2018年8月30日

5年10年と続けたい! MotoGP 初のタイ大会開催へ

左からジラポーン・カーウサワットPTTオイル&リテールビジネス社 社長代行兼CEO、サンウィアン・ブーントー タイ国スポーツ庁 総裁代理、ポーンパヌ・サウェータルン タイ国観光スポーツ省 事務次官、坂東正明 GTアソシエイション代表取締役

 

「タイで初めて開催されるMotoGPの開催発表記者会見を、ここ日本で行なわれることを誇りに思います。日本はMotoGPに参戦するファクトリーチームを持っていますが、その3メーカーともタイに拠点を持っている。タイと日本は130年以上も友好関係がある国。日本と深い結びつきがあるMotoGPというレースを、この先5年、10年と続けていきたい」と言ったのは、タイ国の観光スポーツ省 ポーンパヌ・サウェータルン事務次官。

 今年2018年の10~7日、タイ・ブリラム省 チャーンサーキットで、日本、オーストラリア、マレーシアに続く4つ目のMotoGPレースが開催されます。タイは今、観光スポーツ省という部署がスポーツ産業の推進と発展を目指していて、その一環でMotoGPを招致した形。つまり、世界のオートバイレースのトップカテゴリーであるMotoGPをタイで開催するということは、タイをモータースポーツ都市として世界中にアピールできる、ということになるのです。

「タイ国スポーツ庁は、タイのモータースポーツをずっと支援してきました。これで、タイの若者たちがモータースポーツに興味を持って、好きになってくれる。ワールドクラスの選手の競技を目の前で見られることは、若者にとって将来のプロスポーツ選手を目指すときの大きな刺激になるでしょう。そういったスキルのある若者を選抜してプロジェクトに参加してもらい、夢に届くようにあと押しをしたい。もちろん、タイ国としては『スポーツ観光』という立場から、MotoGPのホスト国となることで、10億バーツ(=日本円で約34億円)以上の収入を得ることができるでしょう」とは、タイ国スポーツ庁のサンウィアン・ブーントー総裁代理。

 現在、タイ出身のMotoGPライダーといえば、Moto3クラスのナカリン・アティラプヴァト・22歳ひとり。けれど、MotoGPへ駆け上がる階段には、アジア選手権も、タレントカップもあります。アジア選手権では、アヌパブ・サムーンとか、ムクラダ・サラプーチ、IDEMITSUアジアタレントカップには、21人のレギュラーライダー中、3人がタイ人ライダー。アジア選手権にはSS600クラスに、日本でもおなじみデチャ・クライサルトもラタポン・ウィライローもいます。ここからアジア圏、マレーシアもタイも、ぐんぐん伸びてくるでしょう。

 そういえば、マレーシアがWGPのホスト国になったのが1991年のシャーアラムサーキット、それからジョホールサーキットを経て、99年からセパンインターナショナルサーキットでWGPが開催されるようになりました。この辺からですよね、日本やオーストラリア以外のアジア圏で輪のモータースポーツに火がついたのは。セパン初開催から、来年で20年。タイは、すでにモータースポーツ以外のオートバイ熱という点では圧倒的。きっと、マレーシアよりもっと早く、チャーン・サーキットのスタンドは満杯になることでしょう。

 ちなみにチャーンサーキットのアクセスは、お世辞にもまだいいとは言えなくて「成田からバンコクまで6~7時間、バンコクからサーキットまでは車で5時間くらいです。バンコクから少し離れたところにある国内線の飛行場もあって、国内線で行くとブリラムまで1時間半くらい。ただ、便数がまだ少なくて、選手権に出たときにはクルマ移動でした。一般道でも巡航速度がかなり高いので5時間くらい、これがバンコクの日中やお祭りにぶつかるとまったく動きません。曲がるところは3回くらいなんだけどね」とは、アジア選手権に出場経験のある、あるチーム関係者です。

 これから、国内線の便数も増え、バンコク~ブリラム間もどんどん街ができていくんでしょう。タイのメインの観光地と言えば、バンコク、チェンマイ、パタヤやプーケット。そのあとにブリラムが続く時が来るかもしれません。MotoGP観戦を組み込んだタイ旅行なんてプラン、きっとすぐに発売されるようになるでしょう。それがタイが理想とする「スポーツ観光」なのです。

 さぁ初開催のMotoGPタイグランプリ、勝つのは誰だ? ちょっと気が早いけど、その頃チャンピオンが決まっていてもおかしくないタイミングなんですよね……。

(レポート&撮影:中村浩史)