2017年3月16日
ホンダ CBR1000RR/CBR1000RR SP
CBR1000RRが各部を熟成させるとともに、操る楽しみを進化させた新型へ
2,014,200円~2,046,600円/2,462,400円(3月17日発売)
CBR954RRの後継モデルとして2004年4月に発売されたスーパースポーツ、CBR1000RR。2002年、2003年と2年連続でMotoGPチャンピオンマシンとなったRC211Vの先進技術を取り入れて新開発された水冷4ストロークDOHCエンジン、ユニット・プロリンクサスペンション、センター・アップ・エキゾーストシステム、電子制御油圧式ロータリーダンパー、HESD(ホンダ・エレクトロニック・ステアリング・ダンパー)など当時のホンダの先進技術の粋を集めたマシンだった。
その後、2006年2月には、車両重量を4kg軽量化、カウル表面積を約13%縮小するなどの改良が行われた。エンジンもシリンダーヘッドの形状やサイズを見直し、バルブ形状、燃焼室形状を含めての改良で、足回りではフロントディスク径の拡大、キャスター角、トレール量を変更するなどにより、より軽快な操縦性の実現とマスの集中をはかっていた。
2008年9月には「オール・ザ・ベスト・イン・スーパースポーツ」をキーワードに初のフルモデルチェンジが行われた。更なる運動性能の向上を図るため、空力性能の向上とマスの集中化が行われ、よりコンパクトなフォルムのボディデザインに変更されている。スタイリング上の特長でもあったセンターアップ・マフラーは、キャタライザーを内蔵する特徴的なデザインの角張ったサイド・マフラー形式となった。
エンジン面ではシリンダーヘッドが小型化され、各パーツの徹底的な軽量化と合わせて、エンジン単体で約2.5kgの軽量化とコンパクト化を達成している。継続して採用されたPGM-FIと新採用の触媒により平成19年国内二輪車排出ガス規制をクリア。
2011年12月には、足回りを中心に大幅な見直しが行われた。操縦性を大きく左右する前・後サスペンション及び前・後ホイール形状を変更。ブレーキング時の安心感と立ち上がりのトラクション性能を向上させ、スポーツライディング時の扱いやすさもさらに向上させた。その他、メーターは視認性の高いフル液晶画面を採用、新たにギアポジションインジケーター、サーキットでのスポーツ走行に役立つラップタイマー、REVインジケーターを設定し、スポーツライディングにふさわしい装備としていた。
外観では、空力性能の向上とマスの集中化を図ったコンパクトなフォルムを引き継ぎながら、「スピード感と躍動感あるダイナミック」をキーワードに、ウェッジシェイプを基調にしたシャープでスピード感あふれる造形とされた。また、フロントのノーズカウル下には、空気の流れをコントロールし、ハンドリングの向上に貢献するチンスポイラーを新たに装備していた。
2012年11月のモデルチェンジでは、ロスホワイトとグラファイトブラックの2色を新たに設定したのみで2013年モデルとして発売された。また、同時にMotoGPで活躍する“Repsol Honda Team”カラーを施したCBR1000RR Special Editionを11月12日から2013年1月7日までの受注期間限定で発売している。
2014年2月には、エンジンの吸排気ポート形状を変更することなどで、4kWのパワーアップが行われたのを始め、新形状のウインドスクリーンを採用するなど、各部の見直し、熟成を図るマイナーチェンジが行われた。また、オーリンズ社製前後サス、ブレーキキャリパーにはブレンボ社製を採用するなど、より特別な仕様とした「CBR1000RR SP」タイプもラインナップに加わっている。
今回、久々のフルモデルチェンジを受けたCBR1000RRシリーズだが、歴代マシンのコンセプトである「トータルコントロール~操る楽しみの最大化」を“ネクストステージ”に発展させるべく、クラス最軽量の車両重量の実現(直4、リッタースポーツクラス)、マス集中化がもたらす軽快性、そして出力向上と扱いやすい特性を両立させたパワーユニット、ファンライディングをサポートする電子制御技術の採用など、操る楽しみをMAXに追求した新たなCBRシリーズのフラグシップマシンに生まれ変わった。
★HONDA ニュースリリースより (2017年3月16日)
操る楽しみを進化させた大型スーパースポーツモデル
「CBR1000RR」「CBR1000RR SP」をフルモデルチェンジし発売
