2019年7月31日
第69回 「最近このコラムに書くネタがないので、バイク小話でお茶を濁そ~っと!?」の巻
◆その壱
数年前、北海道を走ったときのお話。朝、キャンプ場で出発の準備をしていたところ、すでに用意ができたバイクがスタートしていったのですが、それを見てぶっ飛びました。なんと250ccのオフロードバイクにいっぱいキャンプ用品を積んでいて、しかも後ろに彼女まで乗せているのです。しかも三重県のナンバー。ひぇー、こんな状態でここまで走ってきたのぉ~? 運転も大変だろうけど、後ろの彼女はもっと大変なんじゃないのぉ? ピッタリ体がくっついたままずっと乗ってなきゃいけないし、眠くなったりしたらどうすんだろ? 雨だって降るだろうしさ。まだ二十歳そこそこの感じの二人だったけど、愛の力ってすごいものだよねぇ、なんて変に感心した次第であります。
◆その弐
以前、ワタシの兄はヤマハの250ccのオフロードに乗っていました。博多で小学校の教師をしているのですが、だんだん仕事が忙しくなってきて、ほとんど乗る時間がなくなってきたある日、まったく知らない男がアパートを訪ねてきて、いつかこのバイクを処分する気になったなら、ぜひ自分に連絡を欲しい、と言ったのだそうです。自分も同じバイクに乗っているのだが、もう製造中止になっているので、部品取り用にしたいのだそう。兄は、もう乗らないから、と、すぐに廃車にして彼にタダであげたらしいのですが、後日、お礼にと高級なお酒を送ってきたのだそうです。しかし実はウチの兄は下戸。なので、そのお酒はワタシの胃袋の中に流れ込んだのでありました。
◆その参
その昔、サイドカー付きの大きいバイクに奥さんを乗せ、博多の街を颯爽と走っている長いヒゲのおジィさんがいたのです。ハンドル横には日の丸の小旗が揺れています。何でも戦時中は陸軍の通信兵をなさっていたとかで、戦場をバイクで駆け回っていたのだそう。地元ではわりと有名な方で、ワタシも何度か街ですれ違ったことがあります。若い頃は、こんな夫婦になれたらいいな、なんてワタシも考えたことがあったのですが、このトシになってしまうと、結婚なんて、ただただ、めんどくせーです。ハイ。
◆その四
ワタシの知り合いに、常に安全運転のおじさんがいます。自慢のアストンマーチンで都内を走っているとき、前方の信号が黄色になったので、スピードを緩めて止まったのだそうです。後ろをバイクが走っていたのですが、当人は黄色なので当然渡れると思っていたのでしょう、あわてて急ブレーキをかけて止まったのです。しかしそいつは、それが気にくわなかったみたいで、車の左側に移動すると、前方の信号が青になった瞬間、なんとドアをボコッと蹴飛ばして、そのまま脱兎のごとく逃げて行ったのだそうです。当然、追いかけたのですが、渋滞につかまり、見失ってしまったそうです。だからバイク乗りの野郎は……その後、バイクに対する恨みつらみをさんざん聞かされたワタシなのでありました。
◆その伍
ワタシが上京した頃、担当さんに頼まれてあちこちの漫画家さんのアシスタントに行きました。と言っても、絵がヘタクソなのでたいしたことはできませんでしたが。そんな中、『国友やすゆき』先生のところで教えていただいたことは、今も本当に役にたっているのです。男と女のドロドロの愛情を描いた、幸せの時間という作品はテレビドラマにもなったのでご存知の方も多いと思います。(現在、週刊大衆で再録中)国友先生はワタシと同じ福岡出身で、元々は少年誌でデビューされてその後青年誌に活躍の場を移されました。バイクが好きでね、当時、HONDAのCBXに乗っておられたのですが、一度、画材を買いに行ってきて、と、ワタシに貸してくれたことがあるのです。そのパワーのなんたるや!? ほんのちょっとアクセルを回しただけでものすごいスピードが出るのです。あれにはホント驚きました。付き合いがあったのはほんの1年ほどで、その後会うこともなかったのですが、先日、お亡くなりになったとのこと。まだまだお若いのに本当に残念です。お世話になったことを感謝し、ご冥福をお祈りいたします。
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