2017年4月5日
MBHCC-D2 バ★ソ 幻立喰・ソ
第80回「いぬき」
前回予告した、関西におけるきつねうどん、たぬきそば問題ですが、「大阪では油揚げをトッピングした場合、うどん=きつね、そば=たぬきと呼ぶ場合が多い。ゆえに大阪ではきつねそば、たぬきうどんは基本的に存在しないらしい、たぶん。むろん例外は存在する。ちなみに京都や兵庫になると別の呼び方をする場合も多々確認されており、『関西では』というおおざっぱななくくりでは誤解が生じるであろう。たぶん」と、言い逃れできるようにあいまいにさらっと説明して終了します。今や、有名な西ソあるあるですし。
たぬきよりも気になるのは「いぬきがのがしつる」(無理矢理果汁120パーセント)。みなさん憶えていますか、源氏物語です。古文で習う昔のエロ小説(でしたよね?)、習ったはずですが、私は右派の徒然草派閥でしたから憶えていません(もちろん大ウソ)。
それよりつい先ほど知ったのですが、いぬき=犬君だそうです。犬!? 源氏物語に犬が登場するのかと思えばNot然も有りなん。犬君は女の子の名前です。すごいキラキラネーム、いや、まったくキラキラしていないキラーネーム。今なら間違いなくその名の通りの犬呼ばわり……当時は猫君とか猿君とか雉君とか魚君とか普通だったんでしょうか。魚君は現代もいますが、なぜ肉君はいないのか。そのあたりに寄り道して文字数を稼ぐのが常套手段ですが、書くこともないので先に進みます。
女の子なのに犬君ですって! と、本来なら古文の授業中に驚いておくべきですが、少年バ★ソは、いぬき=居抜きと解釈したのです。古文のテストには「居抜きが逃し吊る」つまり「居抜きで立喰・ソを始めようと思ったのに、何らかの事情で逃してしまったところ、不動産屋さんが『家賃は高いですが、もっといい物件がありますよ』と釣り上げようとしている」と回答したのです……無理矢理果汁250パーセントですが、この後の話の都合上そういうことにしてやってください。武士じゃないので、鰹節の情けで。ソだけにね。
居抜きといえば、飲食店の定番です。立喰・ソでも昨今地元密着系の個人店舗のチェーン店化が(第50回でやってます)目立ちます。ラーメン屋さんや他業種になってしまう(第60回でやってます)という、我々ソ人にとっては嬉しくもなんともないパターンよりはマシですが。中には一旦閉店後、前店と同名で復活(といってもいいのかな?)する奇跡もあったりしますから目が離せません(何から?)。まさに幻立喰・ソの数だけ物語もあるのです(当たり前ですが)。
そんな居抜きのスペクタクルは、短期間にころころと主が変わっていく立喰・ソです。最近のチャンピオン? は、大崎広小路駅(東京都品川区)近くの環六沿いにあった、おかめに始まる物語でしょう。まずは坂崎師匠に伺ったところ、おかめは結構な老舗で、そもそも環六沿いではなく裏手にあったそうです。初代はそこで焼き鳥やさんを始めて、二代目が環六沿いにおかめを開いたそうです。へえー、いつもながら勉強になります。さすが大衆そば知恵袋です。そのおかめですが、2012年12月頃からのれんを出すことなく、そのまま幻立喰・ソになってしまいました。
その後、2013年6月頃?「きがる 大崎広小路店」となりましたが、1年半後の2014年12月に閉店。2015年3月からは「しぶそば 大崎広小路店」になって開店したのですが、またほぼ1年半後の2016年8月に閉店。同年10月には最近あちこちで勢力を拡大している「天かめ 大崎広小路店」としてリスタートしたのですが、今度はわずか3ヶ月後の2017年1月閉店という、え? ひょっとしてここ立喰・ソの鬼門? のような見事なコロコロっぷりを魅せてくれました。こういう例はそこそこあるようですが、ここまでのコロコロはお見事! やっている方にしてみれば「お見事じゃねーよ!」でしょうが。
日夜交通量の多い環状六号線沿いで、かつては店の前に車を停めて立ち寄る人も多かったのですが、首都高中央環状線の工事が始まってからは駐車しにくくなり、さらに駐車違反の取り締まりがびんびんになって、お客さんが激減したのではないかと思われますが、すぐ近くのYでたろうはずーっと続いていますから、はやり鬼門?。
と、見てきたかのようにえらそうに書いてますが……おかめ時代は何度も前を通っていたのにまったく気がつかず素通り。きがるになって初めて気づいてやっと初訪問。その後、しぶそば、天かめと変わったことはつゆしらず(ソだけにね)のマヌケっぷり。なぜ知ったかといえば、質量共に桁違いなスーパーブログ「そらすの喰歴2」で拝見した次第であります。さらに、無断借用でございます。大変失礼いたしました。一由でお見かけしたら、そっとポケットにゲソ寿司を入れさせていただきますから、許してください。
中途半端ながら一区切りの80回目もぐだぐだですいません。記念すべき第1回、一区切りの第50回も、読み返すと冷汗三千万斗のぐだぐだですから気にしないでください。80回ということは、6年半もだらだらうだうだやってるんですね。よくもまあ続いたもんだと、そこは素直に感心します。
ちなみに6年前に比べ立喰・ソ総数(チェーン店を除く)に変化があったかといえば、関東1都6県では19パーセント増、日本全国(沖縄県と諸島部を除く)ではなんと19パーセントの減少という奇跡のような数字は、もちろんすべてでたらめです。だって今日は4月1日ですから(これもウソ)。
●立喰・ソNEWS 2017 緊急告知
坂崎師匠のコラムで知ったゲソ天の偉大!
http://bunshun.jp/articles/-/1897
文春オンラインで連載中の師匠のコラム、今回は私の大好きな日暮里の一由とゲソ天のお話です。いつもながら「へえ〜、なるほど」と、人に話したくなる知識が詰まっています。そして、読み終わったら、ゲソ天を無性に喰いたくなるのです。一由は24時間年中無休ですから、いつでも食えます(いや、夜中だとゲソ天が売り切れのときも……!
●立喰・ソNEWS 2017 その2
宮崎の「か」
JALの「どこかにマイル」ってご存じでしょうか? 簡単に説明すると、通常よりも少ないマイル(6000マイル)で特典航空券と交換できるのですが、どこに行くのかは申し込んでのお楽しみ(実際は4カ所提示されるうちの1カ所)。で、申し込んだら宮崎になりました。写真は宮崎市内のT吉。市内に何軒か支店がある地元密着型の有名店です。天ぷらがいわゆる天ぷらではなく、魚のすり身なのも珍しいといえば珍しいのですが、「天玉か」という謎のメニューに注目です。と言ってもちゃんと「天ぷら+玉子+たぬき」と積載物は明示されているので謎でもないのですが、「天玉た」が妥当な表記と思うのですが。「そんなもんお店の人に聞けば一発だろ?」おっしゃるとおり。しかし、おかめのごとくまったく気づかず、帰ってから写真を眺め気づいた次第。注文時のアクセントも「天玉か↗!」「天玉か↘?」どっちなのか気になります。どこかにマイルで宮崎が当たった方は、ぜひご確認を。
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