2019年7月3日

豪州・シドニーのカスタムバイクイベント 2年ぶりに開催された『Throttle Roll』に初潜入

■写真・文:河野正士 ■協力:Throttle Roll https://www.throttleroll.com/

今年は、新しいイベントに行きたいな。そう考えていたのですが、なかなか思うようにスケジュールのやりくりができず……で、やっと願い叶って参加してきたのが『Throttle Roll(スロットル・ロール)』。オーストラリア・シドニーで開催されたカスタムバイクのイベントです。ということで、いつものように、海外イベントレポートのスタートです。

 
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 じつは、ずっと前から『Throttle Roll』には行ってみたいと思っていました。きっかけはやはり動画やソーシャルネットワークの投稿。道路というか空き地というか、そんなオープンエアに、櫓を組んで造った3階建てのような車両展示台があり、さらには出展ブースやフードトラックがあり、バンドも入ってどんちゃん騒ぎをしている雰囲気。オーストラリア・シドニーでやってるってことも、行ってみたい気持ちをさらに高める要因でした。
 

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イベントは11時から22時まで。正午を過ぎたあたりから来場者が一気に増え、こんな状況。ビール片手にバイクをじっくり見ながら、話に花を咲かせていました。


 
 オーストラリアって、バイク天国っていうイメージなんですよね、僕にとって。あ、ここにはニュージーランドも含まれています。オージーやニュージーの方々には一緒にするな、って言われちゃいそうですが……まだ国内に流通する国産大排気量モデルに出力規制があったときに、フルパワー仕様の逆輸入車には“オーストラリア・モデル”っていうのがあって北米や欧州と並んで、メーカーが気合いを入れてバイクを造って売っていたイメージがありました。
 またクルマもバイクも旧車文化が盛んで、上質のビンテージカー&バイクが盛んな市場。そのため旧車を得意とするファクトリーやリプレイスパーツメーカーがたくさんあって、レースやイベントもたくさんあったのです。さらにシングルやツインのレースも盛んで、チューニングファクトリーやレーシングチームもたくさんあって、その物語はバイクファンをワクワクさせました。有名どころでは映画『世界最速のインディアン』の主人公であるバート・マンローであり、『ブリッテン』を造ったジョン・ブリッテンであり(この2人はともにニュージーランド)、ドゥカティのベベルエンジンのスペシャリスト『VEE TWO(ヴィー・トゥー)』ですね。
 
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↑会場では「ヤマハXSR900」が当たる抽選会も開催。手書きかオンラインの登録用紙に名前を書き、その札をイベント終盤に抽選。会場に居た、バンドの演奏に合わせて踊りまくっていた男の子が、お父さんに宙づりにされて当選者を選びました。


 
 近年では『Deus EX Machina(デウス・エクス・マキナ)』でしょうか。Deusを知るきっかけはYoutubeに公開された動画『Salt Lake Speed Trials 2006 (https://youtu.be/sC1J2MBnXRA)』です。米国のボンネビルのような、南オーストラリアにある塩湖、レイク・ゲアードナーで行われていたランドスピードレースに(現在も行われているかは不明)、SRベースのランドスピードレーサーで出場していて、そこで撮影されたPVが強烈に格好良かったのです。これが、いま僕が追いかけている、ニューウェーブなカスタムカルチャーに興味を持つきっかけになったのです。
 
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↑会場には、事前登録で駐輪場付きチケットを購入した来場者用に、車両が展示される2階メイン会場の1階にある駐輪スペースも用意されていました。ここにもカスタムした車両が多く、第二のカスタムバイク展示場のようになっていました。


