2018年12月12日
第34回DUBYA ワールド・ベテランズ・モトクロス・チャンピオンシップス ワールドVET、それは世界の中高年が集うモトクロス祭り
●レポート・写真:高橋絵里
“11月第1週末はカリフォルニア”とワールドVET大好きおじさん達の手帳には書いてある。
バイク好きのおじさんというと多くはツーリング、ドレスアップ、レストアなどを愛するものだが、このヒトたちは誰が何と言おうとモトクロス、絶対にモトクロス、何歳になってもモトクロス。
今年も22カ国から、延べ1300台が集まる壮大な祭りとなった。ヨーロッパでモトクロスの盛んなフランスやイタリア、ドイツはもちろん、ロシアからも南アフリカからも、そして日本からも、遠征組はレンタルバイクを利用して、とにかく世界中の中高年ライダーが年齢別のモトクロス世界イチを競う。
もちろん遊びだ。が、オトナの遊びはホンキになるほど魅力的だ。
そうして走れば誰もが笑顔一杯。
エントラントの最高齢は79歳。ということは、来年から80歳クラスも誕生するイキオイだ。
ジム・オニールさん(アメリカ・+70クラス)
カリフォルニア発バイクアパレルの老舗オニール・ブランドを率いるジム社長、70歳を過ぎた今も元気に走り続けるレジェンドの一人。練習日から熱心に走り込む姿はとても若々しい。
ウィル・ハーパーさん(アメリカ・+60エキスパートクラス)
若い頃は南カリフォルニアで敵なしだった。プロライダーからプロスタントマンに転向し映画やドラマで活躍の後、あるとき天からの啓示を受けて詩人となる。人呼んでポエム・ライダー。
アニータ・ペデルセンさん(ノルウェー・ウーマンクラス)
数年前に新設のウーマンクラスにノルウェーから単身初出場。現地のマシンレンタル&サポートサービスを利用して土曜に総合優勝、日曜も総合2位の好成績に「サイコーの気分よ!」
バリー・スロウスキーさん(オーストラリア・+40プロクラス)
元スーパークロスとモトクロスのプロライダーで現在はコ-チやトレーナー、サスペンションチューナーで活躍する41歳。「コースはマイルドに見えてもチャレンジングだしなかなかテクニカルだよ」
ロニー・ジャンセンさん(カナダ・+40ノービスクラス)、奥様のタミーさん
カナダのブリティッシュ・コロンビア州からマシンを積み込んだ巨大トレーラーを引っ張り陸路を移動、ちょうど24時間かかって会場に到着。「日本から来るほうが全然近いでしょ?(笑)」
ペレ・ニルソンさん(スウェーデン・+55インターミディクラス)
2週間の休暇を取って北欧スウェーデンから、レンタルマシン利用のペレさんは建設会社の社長さん。「ワールドVETはこれで3回目になります。グレンヘレンはとてもタフなコースで大好きです!」
デニス・ステープルトンさん(アメリカ・+30プロクラス)
来日経験も豊富な、ロッポンギ大好きプロライダー。地元カリフォルニアではバイクレンタル、マシンインプレライド、スクール講師などモトクロスの魅力を多角的に提供する『STAPO』を主宰している。
ランディ・ルイスさん(アメリカ・+65エキスパートクラス)
マシンは車種も排気量も自由のワールドVETだが、それにしても目立ったスペイン製77年型オッサGPⅢ、ライダーはモトクロス歴50年以上になるカリフォルニア出身66歳。いい味出してます。
クリストファー・ダイクストラさん(アメリカ・+55ノービスクラス)
レース歴3年、地元コロラド州で+50ノービスチャンピオンになり、ワールドVET初挑戦、コースの急坂に大興奮。ピットでは合衆国星条旗と共に連合国時代の南部海軍旗サザンクロスを掲揚。
エド・ペリトンさん(右・アメリカ・+70クラス)
ワイオミング州から毎年遠路を単身でドライブしてくる75歳。今年は友人のゲイリーさん76歳がワシントン州から応援サポートに駆けつけてくれて合流、旧交を温めたワールドVETになった。
日本から参戦のチャンドラー佐藤(61歳)、伊田井佐夫(62歳)、源治篤(59歳)が+60と+55のエキスパートクラスで日の丸オヤジの意地を見せた。#130伊田選手は土日の4ヒートすべてホールショットを決めると土曜は総合優勝、日曜に総合2位となり周りから「カミカゼライダー!」と人気。
左から、ワールドVETの冠スポンサーDUBYA(ダービャ。ホイール専門店)、大会記念アパレルショップ、かき氷やホットドッグの軽食コーナーなど、会場で出店を覗いて歩くのも楽しみのひとつ。
ブラジルからの4人は40代と50代の構成。走るクラスが違うので互いにスタートでサポートし合った。「本当に素晴らしい、夢のようなコースだ!」とグレン・ヘレンに酔心。
ヨーロッパ諸国からの遠征も増えている。年代も様々なスウェーデンからのグループはレンタルマシン利用で楽しんでいた。「カリフォルニは暖かくて気持ちいいね!」
こちらはハワイ州オアフ島から「アロハ~、今年も来たよぅ、いいねぇ楽しいねぇ最高だねぇ、もうずっと居たいよねぇ」と独特にゆったりのんびりな雰囲気を発散しながらもレースではファイトしていた。
ジョディ・ワイゼルさん(アメリカ・+70クラス)
半世紀前よりアメリカのモトクロス発展を牽引したレジェンド。ライダーであり、人気メディアMXA(モトクロス・アクション)マガジンの創設者。ワールドVETではコース監修を手がけ、レースビギナーが楽しく走れると同時に上級者にはテクニカルと唸らせる、とびきりのレイアウトを毎年作り出す。長年の多彩な活動に対し今年の功労賞『エディソンダイ・アチーブメント・アワード』を受賞、サイン会の主役となったばかりでなく、+70クラスを元気一杯走った。