2018年12月25日
バイク、載せています。 で、ノッテるのはボクです。 ホンダのFun Carrier。 N-VANは、愉し。
■試乗・文:松井 勉 ■撮影:松川 忍
■協力:Honda http://www.honda.co.jp/motor/
びっくりするほど快適で、びっくりするほど貨物車で、見た目通りに楽しくて、見た目以上によく走る。モンキーを載せて走ると、ドライブ好きのわんこが外を夢中で眺めているような不思議な画になるのが不思議。これぞ、夢の狭小秘密基地。N-VANはそんな車だった。
イカす波線の誘惑。
ボン! カチャ。ボン! カチャ。意味なくドアを開けたり閉めたりしてみる。思わずそうしたくなるような楽しい存在感。風をうまくよけそうな顔つきはどこかちょっとステップバン似だ。そして丸っこいルーフから絶壁のリアドアまで続くスタイル。試乗した+STYLE FUN というグレードは丸目風のLEDライトで、マスクから受ける印象も柔和、スクエアさと丸さが調和したルックスをうまく引き出している。
もう、まるで仕事のできそうなビジネス魂をもちながら、大作をこしらえようと、日曜大工の道具を奮発したときのような、わくわく感に包まれているN-VAN。それにサイドの波板みたいな3本線もいい。規格サイズギリギリまで幅を出したサイドパネルを見事引き締め、アクセントになっている。°パネル強度もあるんだろうな、と見た目効果だってある。
車体の四隅に配置された12インチで小径だけど肉厚サイドウォールのタイヤがしっかりと支えている感じがする。バン、トラックにポジティブな自分はこの時点でN-VANにやられています。
なんだか70sなインパネで
サイクルヒットを打つN-VAN
自慢の室内はなるほど機能的だ。まるで市場を闊歩するターレーの如きドライバー+荷物最大限になるアイディアは面白い。そのとき、助手席側からものが運転席に転がり込まないようにするついたても心憎いアイディアだ。
いったん、シートを全部起こして座ってみると、運転席以外は補助席的。助手席側一列をたたんでバイクを積み、運転席側縦2名で移動しようとしたら「バイクで自走するから降ろして!」と言われ兼ねない。この車、文句なしで一人乗りユースが一番快適だろう。
対する運転席はまさに王様の椅子だ。私事で恐縮だが、直近10年、IKEAのワークチェアから、COSTCOの革張りエグゼクティブチェアへと格上げして励む原稿制作。もし、その仕事環境がこのN-VANのドライバーズシートのような出来映えだったら・・・・。そう思うほど別格な快適さなのだ。これならどこでも行かれそうだ。シートスライド量もすごいし、リクライニングさせてもシートバックのサポート感はしっかりある。ハンドル位置もそれに合わせやすい。しかも小ぶりで太めなリムを持つハンドルからのぞくメーターが、70年代の国産スポーティーモデルのようだ。直線的なラインとルーバーのエアコンの吹き出し口なんてなかなかしゃれている(と私は思う!)。
走ったら、これまたすごく楽しい。
この値段、高い? 高くない?
走りました。それはそれは想像を超える上質感。トルクコンバーター付きCVTは2600rpmで最大トルクを生み出す3気筒ターボエンジンの特性を反映して、常に2000回転程度で緩く回っている。自分の2.3リッターエンジンを積むミニバン(4速AT)なんかより峠道で全然パワフルでトルクフルじゃないですか。どういうこと??
しかもエンジン全然回ってない! 静かだし。年に何回か乗る軽トラとは全くの別ののりものです。ホンダが気合いを入れた駆動系を搭載しただけのことはある。N-VANという商用登録の軽にトルコン付きCVTや6MTを初搭載したそうだ。買う人(コストを抑えたい会社)より乗る人を見ての決断なのだろう。
車高のある車体と145/80R12というハイトの高いタイヤのゆったりしたハンドリングや、自慢のサイドピラー一体式ドアの影響なのか、183センチの僕がポジションを合わせると、左側方視界が遮られるエリアがあることなど、注意が必要な部分もあるが、それでもノリモノとしてこN-VANはありだ。これで、助手席が初期型フィアットパンダみたいにハンモック風になって見た目しょぼいけど乗り心地最高! となったら文句なし。2WDでターボ付きのこのグレードは170万円弱、4WDなら180万円のプライスになる。ホンダセンシング付きという先進性、魅力的な駆動系、新キャラと暮らす面白さ。これ、好きなら絶対に「買い」だ、と思った。久々にわかりやすいクルマ登場です。
(試乗・文:松井 勉)
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