 
 すっかり前置きが長くなりましたがThrottle Rollに話を戻しましょう。Throttle Rollは2013年にオーストラリア・シドニーでスタート。昨年は諸事情により開催が見送られたので、今年で6回目の開催になります。主催はMark Hawwa(マーク・ハーワー)氏を中心としたモーターサイクルクラブ『Australian Café Racers』のメンバーたちです。
 実はこのメンバーたち、スーツなどジェントルな格好でバイクに乗って街を練り走る『The Distinguished Gentleman’s Ride(ジェントルマンズ・ライド)』の主催者でもあるのです。ご存じのように世界各地で同日開催されるこのイベントは、男性特有のがんやメンタルヘルスの認知度や重要性を周知告知し、早世や自殺の予防を目的とするチャリティ。ジェントルマンズ・ライド参加で集めた寄付金は、ジェントルマンズ・ライドの着想であり同志である『MOVEMBER FOUNDATION(モーベンバー)財団』に寄付しています。いまや世界中に支部を持つこのMOVEMBER FOUNDATIONもオーストラリアが発祥なのです。
 
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↑主催者である『Australian Café Racers』のキーパーソン、Mark Hawwa(マーク・ハーワー)氏。オーストラリア・カスタムバイクカルチャーを牽引する人物でもあります。


 
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↑会場ではライブペイントも行われていました。


 
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↑ビールやローカルフードを提供するブースも出展されていて、その周りではたくさんのグループやファミリーが食事をしながらワイワイ、ガヤガヤ。みなさん、よく食べ、よく喋ります。


 
 数年前に、欧州のカスタムイベントでマークに会い、その後も彼や彼のスタッフと他のイベントで会って話をしていて、シドニーにおいでよ、なんて誘われていました。そして2年ぶりに『Throttle Roll』が復活すると聞いて、渡豪を決めたというわけです。
 
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↑たくさんのバンドがスケジュールされていて、ロカビリー系のバンドが登壇すると、その演奏に合わせて皆踊りまくります。


 
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↑BMXのトップライダーも来場し、その技を披露。隣の男の子は、XSR900プレゼントのプレゼンターになった子。こんな感じで、会場を沸かせていました。


 
 イベントは、良い雰囲気でした。たった1日しか開催しないのはもったいないくらい。規模は小さいけど、そのぶんアットホームで、バイクの見せ方も出展しているビルダーやメーカーの人たちも、シーンを盛り上げたい、バイクを楽しみたいというシンプルで強い気持ちで繋がっている感じ。
 驚いたのは、運営スタッフは極々少人数であったこと。前日に会場に行ってみたのですが、まだ半分くらいしか設営が終わっておらず、“大丈夫なのか?”と不安になるほどでしたが、翌日朝には会場はビシっと仕上がっていて準備万端。その分、スタッフは朝の段階ですでにお疲れモードでした。そしてイベント中も、彼らとは話ができないほど忙しく動き回り、でも彼らの情熱がこのイベントを支えていることがよく分かりました。
 
 ということで、あとは写真で、会場の雰囲気をお楽しみください。
 
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↑1981年式ホンダCB900Fベースのマシン。このオーナーと日本人は、とても気が合いそうですね。エンジンは排気量拡大とともにポート周りも加工。ミクニTMR-MJN36をセット。サスペンションはリアにオーリンズ製を使用、前後ホイールはカワサキZX-6R用、フロントフォークとブレーキ周りはカワサキZX-10R用、スイングアームはヤマハXJR1200用を使用しています。


 
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↑1926年式ダグラスEW350用フレームに、1973年式ホンダCB125エンジンを搭載したボードトラック・レーサースタイルのマシン。シフトロッドからシフトレバーを直接伸ばし、またクラッチを足で操作できるようにして、ハンドチェンジ仕様にカスタムされています。


 
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↑ダグラス×ホンダのボードトラックレーサーと同じビルダーによるマシン。ベースは1972年式のヤマハAS3。並列2気筒の2ストロークエンジンを搭載。アルミパネルを使ったシンプルなビキニカウルをデザインし、ビンテージレース参戦仕様に仕上げられていました。


