2019年3月14日
スズキのフラグシップ“アドベンチャー・ツアラー”V-Strom 1000 ABSがカラーを変更
V-Strom 1000 ABS/V-Strom 1000XT ABS 1,404,000円/1,447,200円(3月28日発売)
スズキのフラグシップ“アドベンチャー・ツアラー”として欧州を中心に人気を集めていたV-Strom 1000 ABSの国内仕様モデルが発売されたのは2014年6月。ハヤブサに続き、欧州仕様そのままのハイパワー仕様で国内市場への導入だった。
1997年発売のTL1000S、そして翌1998年のTL1000Rに端を発するスズキのリッタークラスVツイン・スポーツに系譜をたどれるスズキの90度Vツインスポーツモデル。セミカムギアトレインやラムエア機構、そしてF.I.採用などにより125PSのハイパワー(国内仕様は93馬力に抑えられていたが)エンジンを軽量なアルミツインスパーフレームに搭載した“じゃじゃ馬”マシンとしてのスタートだった。
“アドベンチャー・ツアラー”としてのヒストリーは、2002年、「次世代アドベンチャー・ツアラー・モデル」として生産を開始したV-Strom 1000の登場に始まる。より快適で上質なロングツーリングに最適なモデルとしてツーリングファンの支持を得ることに成功し、その後、2004年に発売開始した弟分のV-Strom650と合わせて、スズキに個性的なアドベンチャー・ツアラー・シリーズあり、を強く印象づけることに成功している。その後、V-Strom 1000は2007年に、650では2011年にエンジンから車体に至るまで、ほぼすべてを一新するモデルチェンジを受けている。
V-Strom 1000 ABSの国内仕様発売は、2014年に新型に生まれ変わるやすぐさま販売実績を塗り替えたというほどの人気の海外仕様モデルをベースに、180km/hのスピードリミッターの追加、イグニッションキーの変更(海外仕様で備わるパーキングポジションを廃止、国内のレギュレーションに合わせた)、そして各種のコーションラベル類を日本語に変更、という3点のみの変更にとどめていた。
ちなみに2013年に行われた新型V-Strom 1000 ABSへの変更点を取り上げておくと、エンジンでは、基本構造以外のほぼすべてを新設計。ピストン径をそれまでの98mmから100mmへとボアアップすることで、排気量を996ccから現状のシリンダーレイアウトではほぼ限界といえる1,036ccへアップ。最高出力は72.0kW(97PS)から74.0kW(100PS)に、最大トルクも101.0N・mから103.0N・mへとアップ。ピストン自体もサイズアップにもかかわらず、従来と変わらない重量と剛性も確保していたという。
シリンダーヘッド周りでは、ツインイリジュウムスパークプラグが新たに採用された。イグニッションコイルも1気筒当たり2個を採用。フューエルインジェクションでもインジェクターホールを4から10に増やし、よりクリティカルなコントロールを可能とし、排出ガス規制もEuro3をクリア(従来はEuro2)、燃費を18.0km/Lから20.9km/Lに向上させている。フライホイールマグネトーの慣性重量は15%アップし、ISC(Idle Speed Control)システムを採用したF.I.スロットルボディの採用などとともに低回転時のコントロール性を大幅にアップしている。
ラジエターの冷却能力を19.8kWから22.7kWに向上。オイルクーラーは廃止。さらに冷却システム全体でマイナス1.3kgの軽量化も実現。クラッチはスリッパークラッチ機能やアシスト機能を持たせたSCAS(Suzuki Clutch Assist System)を採用。マフラーは従来のツインマフラーからシングルへと変更、約4.7kgの軽量化を実現。
車体周りでは、スズキの二輪車では初採用となるトラクションコントロールを採用。状況に合わせて2タイプのモード(オフを入れて3ポジション)を選択可能だった。フレームはツインスパータイプと基本構造はそれまで通りだったが、最新のFEM(有限要素法)解析によりほぼ一新され、剛性を33%アップさせつつ、重量は従来モデルよりも13%軽量化している。スイングアームは約36mm延長、ホイールベースも20mmの延長となった。フロントにはKYB製のφ43mm倒立式フォーク、リアにはプリロードアジャスター付サスを採用。フロントブレーキは異形対向4ピストンモノブロックラジアルマウントキャリパーにグレードアップ。ボッシュ社製のABSを標準装備している。
