2017年7月20日

KAZEサーキットライディングスクール in 袖ヶ浦フォレストレースウエイ

熱血‼︎レッスン KAZEサーキットライディングスクール in 袖ヶ浦フォレストレースウェイ

●レポート&写真:泉田陸男
●取材協力:株式会社カワサキモータースジャパン http://www.kawasaki-motors.com

サーキットはレースに出るためだけの場所にあらず。“安全にスポーツライディングを楽しむ場所”をコンセプトに、サーキットを楽しむ為に必要な知識やテクニックを、座学を交え体験できる『KAZEサーキットライディングスクール』が袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催された。

開講一番……基本レッスンから

 KAZEサーキットライディングスクールは、サーキット初心者のライダーを対象としたレッスンで、サーキット走行を安全に楽しむ為に必要な、フラッグの説明や、コースイン・コースアウトの方法、ブレーキング、コーナリング、ライディングフォームなどの実技と座学を受講してライディングテクニックと知識を学習できる貴重なスクールだ。ちなみに「KAZE」とは、カワサキ・ファンならだれでも入会できるカワサキ・ライダーのためのユーザークラブ・KAZE(Kawasaki Amusing Zone for Everybody )のことだ。
 中部地区は愛知県の美浜サーキットで開催された後、関東は千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイで開校され、サーキットを走ってみたいというライダー19名が7月15日土曜日を待ちかねたように集まった。集まったライダーは筋金入りのカワサキファンが多かったが、カワサキが主催しているからといって他社のマシンが参加不可という懐の狭いことはない。
 参加者は午前9時から9時半の間に受付を済ませ、サーキット走行に適したウエア、プロテクターを身に付けて開校式の行われる教室に集合。プロテクターは当日カワサキで借りることも可能で、さすが“初心者向け”と銘打っているだけの心配りはKAZEならではだ。
 開講には主催のカワサキモータースジャパンに続き、校長であるKawasaki Team GREENの柳川明選手が挨拶し始まった。柳川校長の他、当日実地にレッスンしてくれるメインインストラクターの中井直道(なかいなおみち)氏、チーフインストラクターの沖充章(おきみつあき)氏が紹介され実地レッスンに際しての安全注意事項から実践テクニックの説明などが講義された。いずれも安全と基本を重視したサーキットを安全に楽しむ為のレクチャーだった。
 座学の後はパドックに設営された特設会場でパイロンスラロームやブレーキングテクニックの実践練習などが柳川校長とインストラクターの指導のもとに午前中一杯実施された。実践練習の前には入念に準備体操が行われ、ライダーの身体にも入念な準備がなされた。
 当日の天候は快晴、気温も時間とともにぐんぐん上がり、参加者達の体力にも大きな負担がかかることが予測されるコンディションにもかかわらず、参加者達はインストラクターの熱血指導に応えて真剣に練習していた。

開校式

開校式

開校式

開校式はパドック脇の研修棟2階の教室で行われ、カワサキモータースジャパンの主催者挨拶の後、インストラクターの紹介と柳川校長の挨拶で始まった。レッスンスケジュールや実践授業での安全ルール、好天気ゆえの熱中症への注意事項など楽しく安全に進行するための諸注意が説明された。勿論、受講者達は講習への期待を胸に真剣に聞いていた。

開校式

開校式の後パドックにて参加者全員が揃っての記念撮影を行い、スクールの安全と充実したレッスンを祈念した。

開校式

教習の最初は体を慣らすための準備体操から始まった。普段は縁のない体操に受講者の口からは悶絶の声も聞かれた。

開校式

実践講習のスタートはインストラクターによる解説と模範走行で始まり、その走行に参加者は自分にできるかどうか不安を抱いたに違いない。

開校式

参加者の実践走行はパイロンスラロームからスタートした。最初はギクシャクしていた走行も時間とともにスムーズさを増していった。

熱血実践レッスンに真剣

 柳川校長は、加速からの制動操作を自らデモンストレーションを行い、インストラクターは八の字走行のお手本ライディングを実演。参加者達はその後に同様の走行を練習し安全かつテクニカルなライディングができるように習得していった。校長自ら拡声器を肩にかけ檄を飛ばし、参加者一人一人に対して細かいアドバイスと熱血指導を実施。制動レッスンでは生徒がブレーキングで停まる度にフロントブレーキ、リアブレーキのバランスや、制動のタイミングなど具体的なアドバイスを教示してくれ、熱いレッスンが繰り広げられた。
 炎天下のパドックで教える側、教わる側共に汗だくになりながらも熱心に、そして真剣にレッスンを行っていた。