Hondaは、高性能な水冷・4ストローク・DOHC・直列4気筒1000ccエンジンを搭載し、徹底した軽量・コンパクト化や新たな電子制御技術を採用するなど、総合性能を高めた大型スーパースポーツモデル「CBR1000RR」と、CBR1000RRをベースに、足回りなどの専用化とさらなる軽量化を図った一人乗り仕様の「CBR1000RR SP」をフルモデルチェンジし、3月17日(金)に発売します。
今回発売するCBR1000RRは、1992年発売の初代モデル「CBR900RR」から継承されてきた開発コンセプトである「トータルコントロール~操る楽しみの最大化」の進化を図るため、「ネクストステージ“トータルコントロール”操る楽しみの進化」を開発テーマに、クラス最軽量※1 の車両重量とマス集中化がもたらす軽快性、出力向上と扱いやすい特性を両立したパワーユニット、ファンライディングをサポートする電子制御技術を採用し、操る楽しみを追求したCBRシリーズの最上位モデルです。
CBR1000RR SPには、走行状況に応じて減衰力を制御し最適な特性を提供するOHLINS(オーリンズ)製Smart EC※2 システム採用の電子制御サスペンションのほか、ブレンボ製フロントブレーキキャリパーを装備。また、より一層の軽量化とマス集中化を図るため、リチウムイオンバッテリーを搭載したほか、公道用量産車として世界初※3 のチタン製フューエルタンクを採用するなど、よりスポーツ走行時の楽しみを視野に入れた特別な仕様としています。
※1 Honda調べ(2017年3月現在)。直列4気筒1000ccスーパースポーツクラス
※2 OHLINS Smart ECは、スウェーデンOHLINS RACING ABの登録商標です
※3 Honda調べ(2017年3月現在)
- ●販売計画台数(国内・年間)
- CBR1000RR/CBR1000RR SP 合計700台
- ●メーカー希望小売価格
- CBR1000RR マットバリスティックブラックメタリック 2,014,200円(消費税抜き本体価格 1,865,000円)
- CBR1000RR ヴィクトリーレッド 2,046,600円(消費税抜き本体価格 1,895,000円)
- CBR1000RR SP ヴィクトリーレッド 2,462,400円(消費税抜き本体価格 2,280,000円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
- =CBR1000RR/CBR1000RR SPの主な特徴=
- ●クラス最軽量の車両重量とマス集中化がもたらす軽快性
- ・メインフレームはエンジンハンガーの剛性を最適化するなど、応答性の向上とさらなる軽量化を実現。
- ・新設計のアルミダイキャスト製シートレール、新デザインの前後ホイール、新構造のチタン製マフラーなどを採用。さらに、車体各部の徹底的な軽量化を追求することにより、大幅な軽量化とマス集中化を実現。また、CBR1000RR SPには、従来モデルと比べ大幅な軽量化を図ったリチウムイオンバッテリーや、公道用量産車として世界初のチタン製フューエルタンクを採用。軽量化とマス集中化による軽快感あるニュートラルなハンドリング特性に寄与。
- ●出力向上と、よりコントローラブルな特性を両立したパワーユニット
- ・バルブタイミングおよびリフト量、圧縮比などエンジン諸元の最適化と、スロットルボアの拡大、マフラー構造の最適化など吸排気系のセッティングを組み合わせ、低回転域の力強いトルク特性と高回転域の出力向上を両立。
- ・スロットルグリップ開度をセンサーで検出し、ECUがスロットル・バイ・ワイヤモーターに駆動信号を送ることでスロットルバルブを制御する、スロットル・バイ・ワイヤシステムを採用。これにより、スロットルボアを拡大しながら低開度からコントローラブルな特性を実現。
- ・アシストスリッパークラッチを新設計。従来モデルと比べ、クラッチレバーの操作荷重を低減するとともに操作フィーリングを向上。
- ・左側クランクケースカバー、オイルパンを従来のアルミからマグネシウムに変更したほか、新構造のチタン製マフラーを採用するなど、より一層の軽量化とマス集中化に寄与。
- ●ファンライディングをサポートする電子制御技術の採用
- 車体姿勢推定システム
- ・IMU(Inertial Measurement Unit)により、車体の角速度、加速度を検出し、Honda独自のアルゴリズムで車体姿勢を推定。スーパースポーツ専用ABS※4、Hondaセレクタブルトルクコントロール(HSTC)※5、またCBR1000RR SPではOHLINS Smart ECシステムと組み合わせることで、走行状況に応じた「操る楽しみ」を提供。
