2017年5月12日
MBHCC-C2 ゆきゆきて道祖神 添乗員ヨッティのバイクツアー裏レポート
その27「ル・マン24時間 トリックスター応援ツアーの巻
すべてはこの記事から始まった(WEBミスター・バイク「第80回ボルドール24時間耐久レース・レポート」(※PC版に移動します))。
「プライベートチームが世界チャンピオンを夢見たっていいじゃないか!」という熱いキャッチ・コピーは、添乗員ヨッティの心を熱くさせた。この記事を読んですぐに、今年世界耐久戦(EWC)にフル参戦するトリックスター・レーシングの鶴田竜二監督に応援ツアーの企画をオファーし、さらに非常に多くの方々の協力を得て、このツアーは実現したのだった。
今回は観戦ツアーですのでバイクには乗りません。パリに到着後、バスでル・マンに向かいます。パリからル・マンへは約3時間の道のり。「ル・マンまであと〇km」という道路標識に心が高ぶります。やがて到着しました、ル・マン、ブガッティ・サーキット。世界耐久レースに興味なくとも、ライダーなら「ル・マン」の地名は知っているはず。「憧れの地に来たのだ。」それだけでもなんだか嬉しい。
到着したのは決勝レース前日。今回のツアー特典としてパドックパスも付けてもらっていたので、チームのパドックまで表敬訪問する。ちょうど予選が終了した後だったので、チームも和やかな雰囲気。明日の決勝に向けて、ライダーやチームクルーと握手したり、記念撮影したり。お互い貴重な時間を過ごす。テンション上がります。これこそ、応援ツアーの醍醐味。
そして、翌日の15時。8耐で見慣れた「ル・マン式スタート」でレースはスタートする。本家・本物「ル・マン式」だ。予選13位だった我らがトリックスターは6位まで順位を上げる。しかし、レース開始約3時間後、エルワン選手が周回遅れの予想できないライン変更にコースを阻まれ、接触・転倒。どうにか自力でピットに戻り、メカニックの手によってマシンを修復。22分のロスでレース復帰。しかし、この時点で順位は47位まで落としていた。
しかし、ここで諦めないのがトリックスターだった。日が暮れる頃からトップ・グループと変わらないラップタイムを刻み、徐々に追い上げていく。深夜、ツアーのお客様は一旦ホテルに帰って仮眠を取るが、その間もトリックスターの追い上げは止まらない。夜中、ホテルのベッドに横になりながら、インターネット配信されるライブ情報を見るたびに順位が上がっていく。興奮して全然眠れない! 夜、22時に35位まで回復していた順位は、朝5時には11位になっていた。眠い~なんて言ってられない。まだ真っ暗な夜明け前の暗いうちから再びサーキットに向かう。
夜明け前のサーキットはガラガラだ。ほとんど誰もいない。そんな中、トリックスター応戦席だけはスティック・ライトを振って応援しているアツイ集団がいた。それがピットからも見えたらしい。ピット・クルーやメカニックたちも観客席に向かって手を振ってくれる。トップを走るチームにもこんなにアツイ応援団はいない。ル・マンに来て、トリックスター応援ツアーが実現できてよかった! と一番感じた瞬間だった。
やがて東の空が徐々に明るくなる。美しい朝焼けの中を、マシンたちは暁の彗星のように駆け抜けていく。トリックスターも10位まで順位を追い上げ、さらに上を目指していたときのこと、出口選手がトップ争いをしているライダーに後ろから接触されてしまい、再び転倒。しかし、それでも諦めない。すぐに起き上がり、ピットに戻ってマシンの修復。最後の最後まで諦めない。これこそ、耐久レース。結果、12位でゴールとなる。
はっきり言って悔しかった。他車に巻き込まれていなかったら、間違いなく表彰台だったはずだ。しかし、これがレースだ。
今回はこのような結果だったが、私、ヨッティはお客様以上に感動してしまったかもしれない。「絶対に諦めない」という姿を、これほどまでに見せつけられたことは今までにない。
バイク・レースはMotoGPのようなスプリント・レースだけではない。本当の「強さ」というのは耐久レースに勝つことではないか? そして、耐久レースにはファクトリー・チームだけではなく、プライベートチームでも世界を狙える可能性が残されている。そこに夢があると思う。そして、もっともっと多くの人に、世界耐久レースを知ってもらいたいと思います。
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