2019年3月23日
第46回 東京モーターサイクルショー速報 『バイクを取り巻く環境が変わる! モーターサイクルショーも変わる!』
年々盛り上がりを見せる国内バイク関連最大のイベント「モーターサイクルショー」。
3月15日から17日までは、大阪のインテックス大阪で、3月22日から24日までは、東京のビッグサイトでそれぞれ開催された。
ここでは大阪モーターサイクルショーの速報 に続いて、東京モーターサイクルショーの速報をお伝えしよう。
●レポート:編集部 ●撮影:富樫秀明/依田 麗/舟橋 朗/MT
かつてのモーターサイクルショーといえば、ショーモデルやコンセプトモデルを中心とした“夢のバイク”の祭典だった。それが今や販売、購入に直結した“下見”や“比較検討”などのためのイベントとして定着してきたといえる。メーカーも実際に跨がることもできる新車の展示を中心とするようになり、また近々に発売が確実な“市販予定車”が間近に見られたりと、バイクライフに直結した催しに様変わりしてきている。まあ、その分“夢”の部分が少なくなってきてしまっているのは致し方ないことだが。
そしてさらに今年のモーターサイクルショーで感じたのは、いよいよバイクの世界も変革の時代が訪れようとしている、ということ。
我が国のトップメーカー、ホンダが特別に公開したのは(報道向け、プレスデーのみの展示だったが)なんと電動スクーター「BENLY ELECTRIC」のプロトタイプだった。そしてこれまたモトクロッサーのCRF250Rを電動化したモデルも公開(こちらは一般公開日も展示)。そして電動化の波はそれだけにとどまらず、なんとKYMCOが電動スーパースポーツ「Super NEX」というモデルをジャパンプレミアしてくれたのだ。
クルマの世界で急速に広がりつつある電動化の大波がいよいよバイクの世界にも及ぼうとしている平成最後の記憶に残るモーターサイクルショーとなった。
それではさっそく各メーカーのブースを紹介していこう。
VIDEO
大阪モーターサイクルショーでは、スズキが新型KATANAを展示して注目を集めていたが、東京モーターサイクルショーでは、ホンダが頑張ってくれた。
急遽発表が決まった電動スクーター「BENLY ELECTRIC」。「PCX ELECTRIC」に続く新世代の電動スクーターをワールドプレミアしてくれたのだ。PCX ELECTRIC同様の着脱式のバッテリーやシステムを搭載しているという。すでにPCX ELECTRICで実績のある電動化システムと組み合わせるだけで様々なスクーターモデルに応用が可能となるだろうことは想像に難くない。
そしてもう一台の電動バイクは、なんと「CRF250R」をベースにした電動モトクロッサー「CR ELECTRIC PROTO」だ。プレスデーのわずか3日前に展示できるように外観やスタイルも整えたというが、それを微塵も感じさせない完成度の高さに、もうすぐにでも市販化か、と思ってしまうほど。電動化技術に詳しい無限とのコラボレーションということで、モーター、インバーター、そしてバッテリーは日立マクセル製を採用していた無限マシンとこれらもほぼ共通だろう。すでに2年の開発期間を経ているというから完成度の高さは当然か。ただし「実際に走らせられるレースが…」確かに参戦可能なクラスそのものから作り上げなければ、という現実があるのだそうだ。
電動化への道を歩み始めていることをしっかりと印象付けたホンダでした。
さて新車に目を向けると、4月19日発売のCB250R、6月21日発売のクロスカブ110・くまモンバージョン、そしてニューカラーのモンキー125とスーパーカブC125が“市販予定車”として登場。“市販車”としては、CB1300SUPER FOUR、CB400SUPER FOUR、CB1000R、CB650R、CB125R、CBR1000RR SP、CBR650R、CBR400R、CBR250RR、CRF250RALLY、CRF250L、レブル250、グロム、スーパーカブ110・ストリート。そして旧車ファンに懐かしいドリームCB750FOURとCB1000SUPER FOURも展示されていました。
ちなみに今年、2019年は、ホンダさんにとってベンリィCB92発売から60周年、CB750FOUR発売から50周年、CB750F発売から40周年の記念すべき年なのですね。おまけにホンダWGP参戦60周年でもあります(詳細はコチラ→ http://www.mr-bike.jp/?p=156712 )。
