2019年7月22日
ブースカのスズキVストローム250 ABSサマーツーリング パート2
今回、Vストローム250を試乗するにあたり、ツーリングの行き先をどこにするかとても迷った。梅雨の真っ只中で期間も限られており、1泊2日くらいが妥当と考えた。2日間で行って帰ってくることを想定すると、総走行距離は頑張っても1000km前後だろう。それを念頭に全国地図を頭に思い浮かべつつネットで検索していたら、福島県一周というワードが出てきた。なるほど、確かに福島県は楕円形に近い形をしており、主要国道を通って一周できることがわかった。1周およそ700km、東京都から福島県までの高速道路の往復を含めると1000kmくらい。250ccのバイクで攻めるなら理想的なルートだ。これだ! これしかない。というわけで行き先は福島県となった。
福島県の白河を出発し、国道を通って一周するにあたりひとつだけ難しい箇所があった。それは東日本大震災の被害による帰宅困難地域があり、その地域を通過する国道6号線は原付を含むオートバイ、軽車輌、歩行者の通行が禁止されているのだ。その区間だけは走行が許可されている常磐自動車道を走るしかない。当初は反時計回りで進むことを考えたが、出発直前に天気予報を見て時計回りに進むことにした。宿は猪苗代湖近辺で確保し、1日目は東京→白河→只見→喜多方→猪苗代湖、2日目は猪苗代湖→土湯温泉→福島市→相馬→浪江→いわき→白河→東京というルートで攻めることにした。
天候の関係もあり、Vストローム250を借りた翌日に作戦決行。午前5時40分に自宅を出発。まずは東北自動車道の白河インターを目指した。国道20号線から首都高に乗り、アベレージスピードが一気に上がる。ギアを6速まで入れてスピードが75km/hを越えるとエンジンが唸り始める。このへんはジェベル250XCと同じだ。
やがて東北自動車道に入り90km/h以上を出そうとすると回転数は7000rpmを越え、エンジンの唸り音はさらに高くなる。そして8000rpmを指そうとしたところで100km/hに達した。100km/hを出そうとするとジェベル250XCの場合、軽いせいもあって車体にしがみつくような感じで怖かったが、Vストローム250は重量があるためか思っているよりも安定感がある。それ以上になるとエンジン音が相当気になり始める。快適な巡航速度は90〜95km/hくらいだろう。シートは座りやすくポジションキープも楽。お尻も痛くない。当然だがジェベル250XCより快適だ。
途中、休憩を取りながら淡々と東北自動車道を走り、約3時間ほどで白河インターに到着。ここまで疲労感はほとんど感じない。ここからは時計回り(新潟方面)に進んでいく。まずは国道289号線に出て奥会津・只見方面を目指す。今のところ雨は降っていない。甲子(かし)高原、東北最長の国道トンネルである甲子トンネルを過ぎ、道の駅「しもごう」で小休止。気温はインターを降りてから徐々に下がり、峠前後では気温は20度を下回っていた。そこから国道289号/121号線を走り、会津田島を通過。マシンは快調で、燃料計が減ってきているが、まだまだ余裕な感じ。猪苗代湖までは無給油で行けそうだ。
白河インターを降りて約2時間、そろそろお昼休憩を兼ねて休もうとしたところに道の駅「山口温泉きらら289」(福島県南会津郡南会津町)が目に入ってきた。日帰り温泉のほかに名物「わらじソースカツ丼」があるというので立ち寄ることにした。日帰り温泉の入湯料は700円(JAF割で500円!)。内風呂、露天風呂ともにゆったり浸かれる。お湯はちょっと濁りがあるキシキシ系。湯船は茶褐色になっており成分は豊富なようだ。内風呂はぬるめだが露天風呂は熱めだった。風呂から出てきて食堂で「わらじソースカツ丼」(1100円)を注文。文字通りわらじくらいのサイズのカツが2枚のせられており、かなりガッツリなメニューだった。
