2019年7月18日
第47回「モトクロスの若手をしっとこ」
関東は連日の雨で梅雨寒。先週(2019年7月6〜7日)行われたSUGOのモトクロスも、開催ウィークに降った雨により予選からマディコンディションのレースでした。レース中の雨量としては、観戦に耐えうるレベルの霧雨~小雨でしたが、コース上はレースを重ねるにつれ段々と泥がこねられて、陶芸が出来そうな粘りと滑らかさをもつ厄介なものになりました。雨が降ってシャバシャバな泥よりも、雨上がりで段々と重くなるほうが走るのが相当難しいのです。
モトクロスは、変化するコースコンディションにあわせて巧みにバイクを操るもの。マディコンディションのレースならではのライダーたちのマシンコントロールや駆け引きが見られるので、観戦用の雨対策を万全にして悪コンディションのレース観戦で、非日常を味わってもらいたいです。
今回の全日本モトクロス選手権第4戦スポーツランドSUGOは、IA2クラスの勝者は、ヒート1は鳥谷部晃太選手(21)、ヒート2が大倉由揮選手(20)。2人とも若手育成を担う「YAMALUBE RACING TEAM」のライダーで、若手が力をつけてきたことを感じさせるレースでした。青森出身の鳥谷部選手は自己紹介でも「マディのレースで全員ラップしたこと」と書くなど悪コンディションをモノともしない若手です。東北地方のライダーは、冬の練習では基本コースが凍っていて、日が差して溶けるとドロドロになるので普段からマディに慣れているのです。2017年、激マディの藤沢スポーツランドヒート1ではスタートからトップに立つとただひとりだけジャージを汚すことなく、IA昇格4年目にして初優勝を飾りました。
大倉選手はB級参戦中の高校生のときに学業によりアメリカ留学。帰国した2016年に、ブランクを感じさせない走りでB級チャンピオンを獲得し、今年A級3年目、所属チームがヤマハのなかでも硬派を極めたところだったので、関西人を感じさせない真面目ぶり(?)。アメリカではレスリングで身体を鍛えるなど文武両道、今季2勝目を挙げました。
その他、モトクロス界きってのジャニーズ顔、大城魁之輔選手も第3戦で初優勝。海外生活が長かったので日本語はちょっと苦手なシャイな若者です。ひねりの効いたジャンプで魅せる小さな巨人の横山遥希選手は開幕ダブルウィンで現在ランキングトップ。今シーズンのIA2クラスは若手ライダーの勢いがとまりません。
また、かつてホンダ、ヤマハのファクトリーライダーとして活躍していましたが、自らが引き起こした問題により謹慎となり一線を退いた平田優がIA2クラスに復帰、過去のIA2時代に取りこぼしたタイトルを手中にすべく狙っています。平田選手レベルのライダーなら軽くタイトルを獲ってしまうんじゃないかと思われたのですが、これまでに1勝、5回の表彰台でランキング3位と、狙える位置にはいますが、予想よりは苦戦しているようです。
全日本モトクロスをシリーズで取材していると、毎年同じことの繰り返しのように思われがちですが、毎年ニューフェイスが加入して、全員に個性があって、それぞれの成長のドラマが見られるのでいつも新鮮な気持ちです。選手たちも、全日本クラスに昇格するまでに幼少のころから切磋琢磨しているので、それぞれキャラ立ちがはっきりしています。また、若手ならではの抜け感もあり(笑)、どのライダーに注目してもレースが面白く見られるIA2クラスです。もっと紹介したいライダーがたくさんいますが、続きは是非会場でご覧ください!
モトクロスは一般の観戦エリアとパドックが通じていて、ロードのサーキットのようにパドックパスを購入しなくても選手のすぐ近くまで行くことができ、レースのマシンのメンテナンス風景なども間近で観察することができます。7月20〜21日は8耐前になりますが、第5戦は岩手県の藤沢スポーツランド、関西方面の方は夏休みを挟んで9月14〜15日に名阪スポーツランドで第6戦が開催されます
そんなこんなで、うっとおしい日々がつづきますが、月末には日本で一番のバイクのお祭り、鈴鹿8耐がひかえているので、それまでには梅雨明け宣言してほしいと願う日々……です。
全日本モトクロス選手権のリザルトはこちらで。
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