プレスカンファレンスで「BENLY ELECTRIC」を発表したホンダモーターサイクルジャパンの加藤千明代表取締役社長。
BENLY ELECTRIC。PCX ELECTRICのシステムをベースに電動化。
電動バイク、その2。「CR ELECTRIC PROTO」。
無限とのコラボレーションで開発した電動モトクロッサー。CR ELECTRIC PROTO。
モーター、コントローラー、バッテリー以外は基本的にCRF250Rがベースに。
4月19日発売のCB250R。
「Honda Fun」。モンキー125やスーパーカブC125って楽しいですよ。
VIDEO
“二輪車の祭典”、つまりお祭り騒ぎから方向転換、徹底してバイクライフの楽しさを表現する展示へとシフトしているヤマハさん。今回のテーマは『GO with YOU -風香る旅へ-』。
仲間とのツーリングとその先での楽しさ、サーキットでのスポーツ走行、カスタマイズの楽しさ、などなどバイクとある生活の楽しさをブースの中で演出。
また、ワイズギアとのコラボで、バイクライフに欠かせないアクセサリーや周辺アイテムも含めて、トータルでのヤマハの魅力を発信していた。『ヤマハ発動機の企業ヒストリーを語る上で欠かす事の出来ない資産を、頂点を知る不偏的カラーを用いて、「本物」「信頼」「正統」を現在モデルで未来へ語り繋げていく』というワイズギア定番の“オーセンティックスポーツ”のコーナーも変わらずの人気でした。
TRICITYをオフイメージにする発想が新しい。
「YAMALUBE GARAGE LIFE」。
こちら「FASTER SONS」のコーナー。
「Authentic Sports」人気も健在です。
LMWスポーツのNIKENにツーリング性能を向上させたNIKEN GTが登場。
3月28日発売の新型YZF-R25。カウルやタンク周りを一新。倒立サスも採用。
VIDEO
大阪モーターサイクルショーでは、新型KATANAで注目を一身に集めていたスズキ。日本での人気の高さが世界の市場を振り向かせたとさえいえるのだが、その震源地のわが国での熱烈歓迎ぶりに新型KATANAも喜んでいることだろう。
1980年の登場から始まるKATANAの歴史や魅力の紹介から、初代KATANA、GSX1100Sとの同時展示を行うなど、東京モーターサイクルショーでも人だかりの多さに変わりはなかった。国内発売も当然予定されており、しかも会場では実際に跨がれるように展示され、購入を検討しているファンには絶好の機会となっていた。
この他スズキのブースでは恒例となったMotoGPマシンに跨り疑似サーキットランを楽しめるコーナーやノベルティグッズを購入できる物販コーナーも設置。スズキファンには楽しいブースとなったことだろう。
出展車両はこの他、MotoGPマシンのGSX-RRをはじめ、GSX-R1000R ABS、GSX-R125 ABS、GSX-S1000 ABS、GSX-S750 ABS、GSX-S125 ABS、SV650X ABS、SV650 ABS、GSX250R、ジクサー、V-Strom 1000XT ABS、V-Strom 650XT ABS、V-Strom 250 ABS、バーグマン400 ABS、バーグマン200、SWISH LIMITEDなど。
今年のモーターサイクルショーの“主役”の1台。新型KATANA。国内発売も決定。
ベースとなっているといわれるGSX-S1000とは全く異なる顔つき。
オリジナルのKATANAとは異なるラジエターカバー部のプレートの造形。ここに刀の文字が入った。
スズキ車では初のスイングアームマウントフェンダーを採用。
エンジン周りの基本はSGX-S1000とほぼ共通のように見える。
見て、触れて、跨って…。
恒例の“MotoGP体験コーナーも人気。
オリジナルKATANAも展示。初代KATANAのファイナルモデル。
VIDEO
以前から「触れられて、跨がれて」の展示を中心としていたカワサキ。今年もブースの中心を占めていたのはそれらの“体感車両”のコーナーだった。
車種としてはVERSYS 1000 SE、Ninja ZX-10R SE、Ninja 1000、Z900RS、W800 CAFE、W800 STREET、Ninja ZX-6R KRT EDITION、Ninja 650、Z400、Ninja 250の各車。新型ZX-10Rと期待に応えて復活したW800 CAFEとSTREETなど最新のニューモデルに注目が集まっていた。
