続き安定した速さで見事に8耐連覇を達成した。ちなみに岡田は8耐初勝利、アーロン・スライトは8耐史上初となる三連覇(1993〜1995年)も達成というおまけまでついた。
こちらで動画が見られない方は、YOUTUBEのサイトで直接ご覧ください。1978年第1回鈴鹿8耐に出場したRCB以来、ホンダワークスは直列、V型と形を変えながらも4気筒エンジンで戦い続けた。1997〜1999年はRVFが三連覇を成し遂げていたのだが、現状に満足することなく新たなるチャレンジを模索すべく、2000年にホンダワークスとしては8耐初の2気筒マシンVTR1000SPWを実戦投入した。当時のSBKレギュレーションでは4気筒車は750cc、対して2気筒は1000ccまでという排気量のアドバンテージを生かし、162kgという軽量コンパクトな車体に、RVFを大きく上回る180ps以上を発生するハイパワーエンジンを組み合わせたニューマシンは、市販バージョンVTR1000SP-1の企画段階から、HRCと朝霞研究所(現2輪R&Dセンター)が共同開発するという初の試みで開発された。デビュー戦となったル・マン24時間耐久レースで見事初勝利を飾り、鈴鹿8耐ではホモロゲーションマシンとして市販されたVTR1000SP-1ベースのスーパーバイク仕様が投入された。市販車ベースとはいえ、少しでもファジーな走りをすれば狙ったラインには行けず、ライダーが積極的に速く走らせなければならなという、スプリントレース並みのシビアなセッティングが施されていた。8耐デビューの2000年第23回大会はこの宇川 徹/加藤大治郎組(#4)のVTRが全車を周回遅れにして215周という新記録で見事優勝、翌2001年はバレンティーノ・ロッシ/コーリン・エドワーズ/鎌田 学組(チームキャビンホンダ#11)、2002年はワークス2台(チームキャビンホンダ#11・#33)と桜井ホンダ(#71)のVTR1000SPWが1〜3位と表彰台を独占、VTRの最終年となった2003年第26回大会は、ホンダワークス勢が全滅するも再びチーム桜井ホンダ♯71の生見友希雄/鎌田 学組が優勝し、参戦した3年間、まさに無敵の強さをみせた。
こちらで動画が見られない方は、YOUTUBEのサイトで直接ご覧ください。事前の走行予定車リストにはなかったが、サプライズとして登場したのは2004年8耐仕様セブンスターホンダのCBR1000RRW。SBKのレギュレーション変更(4気筒車は750から1000ccに拡大)にあわせ、MotoGPで大活躍のRC211Vのテクノロジーとイメージをふんだんに盛り込み、2004年デビューした直4エンジンを搭載した市販モデルCBR1000RRがベース。新たに製作された4気筒DOHC4バルブエンジンは998cc。V4エンジン並みにコンパクトとなり、ストック状態でも最高出力172ps/11250rpm、最大トルク11.7kg-m/8500rpm(フルパワー輸出仕様)というハイスペック。RC211Vを思わせるセンターアップマフラーも大きな特徴で、まさにレースに勝つためのマシンで、SBK仕様のCBR1000RRWは、5月の鈴鹿300kmレースでデビューウインを飾った。直4エンジンのホンダワークス8耐マシンとしては、1982年のRS1000以来なんと22年ぶりで、当然ホンダファンの期待も高く、先々代のRVF750、先代のVTR1000SPWという常勝レーサー以上の戦闘力と結果が求められた。8耐デビューとなった2004年第27回大会は、序盤から転倒が相次ぎ、12周目にペースカーが入る波乱の展開となったが、終わってみれば宇川 徹/井筒仁康組(セブンスターホンダ#7)のCBR1000RRWが優勝。3位〜7位をCBR1000RR勢が独占するという、ポテンシャルの高さを見せつけた。
戦うDNA 2017・夏その2は近日公開予定です。しばらくお待ちください。
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