2019年1月21日
CBR650Fがモデルチェンジして「CBR650R」へとよりスポーツ性を高めた「R」へと発展
CBR650R 1,036,800円/1,069,200円(3月15日発売)
2013年の東京モーターショーやモーターサイクルショーで「~ようこそ直列4気筒CBワールドへ~」のキャッチフレーズでコーナー展開をしたホンダ。やはりホンダ・ファンにとって「4気筒CB」は無くてはならない心のよりどころ。ということでその存在意義をもう一度しっかり見直そうということなのだろう。
その具体的な動きがCB400SF/SBシリーズ、CB1300SF/SBシリーズのてこ入れであり、CB1100シリーズの熟成、新たなタイプ設定などに繋がってきている。そして、2014年4月「直列4気筒CBワールド」に新たに投入されたのが、ミドルクラスCB、CB650F/CBR650Fシリーズだった。
完全にゼロから開発された水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブエンジンは、スロットルボディの取り付け角度や補機類の効率的なレイアウトなどにより、極力コンパクト化され、中身の方も吸排気バルブのオーバーラップ量を減らし、吸気系の設定などにより低・中回転域での力強さをより発揮できるセッティングにしているという。まさに昨今のライディングスタイルに合わせた新世代の直列4気筒エンジンのスタートだった。
CB400Fourを彷彿させる美しいラインを描くエキゾーストパイプが目を惹くCB650Fに対して、CBR650Fはフルカウルスポーツ版で“オールラウンドフルカウルスポーツ”としてスポーツ走行はもちろん、長距離走行でのウインドプロテクション効果も発揮するカウルが採用された。CB650Fと同時開発の「直列4気筒CBワールド」エンジンは4,000回転以下の低速域でも力強いトルクがあり、扱いやすい特性を実現したエンジンによる新時代のCB感覚を強く意識したモデルだった。
2015年1月に、このフルカウル版のCBR650Fにホンダ伝統の“トリコロール”イメージのカラーを施した特別カラー仕様が設定されている。変更点はカラーのみでメカニズムや諸元等に変更無し。
また、2017年4月には、ヘッドライトカウルまわりを中心に車体デザインが刷新され、それと同時にエンジン、足周りの改良が行われた。エンジン面では動力性能のさらなる向上を目指して、より多くのエアを導入する吸気流路を新設し、エアファンネルの短縮化やマフラーの内部構造を3室から2室に変更するなどで、最高出力を5kw(7馬力)向上。同時に、低・中回転域でのトルク特性の向上と、高回転域の伸びを両立。加えて、トランスミッションの2速から5速の変速比をローレシオ化することで、力強い加速フィーリングを実現した。
足周りでは、ショーワ製の「デュアル ベンディング バルブ」を装着することで、しなやかで路面追従性に優れた上質な乗り心地を実現。リアは従来同様、路面状況やユーザーのライディングに合わせて調整可能な7段階プリロードアジャスターが採用された。ブレーキ周りでは、フロント、リアともに放熱効果に優れたウェーブディスクを装着し、フロントに320mm大型ダブルディスクと2ピストンキャリパー、リアに240mmディスクとシングルピストンキャリパーを組み合わせている。前・後輪のロックを回避するABSも標準装備された。
このモデルチェンジ1回を経て、今回、初のフルモデルチェンジが行われた。エンジン面では、高回転域の出力の向上をメインに、アシストスリッパークラッチやHondaセレクタブルトルクコントロールの新採用など、「R」へと発展したシリーズのよりスポーティな走りを実現する改良となっている。
車体面では、フレームの構成部品や製法を変更するなどにより、よりしなやかさと剛性バランスの優れたスチール製ツインスパーフレームを採用。足回りでも新たに倒立フロントフォークや新設計のφ310mm、10ピンフローティングディスクシステム、ラジアルマウントキャリパーの採用などにより運動性能を高め「R」の名に恥じない走行性能を実現したとしている。
ちなみにCBR650Rの開発キーワードは「エキサイティングな走りの堪能 直 4 Middle CBR R」。新デザインのコンパクトなフルカウルに全灯火器にLEDを採用している。
★HONDA ニュースリリースより (2019年1月21日)
ロードスポーツモデル「CBR650R」を発売
Hondaは、水冷・4ストローク・DOHC・直列4気筒・648ccエンジンを搭載し、コンパクトなフルカウルを装備したロードスポーツモデル「CBR650R」を、Honda Dreamより3月15日(金)に発売します。
