2018年10月20日
「去年の再現は、あるぞ」Team SUZUKI ECSTAR(アンドレア・イアンノーネ/アレックス・リンス)~始まりました、日本GP!
昨年は3日間ずっと雨に降られ、さらに今年も、ウィーク初日の金曜から雨に見舞われたMotoGP第16戦 MOTULグランプリofジャパン。それでも安心してください、雨は金曜のみで、あす土曜と決勝レースの日曜は、雨はなく、曇りから晴れで推移しそうです!
思い出します、あの雨の2017年。アンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)とマルク・マルケス(ホンダ)の雨中の劇的一騎打ち! 最終ラップ、最終コーナーまでもつれた優勝争い、勝ったのはドビツィオーゾでしたが、私が注目したのはスズキGSX-RR、チームスズキエクスターの、アンドレア・イアンノーネとアレックス・リンスのふたりでした。
スズキGSX-RRをライディングするふたりは、リンスが予選10番手、イアンノーネが同11番手。日本GPに来るまでの14戦、それまでイアンノーネは最高位7位、リンスは8位と今ひとつ波に乗れず「今年(2017年)のスズキは今ひとつかな……」と思っていたのですが、もてぎの雨のレースで期待を大きく上回る走りを見せてくれたのです。
スタートでやや順位を下げたリンスに比べ、イアンノーネはオープニングラップからトップ6につけ、少しずつ少しずつポジションをアップ。リンスもレース序盤から先頭集団に追いつき、結果イアンノーネは4位、リンスは5位入賞というレースを見せたのでした。
「去年の日本でのレースは良かったね! うちのマシンは、特に高速コーナーのコーナリングスピードが高いのが武器なんだけれど、決してそういうレイアウトではないもてぎであのポジションを走ったことで、今年のマシン開発の方向性が定まったんだ」とイアンノーネ。17年仕様のGSX-RRは、技術陣も認めているように、エンジン開発の方向性をミス。そのエンジン特性がブレーキングスタビリティ、コーナリングにも影響を及ぼし、最終的にイアンノーネがランキング13位、リンスが16位に終わってしまった。もちろん、ふたりの実力に見合ったランキングとは言い難い。
「今年のマシンは、特にエンジンが進化して、すごくいいフィーリングで走れている。相変わらずコーナリングスピードを生かせるコースでは強くて、アメリカズGPやタイGPなんか、いい走りができた」というのはリンス。今シーズン、スズキのふたりはシーズン序盤から快走を披露し、リンスがアルゼンチンGPで3位表彰台を獲得すると、続くアメリカズGPではイアンノーネが3位、イアンノーネは続くスペインGPでも3位表彰台を獲得した。
シーズン中盤には、ちょっと失速。イアンノーネはカタルニアGPから5レース連続でトップ10圏外を走り、リンスは前半戦だけで5回のノーポイントレースを演じてしまった。
「シーズン中盤に失速したのは、ハッキリとした理由はないんだ。いいポジションを走りながらポジションを落としたレースもあるし、予選順位が悪くて追い上げレースをしているうちにチェッカーを受けたこともある。それでも、今シーズンは常にポジティブで、うまくレースができていると思うんだ」(イアンノーネ)
「今年はムジェロからかな、新しいフレームを使い始めて、それがすごく機能している。特に、今までは強みが生かせなかったブレーキングでパッシング出来るシーンも増えた。もてぎはハードブレーキングのコーナーも多いから、去年とはまた違ったレースが見せられると思う」(リンス)
今シーズン、イアンノーネは3位を3回、リンスは3位1回、2位1回と、もてぎで狙うは表彰台、そして初優勝。
「僕はここもてぎが得意だし、今年のマシンはもてぎのようなレイアウトでも強みを出せると思うんだ。特にダウンヒルストレートの後の右コーナー、そこから最終コーナーにかけての区間あたりを見ていてほしい」(イアンノーネ)
「僕は1stトンネルを抜けたS字区間が好きだな。あそこでスピードを乗せながら、左ヘアピン(注:V字コーナー)までの区間でのパッシングを見ていてほしい」(リンス)
レースは、優勝候補が多いほど面白い。金曜は、FP1こそドライコンディションだったものの、午後のFP2は雨上がりのウェット路面だったこともあり、土曜の予報が晴れということもあって、ほとんどのライダーが走行を回避。そのFP1では、イアンノーネが6番手、リンスが19番手を獲得。決勝レースに向けて、まずは土曜のFP3でスズキ勢のホンキが見られる!
(レポート&写真:中村浩史)