2017年6月30日
MBHCC D2 バソ 幻立喰・ソ
第83回「ぎんざ(堂)NOW」
前回ちょこっとふれた「おいしいやつに決まってるよ!」問題。料理が紹介され、わーわー、きゃーきゃーの後、実食。お口に放り込んだ瞬間、おめめをカッと見開き「うん〜うぅ〜〜〜〜んぅん。もぐもぐ」と唸るあれも、昨今目にします。
お友達と連れだって評判店で1時間以上並び、わくわくどきどきの1口目、予想にたがわぬおいしさならば、自然と口に出るでしょう。で、2口目はどうするの? それはともかく、おひとり様だとどうでしょう。女性なら許されますが、おっさんひとりは不気味です。こういう場合は「なるほどなるほど、こうきましたか」(ほーほー顔+小声で)です。テレビやグルマン人ブログでは常套句ですが、現実に遭遇したことがありません。残念です。ハイソなグルマン、イケてるみなさん、自意識高い高いばぁ系の人々が集うような店では、「うん〜うぅ〜〜〜〜んぅん。もぐもぐ」「なるほどなるほど、こうきましたか」とあちらこちらから聞こえてくるのでしょう。想像するだけでうっとりです。
一度くらいはしたり顔で言ってみたいものです。あっ、したり顔は、わかりますね?「する」(動詞)の連用形「し」に、助動詞の「たり」をくっつけたやつです(わかっているような解説ですが、まるでわかっていません。いつものことです)。
「やりたきゃとっととやれや!」
ぼちぼち三大袋のひとつ、堪忍袋の緒がプチンでしょう。堪忍袋といえば1973年3月31日、国鉄上尾駅でおとーさんたちの堪忍袋がぶち切れたのが上尾事件です。ならば国鉄三大ミステリー事件のうち、松川事件、三鷹事件はいいとして、下山事件は五反野事件と呼ぶのが正しいんじゃないかと? 下山事件と呼ぶのであれば、松川事件は421列車事件、三鷹事件はモハ63事件と呼ぶのが筋ではないのかとも? と誰も思いません。もちろん私も(いつもの行数かせぎ)。
唐突ですが、グルマンシティといえば銀座です。日本中に銀座は山ほどありますが、○○銀座じゃなくて、添加物ゼロ、「しろうとコメディアン道場」が行われていた「ぎんざNOW!」のあの銀座です。ひとすわりうん万円という一見さんには敷居が他界、いや高くて他界しそうなお店に入ったことはおろか、どこにあるのかも知りません。知ったところで入れないので、知らなくてよかったです。
銀座とは無関係の上尾に、特大ブランドの「銀座」だけでは足りないのか、ワンランクアップしそうな「堂」も付いた、立喰・ソだとはお釈迦様でも気がつくめえ、いや、さすがにお釈迦様は気が付くねの銀座堂はありました。こんな店名の立喰・ソに出会ったら「うん〜うぅ〜〜〜〜んぅん。もぐもぐ」も「こうきましたか」もすっ飛ばし、素直にびっくりぎょうてんするのが、正しい出会い方です。
名前だけなら、それほど驚きませんが(いや、充分驚きます)、名は体を表すということわざのとおり、店構えに驚きます。のれんと行灯がなければ画廊です。幸か不幸か、幸でも不幸でも関係ないのですが、幸い(さいわい)画廊に入ったことはありません。通りすがりの佐藤蛾次郎さんに「ここは画廊だ」と言われたら画廊だと思うでしょう。いわれなくても思うはずです。素直な心さえあれば。
これが銀座+堂の威力です。人間とは、いかに権威に弱いかを思い知らされます。
小心者の私ですが、清水の舞台から飛び降りるつもりで、もちろん飛び降りたことがないのでどんな気持ちかはわかりませんが、わかった人はもうこの世にいないのです。女心も同様にわかりませんが、解っているナイスボーイはたくさんいます。と、気を紛らわし(長いよホントにムダが……我ながら)最初の一歩を踏み入れると目の前に広がるのは、画廊でもガロが通った学生街の喫茶店でもなく、正しい昭和立喰・ソでした。表は気品高く、中は気取らず。ツンデレ立喰・ソです。とはいえ勝手に、銀座+堂の看板に恐れおののいた顛末ですが。
私と上尾には接点がなく、上尾事件がなければ知ることもなく、銀座堂がなければ行くこともなかったでしょう。上尾事件もすでに44年前で165系2本をフルボッコにしたおとーさんたちも、好々爺か土の中でしょう。
銀座堂も2017年3月29日に惜しまれつつ30年以上の歴史に幕を閉じ幻立喰・ソになってしまいました。みなさんが最も知りたいであろう銀座堂の由来は、お話伺っておりませんので、いつものように永遠の謎の仲間入りです(たぶん、見かねた師匠が教えてくれるでしょう)。
キラキラ(してない)ネーム・ソ
お見送りさせていただいた銀座堂は高貴な立喰・ソネームですが、こちらはかなり破壊力のある幻立喰・ソネームです。発見した時に二度見三度見四度見五度見してしまいました。ずいぶん前からあるようですが、営業している様子はなさそう。すでに幻立喰・ソなのでしょうか。とはいえ、一見すると幻立喰・ソですが夜中はバッチリ営業している板橋区のHのような例もありますから油断なりません。さて、本題の「町人」ですが、今もあるかどうか不明です。なぜこの店名を付けたのか、大いに興味のあるところではあります(あるだけで、調べない)。
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