ハンドルバーはそれまでのモデルよりも34mm後方に、フットレストも15mm後方にセッティングされ、ライダーの足着き性を向上させている。特徴的な上下2段にレイアウトされたヘッドライトを採用。そして必要にして最小限といえる、これまた特徴的なウインドスクリーンは、工具使用により3段階の高さ調節が可能。角度も3段階に調整が可能で、こちらは工具不要だ。メーターはデジタルの多機能メーターパネルを採用した。
“ワイルド&スマート”をデザインコンセプトにして生まれ変わった新型V-Strom 1000 ABS。ライバル各車がリッタークラスからさらに排気量を拡大、より大きく、より豪華なマシンへと変身していくのに対して、あくまで軽量&コンパクトさ、にこだわったマシン作りで“アルペンマスター”、アルペンルートでの最速マシン、という分かりやすい目標を実現するべく生まれ変わったモデルだった。この4世代目は、2015年12月に新色が追加設定されたのがラストとなった。新色2色の追加で、継続色合わせて計5色もが用意されるカラーラインナップとなっていた。
新型へと発展したV-Strom 1000の特徴は、弟分のV-Strom 650シリーズとよりイメージを統一した新デザインのスタイリングと、制動時の姿勢をより安定させてくれる“モーショントラックブレーキシステム”に注目だろう。従来からの“トラクションコントロールシステム”採用により加速時のホイールのスリップをコントロールしてくれるのは同一だが、今回、新たに採用された“モーショントラックブレーキシステム”ではABSも進化し、前後輪で協調作動するシステムに発展。バンク角の変化にも対応して前輪と後輪のABSの制動力を自動でコントロールし、より最適なブレーキング性能を発揮できるように制御してくれるという。
直近の動きとしては、2018年3月に新色の「オールトグレーメタリックNo.3」(QEB)の追加が行われている。今回も、V-Strom 650 ABS/650XT ABSシリーズ同様カラーリング及びデカールの変更が行われたのみで2019年モデルとなっている。
★SUZUKI ニュースリリースより (2019年3月13日)
スポーツアドベンチャーツアラーの
V-Strom(ブイストローム)シリーズのカラーリングを変更して発売
スズキ株式会社は、街中から高速道路、山岳路まで、長距離ツーリングを快適に楽しむことができる、スポーツアドベンチャーツアラーのV‐Strom(ブイストローム)シリーズのカラーリングを変更し、「V‐Strom 650 ABS」、「V‐Strom 1000 ABS」及び、ワイヤースポークホイール仕様の「V‐Strom 650XT ABS」、「V‐Strom 1000XT ABS」を3月28日より発売する。
- ●主な変更点
- カラーリング及びデカールの変更
- ※主要諸元、メーカー希望小売価格に変更は無い。
- 「V-Strom 650 ABS」
- ・車体色:3色
- 赤「キャンディダーリングレッド」(YYG)、黒「グラススパークルブラック」(YVB)、白「パールグレッシャーホワイト」(YWW))
- 「V-Strom 650XT ABS」
- ・車体色:3色
- 黄「チャンピオンイエローNo.2」(YU1)、赤「キャンディダーリングレッド」(YYG)、白「パールグレッシャーホワイト」(YWW)
- 「V-Strom 1000 ABS」
- ・車体色:3色
- 赤「キャンディダーリングレッド」(YYG)、黒「グラススパークルブラック」(YVB)、白「パールグレッシャーホワイト」(YWW))
- 「V-StromXT 1000XT ABS」
- ・車体色:3色
- 黄「チャンピオンイエローNo.2」(YU1)、赤「キャンディダーリングレッド」(YYG)、青/白「パールビガーブルー/パールグレッシャーホワイト」(AIP)、黒「グラススパークルブラック」(YBB)
- ●V‐Stromシリーズの主な特長
- デザイン
- ・1988年発売の野性的で力強いスポーツアドベンチャーツアラー「DR‐BIG」のDNAを継承した、シリーズ共通イメージのスタイリング。