- ※4 ABSはライダーのブレーキ操作を補助するシステムです。ABSを装備していない車両と同様に、コーナーなどの手前では十分な減速が必要であり、無理な運転までは対応できません。ABS作動時は、キックバック(揺り戻し)によってシステム作動を知らせます
- ※5 Hondaセレクタブルトルクコントロールはスリップをなくすためのシステムではありません。Hondaセレクタブルトルクコントロールはあくまでもライダーのアクセル操作を補助するシステムです。したがってHondaセレクタブルトルクコントロールを装備していない車両と同様に、無理な運転までは対応できません
- パワーセレクター
- ・ライダーの好みや走行状況に応じて、スロットル操作に対する出力特性を任意に選択可能。全てのギアでピーク出力まで引き出せる「レベル1」から、1~4速ギアまでの出力を制御し反応を最も穏やかにする「レベル5」までの5段階を設定。
- Hondaセレクタブルトルクコントロール(HSTC)
- ・ライダーの好みに応じて、9段階のトルクコントロール介入レベルとOFFの選択が可能。
- ・車輪速センサーからの前後輪回転速度比率よりECUが後輪スリップ率を算出。IMUからの車体姿勢情報と合わせ、エンジントルクの抑制を必要とした場合にスロットルバルブ開度をコントロールすることで、コーナリング時や加速時の後輪スリップを抑制。
- ・前後の車輪速センサーの信号から、加速時の前輪浮き上がり(ウイリー)挙動中に生じるフロントタイヤの減速とリアタイヤの加速を検知した際、フロントタイヤが接地し加速状態に転じるまでスロットルバルブ開度を下げてトルクを減衰することで、ウイリーを緩和。
- セレクタブルエンジンブレーキ
- ・走行中にスロットルを全閉し、減速する際のエンジンブレーキの強さを制御。ライダーの好みに応じて3段階のレベルが選択可能。
- OHLINS Smart ECシステム
- ・CBR1000RR SPには、走行状況に応じて最適な減衰特性を提供する、OHLINS Smart ECシステムを採用。減衰性能を自動的に調整する「自動モード(Aモード)」は、あらかじめ設定されている3つのモードから選択が可能。さらに、ライダーによる調整を可能とする「OHLINS Object Based Tuning interface」を搭載。減速・加速など状況ごとのパラメーター調整により、各走行特性に応じて自動的に減衰力調整し、ライダーの好みに合った挙動変化を提供。また、「マニュアルモード」ではサスペンションセッティングを任意に調整することが可能。
- ライディングモード
- ・パワーセレクター、Hondaセレクタブルトルクコントロール(HSTC)、セレクタブルエンジンブレーキ、またCBR1000RR SPではÖHLINS Smart ECシステムを加えた各制御レベルの組み合わせから、あらかじめ設定されている3モードと、組み合わせを任意に設定できる2モードの計5種類のライディングモードを設定。走行状況やライダーの好みに合わせた走行フィーリングを任意に選択することが可能。
- スーパースポーツモデル専用ABS
- ・直進時に加えコーナリング時などの走行状況に合わせてブレーキ圧を制御し、スーパースポーツモデルならではの運動性能に寄与。
- ・ブレーキング時に発生するIMUからの加速度信号をECUが演算することで車体挙動を検知し、ブレーキ圧を緻密に制御。高い制動力を発揮しながら急減速時の後輪浮き上がり(リアリフト)を抑制。
- クイックシフター
- ・CBR1000RR SPには、シフトアップおよびシフトダウンに伴うクラッチとスロットル操作を不要とし、スポーツ走行時などのファンライディングをサポートするクイックシフターを標準装備。CBR1000RRにはオプション設定。
- ●スーパースポーツモデルとしての居住性と空力特性を追求したスタイリング
- ・「タイト&コンパクト」をテーマに、軽快感とアグレッシブなイメージを表現。必要最低限のカウル面積と、よりタイトに各カウル面を内側に追い込むことで、コンパクト化と前面投影面積の低減を図り、軽量化とマスの集中化に寄与。
- ・フューエルタンク形状を見直し、ニーグリップ両側面部の幅をスリム化。ライダーによる荷重コントロールの自由度を向上。
- ●電装系
- ・ヘッドライト、テールランプ、ウインカーなど、全ての灯火器類をLED化することで、軽量コンパクト化と省電力化を実現。
- ・ライダーに車両の豊富な情報や各種制御の状態をわかりやすく伝える、フルカラーTFT液晶採用のメーターを搭載。