CBR650Rは、扱いやすい車体サイズに低回転域から高回転域まで伸びやかな回転フィーリングを堪能できる直列4気筒エンジンを搭載した従来モデルの「CBR650F」をベースに開発。ワインディングや高速走行などでの、よりスポーティーな走行における“操る楽しみ”に焦点を当て、「エキサイティングな走りの堪能 直4 Middle CBR R」を開発のキーワードに、車体・足回り、パワーユニットの各部を熟成させつつ、スタイリングを一新。名称を従来のCBR650FからCBR650Rへ変更しました。
車体・足回りは、フレームの構成部品や製法を変更するなど剛性バランスを見直すとともに、さらなる軽量化とマスの集中化を図ったほか、新たに倒立フロントフォークや軽量化した新デザインのアルミホイールを採用するなどより運動性能を高め、軽快で上質なライディングフィールを実現しています。
パワーユニットは、扱いやすいトルク特性としながら従来モデルに対して高回転域の出力を向上させています。また、ライダーの疲労軽減や安心感のある走りに寄与する、アシストスリッパークラッチやHondaセレクタブルトルクコントロール(HSTC)※1を新採用。より扱いやすく快適でスムーズな乗り味を実現し、“操る楽しさ”の向上を図りました。
スタイリングは、新デザインのコンパクトなフルカウルを装備し、ヘッドライト、テールランプなど全灯火器類にLEDを採用しています。
※1 Hondaセレクタブルトルクコントロールはスリップをなくすためのシステムではありません。あくまでもライダーのアクセル操作を補助するシステムです。したがってHondaセレクタブルトルクコントロールを装備していない車両と同様に、無理な運転までは対応できません
- ●販売計画台数(国内・年間)
- 600台
- ●メーカー希望小売価格(消費税8%込み)
- CBR650R(マットバリスティックブラックメタリック)1,036,800円(消費税抜き本体価格 960,000円)
- CBR650R(グランプリレッド)1,069,200円(消費税抜き本体価格 990,000円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません。
- =CBR650Rの主な特徴=
- ■車体・足回り
- ・フレームのピボットプレート部はプレス成型品を組み合わせたボックス構造に変更し、軽量化と高剛性化を高次元で両立させています
- ・シートレール下側のパイプがピボットプレートに接合される位置を上方に移動させ、軽快感のあるシルエットにするとともに、シート後端を短縮してマスの集中化に寄与させています
- ・ステップ位置を従来モデルに対し上側後方に設定するとともに、セパレートハンドルをトップブリッジ下側に締結しハンドル位置を下げることで、ワインディングなどでの走りをより楽しめるライディングポジションとしています
- ・アルミホイールは5本Y字型スポークの新デザインを採用。剛性の最適化を図りながら各部を薄肉化することで軽量化を図りました
- ・サスペンションは新たにフロントフォークを倒立式とし上質で軽快なハンドリングに寄与させるとともに、リアサスペンションとスイングアームとの締結部にピロボールを採用して、クッション作動性と路面追従性をより高めています
- ・フロントブレーキにはラジアルマウントキャリパーを新たに採用。また、従来モデルと同様にABS※2を標準装備しています
- ※2 ABSはライダーのブレーキ操作を補助するシステムです。ABS を装備していない車両と同様に、コーナーなどの手前では十分な減速が必要であり、無理な運転までは対応できません。ABS作動時は、キックバック(揺り戻し)によってシステム作動を知らせます
- ■パワーユニット
- ・ピーク回転にかけて谷のない回転上昇フィーリングを提供する出力特性に変更し、扱いやすさを高めるとともに、高回転域の出力向上を図っています
- ・より高回転型の特性とするため動弁系の諸元を変更し、出力向上とスムーズなトルク特性に寄与させています
- ・ピストンは頭部形状を変更し燃焼室形状の最適化を図りました。合わせてイリジウムプラグを採用し混合気をより効率良く燃焼させることで、吹け上がり感と優れたスロットルレスポンスに寄与しています
- ・新設計のエアクリーナーには専用のツインラムエアダクトを採用。走行時の風圧(ラム圧)により高速域でのエアクリーナーボックス内の気圧を高めることで燃焼室への吸気充填効率を向上させ、高速域でより鋭いエンジンの吹け上がり感を実現しています
- ・新たにアシストスリッパークラッチを採用。アシスト機構により、クラッチレバーの操作荷重を軽減させるとともに、シフトダウンに伴う急激なエンジンブレーキによる後輪ホッピングを軽減するスリッパー機構を備えることで、より“操る楽しさ”の向上を図りました
