2018年10月16日
Honda Super Cub C125 スーパーカブのようでスーパーカブでない!?
■試乗:高橋二朗 ■撮影:依田 麗/Honda
■問合せ:Hondaお客様相談センター TEL0120-086819
http://www.honda.co.jp/C125/
6月、ツインリンクもてぎのコレクションホールにて行われた取材会の模様を紹介(http://www.mr-bike.jp/?p=146563)した、生誕60周年の年に相応しいデビューとなったスーパーカブのC125。今回、公道で試乗する機会に恵まれた。日本のみならず、世界で販売される”スーパーカブのフラッグシップ”的モデルは各部の作りこみ、走り味などなど、車両価格以上のプレミアム感に包まれていた。
大きく見えるけど、十分に手のうちに収まるサイズ感
9月14日からデリバリーが始まったスーパーカブC125(以下C125)に乗ってきた。スーパーカブのようでスーパーカブでない。まず、そんな印象を受けた。
試乗・撮影車両をホンダの本社がある青山一丁目でお借りしてから走ること5分、青山墓地周辺でグロムやエイプに乗っているという方からいきなり声をかけられた。その後もC125は信号待ちなどで、クルマの運転手や歩行者からの視線を感じる。今や日本をはじめ世界のどの風景にも溶け込み、多くの人々の生活の一部となっている乗り物のはずなのに、この注目度は何? そういったところがスーパーカブのようでスーパーカブでない。
登場したばかりの目新しさもあるのだろうが、何故か目を惹く”スーパーカブのようなカタチをした乗り物”であるC125は、直線基調デザインに一新された2012年登場のいわゆるグローバル・カブ以上に、人々に対し鮮烈なイメージを放っているのかもしれない。これはフォルクスワーゲンのタイプ1やフィアットのチンクエチェントが時を経て現代に蘇った時のインパクトに似ているような気がする。C125は、その絶デザインが相当際立っているように思う。
C125のスタイルは初代スーパーカブC100をモチーフとしている。言うまでもないが、今やC100はカブの愛好家が集まるミーティングやミュージアムなどでしか見かけることはないが、そんな60年前のバイクのスタイルや機能がそのまま現代まで受け継がれているところがスーパーカブの凄いところ。C125はその生誕60周年の節目に相応しいデビューだと言える。
取材会では60年前に登場した初代C100と並べて撮影する機会があったが、初代はその開発責任者でもある本田宗一郎の「手のうちにはいるもの」いう言葉に相応しく、とてもコンパクト。よって、60年の時を経たC125はとても大きく見える。しかし、実際に跨ってみると、今の目からすると十分コンパクト。現代でも「手のうち」にあり、女性ユーザーでも不安はないはずだ。
125ccエンジンのスーパーカブに乗るのは今回が初めてだ。印象はとてもジェントル。同型エンジンを搭載するグロムやモンキー125などと似た、高回転まで引っ張って走る特性ではなく、自動遠心クラッチで走るC125にはマッチしていると感じた。アイドリングから太い音を発し、聞き慣れたスーパーカブの排気音ではない。高回転まで回した時のエンジン音はやや低めながら水平エンジン特有の音だ。
昨年、新型となったスーパーカブ50/110の洗練された仕上がりには驚かされたが、C125はもっと洗練されており、トルク型のエンジン特性と相まって、ゆったりと走りたくなる。いつも強い風が吹くことで有名な東京ゲートブリッジの上りをトップギアでも他の交通と遜色ない走りを見せるトルクフルさ。もちろん、エンジン回転を引っ張れば3速でも100キロ近くまで伸びそうな勢いを持っている。110に対しギアリングに大きな違いは無いので、単純に15ccの差が走りに表れているようだ。ちなみに同じ原付二種クラスに分類される110に対し、車両重量は11kg重い。タイヤサイズは前後共通だ(C125はチューブレス)。
また、ギアの入りがとてもいい。スーパーカブと言えばかつて、停車中にニュートラルに中々入らないことがあったが、トータル100キロちょっと走った中で、ギアが入らなかったのことは皆無。これまで、個人的に自動遠心クラッチはどちらかと言うと苦手な方で、スーパーカブに乗る際は身構えるような感覚があったがC125はとてもフレンドリーで優しく対応してくれる。今まで乗ったことのあるスーパーカブの中で最も扱いやすいと感じた。
シートも独特の感触が心地良く、乗り味は50や110のような軽快感に対し、全体的にドッシリとした落ち着いた印象。サスやホイールの違いでこれだけ印象が変わるのに驚かされた。シート高は50や110に対しやや高めに感じた。これまでのドラムとの違和感をなくすためだろうか? ブレーキはガツンと効くタイプではないが、握れば握るほどしっかり効くタイプだった。
冒頭でスーパーカブのようでスーパーカブでないと述べたが、乗った印象が1ランク、2ランクほど洗練されていながらも、各部の造りや思想は60年前に誕生した初代から受け継がれている。そしてそれぞれが最新技術やセッティングによって成り立っているものであり、やはりC125はその車名通りスーパーカブなんだなぁと感銘を受けた。生誕60周年に相応しい仕上がりだ。
(試乗:高橋二朗)
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