腹がパンパンになったところで再び国道289号線を只見方面に向けて進む。このあたりになると山深くなり、冬になると豪雪地帯となる。道の駅「山口温泉きらら289」を出発して1時間30分ほどでJR只見線の只見駅に到着。只見地方は2006年8月27日に訪れており(この時のマシンはジェベル200!)13年ぶりとなる。自宅から只見駅まで約330kmを走破。途中休憩を挟んでいることを考えるとなかなかいいペース。ツーリングマシンとしてのVストローム250のポテンシャルはこれだけではないはずだ。
只見からは今度は内陸にUターンするように水量が豊富な只見川と秘境を走る只見線を見ながら国道252号線を会津若松方面に進む。2006年に撮影した写真を見ると、今回はこの時とほぼ同じルートを走っており、国道沿いにある大塩温泉、湯倉温泉に入湯した。今回は大塩温泉近くの「炭酸場」に寄り道した以外はパスした。「炭酸場」とは天然の炭酸泉が湧出している珍しい場所だ。飲んでみると炭酸飲料のようなシュワッとした感じはないが、水の中に濃いガスが混じっているような感じがした。只見を通過すると気温が上昇し、少し汗ばんできた。走るごとに気温が変化する。これがあとで自分の身体にダメージを与えていたとは、この時は知る由もなかった。
国道252号線を快調に走り、道の駅「尾瀬街道みしま宿」で小休止したところで、先ほど通過した早戸温泉「つるの湯」に入りたくなった。雲行きが怪しくなってきたので、少しでも先に進むべきだが、せっかくなので数km戻って入ることにした。早戸温泉「つるの湯」は福島県大沼郡三島町にある日帰り入浴施設だ。入湯料は600円。駐車場から受付のある建物までエレベーターで降りていく。和風造りの内風呂、露天風呂があり、特に露天風呂は只見川が眼前に広がる眺めのいい場所ある。お湯はやや緑がかった濁り湯。ちょうどいい湯加減だった。
只見川を見ながら露天風呂に入っていると、ついに雷が鳴り始めて雨がポツポツ降ってきた。これはイカンということでそそくさと風呂から上がり、駐車場に戻ると雨脚が強くなってきた。真上の空が黒いので、たぶん少し走れば雨が弱まるだろうと予測。走り始めは土砂降りに近かったが、しばらくすると止んできた。安心したのも束の間、なんだか身体が調子悪くなってきた。気温の変動が激しいせいなのか、それとも新調したジャケットとの着合わせが悪いのか…。とりあえず次の目的地を目指すことにした。
しばらく国道252号線を進んで会津坂下まで行き、県道21号線に入って喜多方市方面に進む。喜多方市と言えばご存知「喜多方ラーメン」で有名なところだ。私にとって喜多方ラーメンと言えば「坂内食堂」だ。2006年にも訪れており、私の好きなラーメンのひとつだ。早戸温泉から1時間ほどで坂内食堂に到着。早めの夕食ということでもっともオーソドックスな「支那そば」を注文した。太めの縮れ麺と透き通ったあっさりめの醤油ベースのスープがよく合う。あっという間に完食してお店をあとにした。
これで本日のミッションは無事完了。あとは猪苗代湖近くにある今宵の宿「プチホテル あいづ天鏡台温泉」を目指すだけだ。国道121号線を会津若松方面に進み、県道7号線に入り猪苗代湖方面に向かう。猪苗代湖に立ち寄ったところで、走行距離は486kmに達し、国道だけで300km近く走ってしまった。ほぼ走りっぱなしだったがお尻は痛くない。トラブルもなく実に快適。予想どおりここまで無給油で来たが、さすがにそろそろ燃料供給しなくてはならない。
静かな猪苗代湖を離れ、県道7号線から少し入った別荘が建ち並ぶ中に宿があった。ここは温泉(天鏡台温泉)があるので、チェックインしてすぐに入浴。入浴後に買い物に出かけようと思ったが、身体の調子があまりよくないので、出かけずにそのまま部屋に閉じこもった。どうやら風邪を引いてしまったようだ。Vストローム250は絶好調なのに申し訳ない気分だ。明日は今日以上に走る予定なので早めに寝た。さあ2日目はどうなることやら…。(パート2に続く)
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