- ・CBR1000RR SPには、より小型・軽量なリチウムイオンバッテリーを標準装備。CBR1000RRにはオプション設定。
- ●カラーバリエーション
- ・CBR1000RRには、レッドを基調にウイングマークをモチーフとしたブラックのグラフィックを施し、力強さを表現した「ヴィクトリーレッド」と、ブラックを基調に鮮やかなレッドを各所に配することで先進性を表現した「マットバリスティックブラックメタリック」の2色を設定。
- ・CBR1000RR SPは、レッドを基調にウイングマークをモチーフとしたブルーのグラフィックを施すとともに、フレームとスイングアームにシルバー、前後ホイールにゴールドを採用し、HondaレーシングDNAを表現した「ヴィクトリーレッド」の1色を設定。
- ・2017年モデルには、1992年の初代CBR900RRの発売から25周年を記念するステッカーを
フューエルタンク上面に採用。
★主要諸元
車名型式 | 2BL-SC77 | |
---|---|---|
CBR1000RR 〈CBR1000RR SP〉 | ||
発売日 | 2017年3月17日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.065×0.720×1.125 | |
軸距(m) | 1.405 | |
最低地上高(m) | 0.130 | |
シート高(m) | 0.820 | |
車両重量(kg) | 196〈195〉 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2〈1〉 | |
燃費消費率(km/L)※6 | 25.0〈25.0〉(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名〈1名〉乗車時)※7 | |
17.7(WMTCモード値 クラス3-2 1名乗車時)※8 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 3.2 | |
エンジン型式 | SC77E | |
水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 999 | |
内径×行程(mm) | 76.0×55.1 | |
圧縮比 | 13.0 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 141[192]/13,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 114[11.6]/11,000 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置[PGM-DSFI] | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | フルトランジスタ式バッテリー点火 | |
潤滑油方式 | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L) | 16 | |
クラッチ形式 | 湿式多板コイルスプリング式 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.285 |
2速 | 1.777 | |
3速 | 1.500 | |
4速 | 1.333 | |
5速 | 1.214 | |
6速 | 1.137 | |
減速比1次/2次 | 1.717×2.687 | |
キャスター(度) | 23°20′ | |
トレール(mm) | 96 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C 58W |
後 | 190/50ZR17M/C 73W | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | 倒立テレスコピック式 |
後 | スイングアーム式(ユニットプロリンク) | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
※〈 〉は、CBR1000RR SP。
※6 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※7 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
※8 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。