柳川校長

柳川校長自らが模範実技を披露する時速60kmからの急制動。国際A級のテクニックはスムーズそのものだ。

柳川校長

受講者の急制動訓練にはインストラクターや校長が個別に実技指導を行った。繰り返し実践することで技術向上する生徒に対し、アドバイスには校長以下更に熱が入っていた。

サーキット走行を楽しく安全に……

 午後からは参加者念願の実践サーキット走行レッスンが行われた。午前中のレッスンで身につけたテクニックを試す、不安と胸躍る期待とが入り混じる感激の時間だ。しかし、まだまだサーキット走行に必要な基礎知識を勉強しなければサーキットデビューはできない。当然、スクールではサーキット走行のルールも教えてくれるし、柳川校長による実践走行のテクニックから攻め方まで教えてくれるのだからたまらない。もちろんレースではないので、安全第一の走り方、そして楽しいサーキットの走り方を最優先にした講義だった。
 そしていよいよコースインしたのだが、ここでも“安全で楽しく”を配慮して参加者をグループ分けしての走行が実施された。午前中のレッスンでも大排気量スポーツバイク系と小排気量ネイキッドバイク系に分けてのレッスンが実施されたのだが、そのグループ分けを継承して完熟走行を実施してから更に技量、ライダーの特質でグループ細分を行うという配慮だった。
 コース走行は20分の周回を3回行い、走行の間の休憩時間には柳川校長やインストラクターから“ライン取りや体の使い方”など座学でのレッスンと参加者本人を比べての具体的レクチャーが行われ、参加者にとって大満足のレッスンだった。レクチャーを受けた受講者達は、コースの周回を重ねるごとにペースアップし、より速い参加者は柳川校長が先導する速いグループへと編入し、技術を磨きたい参加者は更に細分化したグループに加わりそれぞれのインストラクターの先導で実践レッスンを受けていた。
 全走行を終えたピットでは校長を囲んでの質疑応答が行われ、実践レースでの必勝テクニックやレーシングエピソードなどの質問も飛び出し、充実した一日が終了した。
 閉校式では無事故、無転倒でスクールが終了したことの意義が評価され、参加者が無事に帰宅するまでがスクールの授業だと締めくくられる楽しく、安全第一のレッスンが主張されたスクールだった。

サーキット走行前の講習

サーキット走行前の講習では柳川校長により様々なルールや注意点が説明され、コースのライン取り、ブレーキポイントなどまでが教示された。

ピットロードに整列した参加者のマシン

本コース走行を前にパドックからピットロードに整列した参加者のマシン。柳川校長を先導に期待のサーキット走行がスタートした。

サーキット走行

サーキット走行

受講者達は周回を重ねるたびにその走りがスムーズかつ速くなり、前車との間隔も均等な綺麗なコーナー進入で厳しい暑さも忘れて、サーキット走行を楽しんでいた。

柳川校長への質問タイム

チェッカーフラッグを受け、ピットでの柳川校長への質問タイムには様々な質問がぶつけられていた。閉校式ではさらなる向上のためにスクールやイベントへの積極参加が呼びかけられた。

参加者にインタビュー

三田智史


■三田智史(ミタ サトシ) ■年齢:39歳 
■会社員 ■埼玉県川口市から参加
■ZX-6R ■2014年式
普段はソロのツーリングを楽しんでいるツーリング派。「SNSのポップアップ広告でこのスクールのことを見つけて参加を決めた」と言う。コース走行はインストラクターの先導走行があるので安心して走れた。特にブレーキングとコーナリングのレッスンはライディング技術を磨くのに役立った。これからもこういったスクールなどがあれば積極的に参加していきたいとのこと。

高橋弘明


■高橋弘明(タカハシ コウメイ)さん ■年齢:44歳
■会社員 ■東京都杉並区から参加
■ZX-10R ■2016年式
熱狂的な柳川選手のファンで、「柳川選手に会うためにスクール参加を決めました」。月一でサーキットを走るスポーツ走行派で柳川選手の走りを間近で見て、その凄さを実感したそうだ。8耐で活躍する柳川選手を見て大ファンになり、本人に会えた感激で大満足とのこと。ZX-10Rは耐久やJSBなどレース実績を積んだマシンということで選んだ。

葉山純一


■葉山純一(ハヤマ ジュンイチ)さん ■年齢:39歳
■会社員 ■神奈川県横浜市から参加
■Ninja250SL ■2015年式
1年前まではオフロードに乗っていたのだけれど、オンロードに乗ってみたくてNinjaを購入し、購入したカワサキの販売店から紹介されてスクールに参加したそうだ。レッスンはとても楽しく、自分に染み付いていたオフロードの癖を直すためにはとても役に立ったと思っている。「サーキット走行ではタイムを縮めるなどの目標があって面白く、公道よりも安全なので楽しい」

奥田奈巳紀


■奥田奈巳紀(オクダ ナミキ)さん ■年齢:23歳
■製造業 ■東京都板橋区から参加
■ZX-6R ■2016年式
免許を取得してからまだ2年未満の初級ライダーで「普段はツーリングで関東近郊を走り回ることが大好き」というツーリング派。兵庫のカワサキワールドで見たカワサキのスポーツバイクに憧れてZX-6Rを購入、その性能に助けられているという。カワサキのHPでスクールを知って参加したが、今までは車体を傾けて曲がるバイクの特性が苦手だったけれど、スクール参加で解消でき大変良かったと言う。

藤巻真也


■藤巻真也(フジマキ シンヤ)さん ■年齢:55歳
■会社員 ■神奈川県横浜市から参加
■CBR600RR ■2014年式
KAZE会員に送られてくる会報誌でスクール開催を知り販売店を通じて申込参加した。往年のレーシングライダーに憧れてバイクに乗っているが、最近はレースでなくとも気軽に楽しくサーキット走行ができるので、「柳川校長のようにカッコ良くサーキット走る走行写真を撮って、写真を自分の部屋に飾ることが目標」だそうだ。