2019年7月5日
ブースカのスズキVストローム250 ABSサマーツーリング クォーターをなめんなよ! 令和元年(=ゼロ)記念 1泊2日福島県ひと筆書き一周ツーリング パート1:ファーストインプレッション
スズキを代表するアドベンチャー/クロスオーバーバイクと言えばVストローム(V-Strom)シリーズだ。現在私の愛車はホンダのアドベンチャー/クロスオーバーバイクである400Xだが、実はちょうど4年前、その前に乗っていたスズキジェベル250XCから乗り換える時に、大型二輪免許を取得してVストローム650に乗ろうか真剣に考えた時期があった。私はアドベンチャー/クロスオーバーバイクのようなスタイルが大好きで、Vストローム以外にもホンダのアフリカツインや、ちょっと古いがトランザルプ400、カワサキのKLE400などを候補に挙げたこともあった。運よくいい出物が見つかって400Xにしたわけだが、今回試乗したVストロームシリーズの末っ子であるVストローム250がもし4年前に出ていたら、当時スズキ乗りだった私は間違いなく買っていたはずだ。実際にはVストローム250はその2年後に発売され、複雑な思いを抱きながらずっと気になっていた存在だった。ということで、気になる隣人(?)であるVストローム250にわずかな間だが浮気してみた。
スズキのVストロームシリーズは現在、1000/1000XT、650/650XT、そして250/250ABSがラインアップされている。「V」という名称のとおりVツインエンジンを伝統的に搭載し、250のみGSX250Rと同系なのでパラレルツインとなっている。スタイルはいわゆるアドベンチャータイプ。250もそのスタイルがしっかり継承されており、市販二輪車で世界最大の単気筒エンジン(800ccの油冷!)を搭載した名車・DR800Sを彷彿させる鳥のくちばしのような形状のフロントカウルを採用している。そのおかげで250ccとは思えない存在感を放っている。今回試乗したモデルはパールネブラーブラック/ソリッドダズリンクールイエローのコンビネーションカラー。フロントカウル両側には機種名が書かれたデカールが誇らしげに貼られており、丸型のヘッドランプを相まってなかなかのイケメンだ。
車体サイズは大きく、一見すると250ccクラスには見えない。私の400Xと並べてみると全長はほぼ同じか、ちょっと大きいくらいだ。数値で見ると400X(2014年式)が2,085mm、Vストローム250が2,150mmでVストロームのほうがやや大きい。一方、重量はカタログ上では189kg、400Xは192kg、ジェベル250XCだと139kg。400Xとほぼ同じで、ジェベル250XCより50kgも重い。確かに押してみるとドッシリしており、400ccの400Xとオフ車のジェベル250XCとは単純に比較できないが、このサイズ感と重量は走行フィーリングに大きく影響を与えるはずだ。
サイズは大きめだが、長距離ツーリングを意識したシートはクッションが効いており、ポジションは楽、スリムで足着きは非常によく、小柄な方や女性でも安心して跨げるはずだ。このあたりは割り切った形状のジェベル250XCの比ではない。タンクの容量は400Xとジェベル250XCと同じ17リットル。250ccクラスとしては異例の大きさだ。長距離ツーリングにこれはありがたい。気になる燃費はツーリングを終えた後でお伝えしよう。
アドベンチャー/クロスオーバーバイクに不可欠な高い防風性を備えたウインドスクリーンに加えて、ナックルカバー、大型リアキャリア、サイドケースアタッチメントを標準装備。さらにメーター左側下部にはDCソケットが付属しており、スマホの充電などが可能。これは旅人にとっては嬉しい(特に電源が確保できないキャンプツーリングだとこれは重宝するはず)。こうした装備は後付するとソコソコの金額と手間がかかるので、あらかじめ付属していて車輌本体価格に含まれているのは大きなアピールポイントだ。フル液晶ディスプレイの多機能メーターは見やすく、400Xにはないギアポジションインジケーターがあるのにはちょっと嫉妬してしまった(ちなみに現行の400Xには装備されているとのこと)。これでメーカー希望小売価格が602,640円、トップケースやサイドケースを合わせても70万円台で済んでしまうとはお買い得なのではないだろうか(400Xの場合、全部込みだと3ケタに到達する…)。
見た目の印象はバッチリだが、走りはどうだろうか。バイクを預かって乗り出した時の最初の印象を一言で表わすなら「穏やか」。最高出力は18kw(24ps/8000rpm)最大トルクは22N・m(2.2kgf・m/6500rpm)、ちなみに400Xは34kw(46ps/9500rpm)37N・m(3.8kgf・m/7500rpm)、ジェベル250XCは22kw(30ps/8500rpm)27N・m(2.8kgf・m/7000rpm)となっており、これも単純には比較できないが、パワーと重量から考えるとマイルドな性格と言ってもいいかもしれない。今さらだが数値上ではジェベル250XCは意外とパワフルなバイクであることがわかる。確かにそんな記憶もあり、ちょっとじゃじゃ馬的な一面もあった。それからすればVストローム250はかなり洗練されて乗りやすく音も静かで、令和時代にふさわしいバイクなのだろう。
ギアは400Xやジェベル250XCと同じ6速で、中低速トルク域が使いやすく、無理なくスムーズに加速する。ボディの大きさが功を奏しているのだろうか、ドッシリしているのでふらつくことがなく、ハンドリングしやすい。見通しがよく足着きもいいので、急な操作にも対応しやすい。ジェベル250XCと400Xを乗り継いできている人間からすると、ちょうど中間的な走り心地で扱いやすい。アドベンチャーな見た目だが都会派の一面も兼ね備えている。都市近郊への通勤・通学でも使いやすいはずだ。しかし、このバイクの主戦場はやはりツーリングだろう。ということで、高速走行やワインディングでの走行フィーリング、実走燃費、装備の使い勝手を確かめるべく、久々にハードな1泊2日のツーリングに出かけてみよう。
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