 
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↑排気量750ccの1972年式トライアンフT140ベースのマシン。フレームはワンオフ製作のリジッド仕様。エンジンは850ccにボアアップされています。フロントにはドゥカティ用の倒立フォークをセットするなど、ビンテージとモダンをMIXしたボバースタイルのマシンでした。


 
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↑OHCエンジンのCB750FOURベースのチョッパーは、人気ですね。これも、そんな1台。ベースエンジンは1972年式のホンダCB750FOUR。排気量は836ccにボアアップ。ハーレー用21インチフロントホイールと、ホンダ用18インチリアホイールもセットされています。


 
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↑1984年式カワサキKZ250をベースにしたマシン。フレームはスタンダードをベースにしながら、リア周りを一新しリジッド化。フロントにはリーフスプリング・サスペンションをセットしています。


 
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↑1973年式ホンダCB500FOURをベースにしたカフェレーサースタイルのマシン。エンジンは排気量拡大とともに、ハイカムやCRキャブをセットし、ポート研磨なども施されています。ヤマハTZ用のアルミタンクも似合っています。


 
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↑放射状の空冷フィンが美しい1982年式ヤマハIT250がベース。タンクはDT250をベースにカスタマイズ。フレームはスタンダードながら、リアセクションを作り替えています。またフロントフォークの突き出し量を増やし、そこに真横に開いた、幅広のセパレートハンドルをセット。


 
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↑ヤマハSRもオーストラリアでは人気です。その500ccエンジンを535ccにボアアップするとともに空冷フィンを拡張。スーパーチャージャーもセットされています。フレームはスタンダードをベースに、リアセクションを一新。スイングアームも新調するとともに、モノショック化されています。


 
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↑ホットロッドカーのカスタムやレストアを得意とするビルダー、MOTORETROが、自分のために造ったBMW R100RSベースのカスタムマシン。外装類はすべてアルミ叩き出し。まだ仕上げが甘いところがあるから、詳しく見ないでね、とオーナー。フロントにはビューエル製のリムディスクブレーキを装着したかったことから、フロントホイールもアルミから削りだしたそうです。


 
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↑BMWを造ったビルダーとともにMOTORETROを経営する、もう一人のビルダーが造り上げたマシン。板金加工のスペシャリストで、外装類はすべてアルミからたたき出したワンオフもの。ボディラインも仕上げも、とても美しいマシンでした。そのビルダーが着ていたオリジナルTシャツにプリントされていた言葉に、ジーンときました。


 
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↑オーストラリアのドゥカティ・スペシャリスト、VEE TWOが造り出した、オリジナルフレームのコンプリートマシン「ALCHEMY SV1」。そのマシンをベースに、ちょっとレトロな外装類を造り上げ、セットアップしたマシン。


 
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↑ハンターカブの通称でおなじみ、ホンダCT110ベースのマシン。センターフレームとタンク&シートを追加し、スクランブラーというかモタードというか、MIXスタイルを造り上げています。エンジンやフロント周りは、エンジンを使用するピットバイク用に変更し、さらにパフォーマンスを高めています。


 
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↑OHCのホンダCB750をベースに、ディッシュホイールやスケートボードをアレンジしたシートやフロントグリルを装着するなど、独自のテイストでまとめ上げられていました。かなり乱暴な造りなのに、なぜか惹かれてしまう、不思議なチカラを持っていました。


 
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↑現在もレースに使用しているという、1997年式ホンダVTR1000。チョッパーなどと一緒に、こんなバイクが展示されているのも、面白いですね。


 
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↑最新のハーレーダビッドソン・ストリート750をベースにしたダートトラック用レースマシン。オーストラリアはダートトラックも盛んで、いまも世界で活躍するオーストラリア人ライダーにはダートトラック経験者も多いのです。


 
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↑スズキGS500もこんな雰囲気に。フロントにはハーレーダビッドソン製のスプリンガーフォークをセット。リアはリジッド化されています。これにブロックタイヤを履いちゃうんです。


 

※以下、会場の雰囲気です。

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