2017年5月9日
MBFCC-B1 毛野ブースカ 湯めぐりみしゅら~ん"
第54湯:念願の栃尾又温泉制覇
読者の皆さん、お久しぶりでございます。毛野ブースカです。予期しない諸事情によって1年数ヶ月間、休載しておりましたが、これまた予期しない諸事情により(笑)戻ってまいりました。この1年数ヶ月の間に起こったドタバタ事情はさておき、再び「湯巡りみしゅら〜ん」を再開したいと思います。皆さまよろしくお願いします。
愛車は2015年夏に購入したホンダ400Xから変わりはないのだが、実はこの1年間、ロングツーリングにほとんど出かけることができなかった。なので今回は、2016年9月下旬に出かけた栃尾又温泉1泊2日ツーリングの模様をご紹介したい。
栃尾又温泉は新潟県魚沼市の山間にある秘湯だ。そもそもなぜこの栃尾又温泉を選んだのか…。遡ること今から9年前の2008年5月26日、初めて佐渡島にツーリングに行った帰り道、越後湯沢に向かう途中に栃尾又温泉があることがわかり、日帰り入浴していこうと立ち寄った。どの宿かは覚えていないのだが、フロントで日帰り入浴したい旨を伝えると「ここの温泉は日帰り入浴していないんですよ…宿泊者だけなんです…」と告げられてしまった。なかなか来られない場所なので入りたかったが、仕方ない。諦めて栃尾又温泉を後にした。それから、いつか宿に泊まって栃尾又温泉に入ろうと決めていた。
あれから8年の歳月が過ぎ、栃尾又温泉への欲求が高まり、2016年9月下旬、栃尾又温泉制覇への作戦が決行された。ネットで検索して宿泊先を「湯治の宿 神風館」に決定。料金は1泊2日2食付で7,850円だった。越後湯沢や魚沼市周辺の温泉はすでに入っている場所もあり、今回は栃尾又温泉だけに絞り、あとは成り行きとした。
出発当日、天気は午後から崩れるという予報。やはり湯巡りみしゅら〜んに雨はつきものなのか…。関越自動車道を進み、月夜野インターで下車。ここから国道17号線を進み、三国峠を通って、まずはJR越後湯沢駅に向かう。月夜野インターを降りてからだんだん雲行きが怪しくなり、三国峠手前で雨がポツポツと降ってきてしまった。心が折れそうになりながらも三国峠、苗場スキー場を通過。第1目的地であるJR越後湯沢駅に到着。
ここに立ち寄った理由は、駅構内にある「ぽんしゅ館越後湯沢店」内に設置された「雪ん洞」で供される「爆弾おにぎり」を食べるためだ。「爆弾おにぎり」とは1個1合分のコシヒカリ100%が使われたビッグサイズのおにぎりだ。数年前に食べて以来、漫画に出てくるようなおにぎりが忘れられなくなり、今回も立ち寄ってしまった。店内の作りは変わっていたが、爆弾おにぎりは健在。見た目、重量感ともに申し分ない。もちろん味も最高。もう1週間あとだったら新米だったらしく、今度来る機会があったら新米バージョンを食べてみたい。
爆弾おにぎりでお腹を満たしてJR越後湯沢駅を出発。栃尾又温泉まで国道17号線を淡々と進む。雨は止むことなく、前回来た時も曇り空だった記憶が蘇る。寄り道していこうかと思ったが本降りの雨に意気消沈。予定よりも早く栃尾又温泉に向かうことにした。宿に到着したのは午後3時30分。雨に濡れた装備を解除してチェックイン。宿の主人とおぼしきご老人(自分は勝手に湯守と呼んでいた…)が温泉を案内してくれるというので、ついていくことにした。
新潟県魚沼市にある栃尾又温泉は、1250年以上前に開湯された日本でも有数の放射能泉(ラジウム泉)である。私が選んだ神風館に加えて自在館、宝巌堂(ほうがんどう)の3つの温泉宿で構成されており、霊泉「したの湯」と霊泉「うえの湯」、さらに「奥の湯」を共同して使用している。栃尾又温泉のラジウム泉は泉温が35.4℃とぬる湯。どちらの湯にも源泉かけ流しの湯船と、加温した上がり湯が用意されているのが特徴だ。
湯守に案内されて神風館を出る。向かいにあるのが自在館。神風館の上に宝巌堂がある。自在館の下に「したの湯」があるという。湯治場として利用されている古い木造建物を通って「うえの湯」と「奥の湯」に向かう。「うえの湯」と「奥の湯」は外観や内装を見ると日帰り入浴施設のように見える。聞けば栃尾又温泉もかつては日帰り入浴をやっていたが、あまりにも入浴客が多いので日帰り入浴は廃止したとのこと。後日、私が訪れた2008年に撮影した栃尾又温泉の看板をよく見ると、栃尾又温泉センターの横に「日帰り入浴の営業は行なっておりません」と書いてあった。すでにこの時から日帰り入浴は行なっていなかったのだ。理由がわかり合点がいった。「うえの湯」+「したの湯」と「奥の湯」で1日ごとに男女が入れ替わるシステムになっている。
湯守の親切丁寧な案内を終えて、早速入湯開始。この日は「奥の湯」が男性、「うえの湯」「したの湯」は女性だったので、初日は「奥の湯」、2日目朝に「うえの湯」と「したの湯」に入ることにした。早速「奥の湯」に入ってみることにする。お湯は肌触りが優しい無色透明。泉温35.4℃ということもあり、季節的にはそれほど寒くはなかったが、ぬるい。いつもならせわしないのだが、今回はゆっくり長湯。飲泉できる温泉なので、飲泉しながらじっくり浸かる。宿に泊まらないと、この温泉は楽しめないと実感した。