体感を重視するブース展開、といってもそこは華々しいショーらしく壁に組み込まれて展示されていたモデルももちろんありました。それはNinja H2 CARBON、Ninja H2 SX SE+、Ninja ZX-10RRの3台。さすがにブランドイメージの旗艦らしく誇らしげに光り輝いておりました。
見て、触って、跨って…。
Ninja ZX-6R。
W800 CAFE。右のテクノロジーの塊と同じ時代のニューモデルというのがバイクの面白さ。
Ninja H2 CARBON。これぞハイテクの塊。
壁に鎮座するフラッグシップ、Ninja H2 SX SE+。
Ninja ZX-10RR。ザ・スーパー・スポーツ。
昨今、小型二輪車市場で前年に対し販売増を続けるメーカーも多い輸入車勢。原付二種から大型モデルまで世界各国から個性的なモデルが集まっている。今年はお膝元と言える日本車勢よりも東京ショーにある種“華”を添えていたように感じられた。
※写真をクリックすると大きく、または違う写真を見ることができます。
VIDEO
BMW Motorrad
本邦初公開となった大阪モーターサイクルショーに続き、スーパースポーツの新型S1000RRをはじめR1250R、R1250RSをアンベール。また2019年ニューモデルとしてアーバンモビリティのC400X、C400GTなどを展示。
DUCATI
スーパーバイク世界選手権にデビューするやいなや2戦6レースを完全制覇してしまったマシンのベース車とも言えるパニガーレV4 R、新型ディアベル1260、ムルティストラーダ950、そしてスクランブラー800シリーズなどを展示。
TRIUMPH
月に1台のペースでニューモデルをリリースしているトライアンフ モーターサイクルズ ジャパンだが、先日発表されたばかりのスクランブラー1200シリーズなどの展示に加え、世界限定1400台のボンネビルT120 ACE、世界限定900台となるボンネビルT120ダイヤモンドエディションを披露。また、今年からロードレース世界選手権(MotoGP)のMoto2クラスで採用される3気筒エンジンも公開。
KTM/Husqvarna
KTMは新型790 ADVENTURE & 790 ADVENTURE Rをアンベール。新型690 SMC R と690 ENDURO R、進化を果たした1290 SUPER DUKE GTなども展示。ハスクバーナは新型SVARTPILEN 701 を日本初公開。
Piaggio
ピアッジオグループジャパンは2019年より欧州で販売を開始する電動スクーター、ベスパ・エレトリカを日本初公開。また2月より生産が始まったばかりのモト・グッツィV85TT、1100へ排気量アップとなったアプリリアRSV4 1100 Factoryも日本初公開。
HARLEY-DAVIDSON
ハーレーダビッドソンのブースでは2019年モデル15車種に跨ることができる体験展示を実施。また「Battle Of The Kings 2019」の入賞車両(全て公道走行可能とのこと)を展示。
Indian
インディアンモーターサイクルの日本総輸入元であるホワイトハウスオートモビルはFTR1200シリーズを日本初お披露目。また、チーフテンシリーズの最上級モデルなども出展。
KYMCO
EICMA(ミラノショー)でワールドプレミアとなった6速トランスミッションをもつ電動スーパースポーツモデルのSuper NEXを日本初公開。0‐100km/h加速は2.9秒、0-250km/h加速は10.9秒というパフォーマンスを誇る。
Lambretta
日本でヨーロピアンスクーターのランブレッタの輸入・販売を手掛けるサイン・ハウスは、車両のみならず同社が扱う各種製品を展示。また、ブースではランブレッタの正規ディーラーとして車両の販売を開始したバイク王&カンパニーが、同社のイメージキャラクターを務めるタレント・つるの剛士にV200 Specialなどを贈呈。
MV AGUSTAジャパンはEICMAで衝撃デビューを果たしたスーパーベローチェ他、多数展示。
MOTO CORSEはイタリアのビモータをはじめ、ドゥカティ・パニガーレV4などのコンプリートバイクを展示。
アドベンチャーモデルHIMALAYANをはじめとするロイヤルエンフィールド各車を展示するウイングフット。
