2018年12月13日

消費増税でも、減税もポイント還元もない! バイクの扱い宙ぶらりん

消費増税でも、減税もポイント還元もない! バイクの扱い宙ぶらりん

来年10月には消費税率が10%に引き上げられる。税率が上がれば、その影響はどこまでか見えないが消費は冷え込む。そのため政府・与党は車を持つ人に毎年かかる自動車税の減税を決めた。景気対策だから、消費増税後に新たに購入した車が対象になる。13日の2019年度の与党税制改正大綱に盛り込まれる予定だ。
だが、バイクのハナシは何も出てこないのだ!

●取材・文:中島みなみ
自動車減税でも、バイクは?

 減税の詳細はこうだ。排気量1000cc以下では、現行の年2万9500円から4500円引き下げて年2万5000円に。1000cc超から1500ccまでは、4000円引き下げて年3万500円に。1500cc超から2000ccまでは、3500円引き下げて年3万6000円になる予定だ。ただ、軽自動車の税額は現行の年1万800円を据え置くことになるが、これらすべて四輪車の話。
バイクは論外だ。

 2016年4月、バイクは新車とそうでない車両の区別が使えないという課税側の理由で、軽自動車増税が一律決まり、現在に至っている。四輪車のような議論がないまま、四輪車の増税に引きずられる形で増税だけが決まった。当時の自民党の野田毅自民党税制調査会長と公明党の斉藤鉄夫税制調査会長は2度目の覚書を交わし、「大綱の中には書きませんが、両党の税調会長同士の覚書として、二輪車のユーザーの負担について今後総合的に検討する」としたが、この具体策も実現しないままだ。

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 四輪車の減税が進んだ背景は自動車ユーザーの負担軽減を望む自動車業界の働きかけもあるが、それ以上に大きな要因は消費増税対策にある。消費税以外に特別な税金がないコンビニ小売業などではキャッシュレス決済でのポイント還元が取りざたされているのもそのせいだ。だから、自動車は最初からポイント還元の対象になっていない。では、減税のないバイクは、どうなっているのか。やはり、ポイント還元の対象ではない。

 増税ではバイクも自動車だからとセットで議論され増税対象となる。しかし、減税議論では当然のようにはずされているのがバイクだ。

生活の足であるバイクに対策を!

 まるでイソップ童話のこうもりのようにどっちつかずな存在として扱われたままでいいのか。強い警鐘を鳴らしたのは北側一雄元国土交通相だ。北側氏は公明党オートバイ議員懇話会の会長でもある。11月29日のバイクショップ組合の総会で、北側氏は危機意識を募らせた。
「特に今年は自動車の保有課税が論点になっているが、自動車というと登録自動車だけかのような議論になりがちだ。軽自動車とか、二輪車は、すっかり忘れ去られている。二輪車とか軽自動車は日本国民のまさしく生活の足なので、その観点から二輪車、軽自動車は重要だと思っている。二輪車もしっかりその対策をとっていかねばならない」

危機感を募らせる北側一雄公明党副代表(中央)、斉藤鉄夫前同税調会長(左)、西田実仁税調会長(右)

危機感を募らせる北側一雄公明党副代表(中央)、斉藤鉄夫前同税調会長(左)、西田実仁税調会長(右)。

 バイクの車両価格は、バイクだから四輪車よりも安いというのは昔の話で、車両価格が四輪車を上回る重量車は珍しくない。また環境規制強化に対応し、コミュータークラスの小排気量車も価格上昇を続けている。生活の足を守れなければならないというのは、けして大げさな話ではない。

 四輪車のような税金がない二輪車だから減税もないというのも道理かもしれないが、四輪車では環境対応車の普及を後押ししたグリーン減税や補助金も、こと二輪車に関しては無策に近かった。泥縄式だと批判されながらも、ポイント還元は大手系列のチェーン店では2%還元だが、中小小売店では5%還元案も出ている。

 あるバイクショップのオーナーは訴えた。
「増税だけ進み、バイクの国内市場が見捨てられているのは割り切れない。せめてバイクもポイント還元の対象としてもらいたい」

 自動車減税は多くの団体が一丸となって関係団体に働きかけてきたが、比較すると国内二輪車メーカーなど関係団体の熱意があるとは言えない。物言わぬバイクユーザーは、足元を見透かされた形だ。