- ・フロントには、縦型2灯ヘッドライトを採用。
- エンジン
- 650㏄
- ・低回転域での鼓動感や、中回転域の力強い立ち上がりから高回転域までのスムーズな出力特性を特長とする645cm3 V型2気筒エンジン。
- ・出力(51kW/8,800rpm)、トルク(61Nm/6,500rpm)を発生し、優れた燃費性能(35.5km/L※1)を実現しながら、平成28年国内新排出ガス規制に対応。
- 1000㏄
- ・低中速域での力強さと扱い易さを特長とする1,036cm3 V型2気筒エンジン。
- ・出力(73kW/8,000rpm)、トルク(100Nm/4,000rpm)を発生し、優れた燃費性能(32.1km/L※1)を実現しながら、平成28年国内新排出ガス規制に対応。
- 装備
- シリーズ共通
- ・広い前方視界を確保する快適な乗車姿勢と、高さを3段階に調整できる大型可変ウインドスクリーン。1000ccモデルは角度調整も可能とすることで、快適性を向上。
- ・快適な座り心地と足つき性を実現する、スリムな形状のシートと燃料タンク。燃料タンクは、より長い航続距離を実現する大容量20Lを確保。
- ・ギヤポジション、平均燃費、航続可能距離など、多様な情報を表示できる機能的な液晶メーターパネル。パネル下部にある12Vのアクセサリーソケットを採用。
- ・防風・防雨効果により長距離や寒冷時における快適性を向上するナックルカバーを、アンダーカウルと合わせて標準装備(「V‐Strom 650 ABS」を除く)。
- ・アルミ製キャストホイールを装着した標準車に加え、ワイヤースポークホイール仕様車を設定。
- ・2段階から選択可能なトラクションコントロールを採用。前後輪の速度、スロットルポジション、クランクポジション、ギヤポジションの各センサーの情報により、リヤタイヤのホイールスピンを検出した際、速やかにエンジン出力を低減。エンジン出力をより効率よく路面に伝達することが可能となり、より快適なライディングを楽しめる。※2
- ・スタータースイッチを押し続けずにワンプッシュするだけで、スターターモーターを回転させてエンジンが始動する「スズキイージースタートシステム」を採用。また、ニュートラル時はクラッチレバーを握らなくても始動可能とした。
- ・発進時や低回転走行時に、エンジン回転数、ギヤポジション、スロットル開度等の情報を用いて、エ
ンジン回転数をずかに上げる「ローRPMアシスト」を採用し、発進・停車を繰り返す市街地走行などでの操作性を向上。 - 1000㏄
- ・IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)の搭載によりコーナリング時のブレーキングにおいてもバンク角に応じたABSの作動を可能とし、フロントブレーキ圧が一定以上入力されると自動的にリヤブレーキ圧を発生させることで車体を安定させる「モーショントラック・ブレーキシステム」を採用。※3
- ・「V‐Strom 1000XT ABS」には、ハンドルが固定される中央部を大径化したテーパー形状により力強さを感じさせるハンドルバーを装備。
- ※1 国土交通省届出値:定地燃費値(60km/h)2名乗車時。定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。
- ※2 トラクションコントロールは、あらゆる条件下で後輪のスリップ(スピン)を完全に制御したり転倒を防止したりするものではありません。
- ※3 ABSは制動距離を短くするためのシステムではありません。コーナーの手前では十分に減速するなど、走行環境に合った安全運転を心がけてください。
- 商品名 メーカー希望小売価格 発売日
- V-Strom 650 ABS(DL650AL9) 907,200円 3月28日
- V-Strom 650XT ABS(DL650XAL9) 950,400円 3月28日
- V-Strom 1000 ABS(DL1000AL9) 1,404,000円 3月28日
- V-Strom 1000XT ABS(DL1000XAL9) 1,447,200円 3月28日
- ※価格(リサイクル費用を含む)には、保険料、税金(消費税を除く)、登録等に伴う費用は含まれない。
- ※メーカー希望小売価格(消費税込み)は、消費税率の変更により変更される。