ネオ・レトロなスクーターであるジャンゴをはじめ、フレンチブランドらしいモデルを出展するプジョーモトシクルのブース。
125と400という日本に最適な排気量をもつ個性的な各車をラインナップするイタリア・ブランドのSWM。
6リッター超のV8エンジンを搭載するバイク&トライクを扱うボスホスサイクルジャパン。
ウラルジャパンはアドベンチャーなサイドカー各モデルを展示。
日本上陸を果たしたタイのモーターサイクル・ブランド、GPXがブース出展。
東京モーターサイクルショーでは二輪用品メーカーをはじめとする関連各社・団体のブースもいっぱい。新製品やツーリング、学校などの情報が会場中に溢れていた。家族一緒に楽しめるブースもありますよ。 (順不同。ここに紹介するのは東京モーターサイクルショーに出展されたすべてのブースでありません)
※写真をクリックすると大きく、または違う写真を見ることができます。
VIDEO
かつてAMAスーパーバイク・シリーズを戦っていたZ1を彷彿とさせるカラーに各種パーツを組み込んだZ900RSやモンキー125などを出展するヨシムラジャパン。早くも新型カタナ用マフラーも。また、ゆっき~こと加賀山就臣が加入したJSB1000クラスでのレース活動の発表も行われた。
M-TEC(無限)はマン島TTで活躍する電動レーサー・神電の新型、そして電動モトクロッサーのプロトタイプであるE.REXを公開。
ホンダ車に採用される純正マフラーやアルミテーパーハンドルなどを手掛ける熊本の合志技研工業が東京MCショーに初出展。CB1100用のアルミタンク、マフラー、ハンドル、そしてスーパーカブ用のハート型マフラーを参考出品。
日本が世界に誇る模型ブランド・タミヤは1/12オートバイシリーズの新製品・モンキー125をワールドプレミア!? 近日発売予定だそうです。また、CB750Fourなど再生産品や限定生産品をブースにて販売。
オーセンティック外装セット&アクセサリーなどが人気、ヤマハ純正用品を手掛けるワイズギアのブース。
ETCキットなど二輪車用電装品でお馴染みのミツバサンコーワのブースでは新製品の二輪車用ドライブレコーダーを初公開。
ホンダ、ヤマハ、スズキのMotoGPマシンも展示、NGKスパークプラグでお馴染みの日本特殊陶業ブース。
ラジアルとなったTT100などをリリース、ダンロップの住友ゴム工業のブース。
今年はヨシムラ入りの加賀山就臣がTOTを戦ったGSX-1000Rカタナが展示されるアールケー・ジャパン&エキセルリムのブース。
バイクのロードサービスも行うJAF(日本自動車連盟)のブースでは名車図鑑で展開中のCB400Four、WWカラーのRG500γを展示。
ラパイド・ネオ他、新製品を展示、またかつてのロゴ“HA”がリニューアルして復活となったアライヘルメットのブース。
SHOEIのブースでは新製品他、NSウエストと共同開発した話題のスマートヘルメットも出展。
各種2019年新製品を展示するオージーケーカブトのブース。
オンからオフまで様々なタイヤを出展、レース活動も紹介されるブリヂストンのブース。
GIVIの正規販売元・デイトナのブースは各社とのコラボ的な展開。
かゆいところに手が届く商品展開でお馴染み、キジマのブース。
4月からは土曜日放送となるバイク番組MOTORISE、カフェのドトール、そして中野真矢率いる56designのブース。
プロトのブースに参考出展された第一種原付の電動バイク・Munro e-Bike。整備重量は42kg。
海外ツーリングを扱い始めて32年の旅行会社・道祖神のブースでは、特別企画などが掲載された2019年度新パンフレット配布や海外ツーリング映像を用意。
将来は二輪車関連の職業を目指す人は是非相談を、ホンダ テクニカル カレッジ関東をはじめとする各種自動車学校のブース群。
「レディスバイク」がプロデュースする女性ライダーのためのスペシャルブース。
女子高生とバイクが織りなすストーリーを描く青春映画「セブンティーン モータース」のブース。
塗り絵がスクリーンで動き出すモーターサイクル・デジタル遊園地は子どもも大人も楽しめます。
屋上展示場では「MFJ親子バイク祭り」を開催、体験試乗会も実施。
全国の“うまいもん”が揃う特設キッチンカーによるフードコートも屋上展示場にて。
ロードレースやモトクロス、トライアルなど、モータースポーツの魅力に触れることができる各ブース。