2018年10月22日
欧州最大級のスプリントレース&カスタムバイクの祭典 「Glemseck101」
■取材・文:河野正士 ■協力:Glemseck101 https://www.glemseck101.de
3年前にレポート(http://www.mr-bike.jp/?p=99912)した、ドイツ・シュツットガルト近くの街、レオンベルグで開催されるカスタムバイクと1/8マイル・スプリントレース(0-200mドラッグレースの意)のイベント「Glemseck101 グレムセック・ワンオーワン」。今年も参加してきました。じつは2016年は不参加。しかし行けばよかったと後悔したので昨年に単独参加(すみません、レポートしてません……)。で、今年も行っちゃえってことで合計3回の参加となりました。今年は天候に恵まれず、最終日の午後に雨が降りレースは中止になりましたが、それでも約4万人が参加したそうです。ここではその様子を紹介します。
3年前のレポートでは“欧州最大を謳うイベント”と紹介しましたが、その後いろんなイベントを見て回り、グレムセックはその規模だけではなく、イベントの個性はもちろんイベントを造り上げるスタッフやスポンサー企業の努力、そこに集まるバイカーたちの心意気などなど、どれを取っても唯我独尊であり、欧州最大級であることは間違いありません。
唯我独尊であること。それは、はるばる日本から出かけて行く大いなる原動力になります。グレムセックの最大の個性とは、やはりスプリントレースです。いまでは欧州のあちこちで開催されているカスタム系イベントに、色んなカタチのレースが組み込まれていますが、そのきっかけを造ったのもグレムセックと言っても良いでしょう。
日本で説明するときには“ドラッグレース”という言葉を使いますが、その言葉とカテゴリーが持つイメージとグレムセックのスプリントレースは、違うと思います。もちろんレギュレーションによって、ドラッグレーサー然としたスタイルのマシンが持ち込めなくなっていますが、そうじゃなくても、参加するビルダーやライダーたちは自らのキャラクターを理解し、または造り込み、マシンの速さだけを追求することもない。だから見ていても飽きないのです。
それを証明するかのように、ザックリ2000人くらい座れるグランドスタンドは、ビール片手に観戦する人でずっと満席。雨でスケジュールが遅延したときも、再開のアナウンスが流れるとあっという間に満席になったほどです。誰が勝ったかはもちろんですが、どんなバイクとライダーが、どんなパフォーマンスをするかに一喜一憂し、大きな拍手と歓声が生まれるのです。
あと特筆すべきはレース運営スタッフおよびイベントスタッフ、さらにはレース・エントラントが、みなエンターテイナーであることです。運営スタッフはレースやイベントを捌く所作や立ち姿も格好良く、時には威厳を、時には愛嬌をもってスケジュールを進めていきます。
レースに参加するライダーやビルダー、サポートスタッフも同じ。レースしに来てるんだから勝てば良い、なんて考えているチームはひとつもなく、グレムセックを待ち望み、ライバルたちとのレースを楽しんでいる。もちろん、みな勝利を目指し、勝者には敬意を表しますが、それがすべてではない、ということが貫かれているのです。
彼らはレースは勝負を決める場であることと同じく、“SHOW”である、という意識なんですね。だから来場者を楽しませようとするんです。
顕著なのが、グレムセックのカテゴリーに加えられた、今年で開催2年目を迎えたカスタムバイクによるスプリントレースの欧州選手権「Sultans of Sprint(ソルタンス・オブ・スプリント)」です。参加車両が並べられたSultans of Sprintテントは色鮮やかに彩られ、そこでルーレットを使って対戦相手を決め、テントからレーストラックまでは仮装したクルーがライダーとマシンを先導し、バーンナウトにもひと工夫するチームもあります。
レースはガチンコだけど、負けたチームは勝ち残ったチームをサポートし、勝ち進めんだチームはそんな仲間でどんどん大きくなっていく。そして勝者を徹底的に祝福するのです。
それだけじゃありません。決勝が終わった夜はテントで盛大なパーティが開かれるのですが、そこでは「パーティ・モンスター」と呼ばれるダンスコンテストが行われ、参加する全チームが、代わる代わるステージ上でダンスを披露。その盛り上がり方でチャンピオンシップにポイントが加算されるのです。踊りが上手いヤツも下手なヤツも居るけど、関係なく踊りまくることで、パーティそのものが大いに盛り上がるのです。
そしてその場にはメーカーも国籍も関係なく多くの人たちが集まり、酒を酌み交わし、親睦を深め、情報を交換していく。そうやって、ムーブメントが動いていく。その現場が、ここにあるのです。
レースというコンテンツを加えることが欧州カスタム・イベントの定番となりつつあるのも、バイクを展示する“カスタム・ショー”よりも、明確にパッションがぶつかり合い、それによって生まれる化学反応が大きいからなのかもしれません。
もちろん僕も、たっぷりビールを飲みながら、この片隅に居らることを楽しみ、誇りに思うのでした。
それでは会場の様子を写真で一気にお見せします(写真をクリックしてください)。
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