- ・新たにHonda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)を採用。前後の車輪速度差から算出された値に基づき燃料噴射量を調整することでエンジントルクを最適化し、リアタイヤの駆動力を制御することで後輪スリップを緩和します。左ハンドルのスイッチ操作でON/OFFの切り替えが可能です
- ■スタイリング
- ・LEDデュアルヘッドライトの採用など、CBRシリーズのイメージをより強調したスタイリングに一新。高速走行時のライダー居住性とワインディングなどにおける車体切り返し時の軽快感を両立させた、軽量コンパクトなデザインのフルカウルを装備しています
- ・カラーリングは、レーシングイメージのグラフィックを施しスピード感を表現した「グランプリレッド」と、ブラックを基調とした落ち着いた印象の中に高彩度なレッドをアクセントとして取り入れた「マットバリスティックブラックメタリック」の2色を採用しています
- ■その他の装備
- ・急ブレーキ時にハザードランプを高速点滅させるエマージェンシーストップシグナルを新たに採用しています
- ・新設計のメーターは軽量コンパクト化を図ったフルフラットデザインを採用するとともに、ギアポジションインジケーターなどの機能を新たに追加しています
★主要諸元
車名型式 | 2BL-RH03 | |
---|---|---|
CBR650R | ||
発売日 | 2019年3月15日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.130×0.750×1.150 | |
軸距(m) | 1.450 | |
最低地上高(m)★ | 0.130 | |
シート高(m)★ | 0.810 | |
車両重量(kg) | 207 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※3 | 31.5(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※4 | |
21.3(WMTCモード値 クラス3-2 1名乗車時)★※5 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 3.0 | |
エンジン型式 | RH03E | |
水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 648 | |
内径×行程(mm) | 67.0×46.0 | |
圧縮比★ | 11.6 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 70[95]/12,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 64[6.5]/8,500 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI] | |
始動方式★ | セルフ式 | |
点火方式★ | フルトランジスタ式バッテリー点火 | |
潤滑油方式★ | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L) | 15 | |
クラッチ形式★ | 湿式多板コイルスプリング式 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 3.071 |
2速 | 2.352 | |
3速 | 1.888 | |
4速 | 1.560 | |
5速 | 1.370 | |
6速 | 1.214 | |
減速比1次★/2次 | 1.690×2.800 | |
キャスター(度)★ | 25°30′ | |
トレール(mm)★ | 101 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C 58W |
後 | 180/55ZR17M/C 73W | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム式 | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
■道路運送⾞両法による型式指定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
■製造事業者/本田技研工業株式会社
※3 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※4 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※5 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます