2018年8月30日
第61湯:青森三半島湯巡りツーリング(其の一)
5月末から始まった怒涛のアームズマガジン本誌と別冊の進行は7月に入ってピークを迎えた。気が付けば1週間のうち2日しか自宅に帰れず、編集部近くの銭湯の常連になってしまいそうな勢いだった。しかし、そんな進行も7月18日には決着が付き、次号の進行が始まる前までの1週間ほどぽっかりと空いてしまった。こんな時は1年に1回、いや数年に1回あるかないか。こんな時こそ大遠征をする時だ。候補として挙がったのは北海道、山陰・山陽地方、そして青森県の津軽半島と下北半島だ。当初は北海道が最有力候補だったが、コストを計算していくうちに候補から脱落。次に山陰・山陽地方は、直前に発生した西日本豪雨の影響を考えると厳しいと判断して断念。最終的に残ったのは青森県の津軽半島と下北半島だった。
実は、津軽半島と下北半島は以前から行ってみたかったところで、ジェベル250XCに乗っていた時は、より走行性能のいいマシンに乗り換えたら絶対に行ってみようと思っていた。しかし、陸路しか移動手段はなく(いったん北海道に渡ってからフェリーで向かうという方法はあるが、あまり現実的ではない)、季節も限られており、グルッと巡るにはまとまった時間が必要だ。しかし、季節は夏で、5日間ほど時間が確保でき、予算の範囲内で行ける。おまけに相棒は長距離でも快適なホンダの400Xだ。これですべてのカードが揃った。ついに難攻不落の(?)津軽半島、下北半島を攻略できる時が来た。
あとはどのルートで巡っていくかだ。秋田県から入って時計回りに津軽半島から下北半島を巡るか、青森県八戸市から入って下北半島から津軽半島を巡るか。あるいは津軽半島だけ巡るか、下北半島だけ巡るか…。いろいろ考えた結果、1日目は下北半島の入口である三沢市で宿泊、2日目は下北半島を太平洋沿いに進んで大間町で宿泊、3日目は大間町から津軽海峡沿いに進んでむつ市を通って青森市内で宿泊、4日目は津軽半島を巡り、5日目の夜に東京に戻るルートにした。各地の宿泊先は成り行きだが、最低でもキャンプを2回することにした。
前日までに仕事を片づけて7月19日に作戦が決行された。午前4時30分に自宅を出発。長距離遠征の朝は早い。夜明けとともに首都高から東北自動車道に進み、佐野SAで一服。朝ラーと称して「佐野ラーメン」を久々に食べる。栃木県から福島県に入るが、青森はまだまだ遠い。宮城県を過ぎて岩手県に入り、ようやく青森県が射程圏内に入った。滝沢PAで早めの昼食。選んだのは青森県に近づいたことを示す「ガーリック牛バラ焼き定食」。ここから1時間ほどで青森県に入る。東北自動車道から八戸自動車道に進み、南郷インターに到着したのは午後1時ちょうど。なんだかんだで8時間かかった。やっぱり青森県は遠かった。
ここからは八戸市を通過して三沢市へと向かう。国道340号線から八戸市内に入り、国道45号線を進んで太平洋岸沿いにある国道338号線をひたすら北上する。2時間ほど走ったところで三沢市に入った。今夜は小川原(おがわら)湖畔にあるキャンプ場(小川原湖半キャンプ場)にビバークする予定だが、キャンプインするには時間があるので、三沢市内にある温泉に入ることにした。市内にいくつかある温泉の中で三沢駅から近い古牧温泉「元湯」を選んだ。
古牧温泉「元湯」は星野リゾートが運営するリゾート施設「青森屋」の敷地内の入口(駅側)にある日帰り入浴可能な入浴施設だ。入湯料は450円。建物は風情を感じる和風作りで、もともとあった入浴施設(共同浴場)の岩風呂はそのままに、館内をリノベーションしたようだ。新旧一体の雰囲気が漂う。星野リゾートらしくリゾート感溢れる作りで、非常に心地よく過せる。適温のお湯は無色透明で、かなりのヌルスベ感。内湯のみだが広々としており、ゆったり入れる。朝から走りっぱなしの身体が癒される。湯巡り第1湯目としては最高だった。
元湯を出て、キャンプ場に向かう前に気になるものを発見してしまった。三沢市と言えば航空自衛隊とアメリカ空軍の三沢飛行場があることで有名だが、それに隣接して「青森県立三沢航空科学館」がある。普段は博物館とかあまり立ち寄ることはないが、閉館まで時間があるので行ってみることにした。常設展示場と零戦が展示されているコーナーが見学できる920円のチケットを購入。広々とした館内には各種航空機と、航空科学館格納庫には映画「山本五十六」で使用した零戦21型と、十和田湖から引き揚げられた旧日本陸軍一式双発高等練習機が展示されている。屋外の「大空ひろば」にはF-16AやF-104Jなどが展示され、なかなか見ごたえがある。
「青森県立三沢航空科学館」を楽しんだところで、ここから数キロのところにある小川原湖半キャンプ場に向かった。現地に到着すると、なにやら賑わっており、こんなに宿泊者がいるのかと思ったら、海水浴ならぬ湖水浴に来ている方たちだった。あとでわかったが、実際にキャンプする方たちは私を含めて数組だった。湖水浴のシーズンということもあって午後6時30分から午前8時00分まではゲートが閉まり、それ以降はテントサイトに車やバイクを乗り入れることはできないという。ちょっと面倒臭いが、ここまで来て泊まらないわけにはいかないので、受付を済ませて湖畔沿いにテントを張った。料金は550円。時間は午後5時を過ぎていたが、食料の買い出しと温泉に入りたかったので、午後6時30分までに戻ることを諦めて出かけることにした。
キャンプ場を出て三沢市内に少し戻り、途中道に迷いながら見つけたのが「太郎温泉」だった。「太郎温泉」は三沢市深谷にある日帰り入浴施設だ。施設内を見ると番台の跡があるなど、青森版の銭湯みたいな作りだ。入湯料は250円。更衣室、浴室ともに広々としており、内湯のみで、低温浴槽(40℃)と高温浴槽(42℃)に分かれており、低温浴槽に入ったが想像以上に熱い。高温浴槽はさらに熱めだった。長湯するには気合いがいる。お湯はやや茶褐色で、湯量は豊富。夕方ということもあり、地元の方が大勢訪れていた。
太郎温泉を出て、スーパーで買い出ししようかと思ったが廃業していて、結局コンビニで食料を調達した。
キャンプ場に戻る途中で、キャンプ場の間近に「三沢市市民の森温泉浴場」内に日帰り入浴できるところがあることを発見。おそらくキャンプ場から徒歩で行けると思ってキャンプ場の管理人に聞いたところ、テントサイトから森を抜けて徒歩数分で行けるとのこと。早速、夕食を摂る前に入りにいくことにした。「三沢市市民の森温泉浴場」はキャンプ場の隣にある市民の森内にある日帰り入浴施設だ。入湯料は160円(市民の方は110円)。浴室はそれほど広くはないが、ここも内湯のみで低温浴槽と高温浴槽に分かれているが、どちらも熱め。お湯は無色透明で優しい肌触り。湯上り後、汗を拭いながらふと気づいたのだが、先ほどの太郎温泉もここもエアコンが入っていない。確かに酷暑の東京に比べれば涼しい。青森に来たんだなとあらためて実感した。
テントサイトに戻り夕食を摂る。湖畔から吹き付ける風が強く、さらにポツポツと雨が降ってきた。時折ジェット機の甲高い離着陸音が響き、間近に基地があることを感じさせる。初日からいきなり雨に見舞われるとは私らしいが、朝には止むみたいなので、それを信じてその日は早めに寝た。翌朝、雲は流れているが雨、風ともに止んでくれた。あらためてキャンプ場を見渡すと、湖畔沿いにテントサイトが並び、湖畔を眺めながらキャンプできる。キャンプ場内の道を隔てて湖畔沿いと森沿いにテントサイトが設けられている。バイクはテントサイトまで乗り入れることができる。
ゲートが開いたのを見計らって駐車場からバイクをテントサイトまで乗り入れ、装備を積んで出撃準備。午前8時30分にキャンプ場を出発。2日目は国道338号線を北上して原子力発電所がある六ヶ所村を通過し、尻屋崎灯台、恐山、そしてマグロで有名な大間町に向かう予定だ。行くぜ下北半島、そして本州最北端!
●ブースカ的独断温泉評価(5段階評価)
古牧温泉「元湯」
★★★★★
良質なお湯と上品な館内はなかなかの出来栄え。
太郎温泉
★★★★★
地元の方で溢れる青森版の銭湯が体感できる。
三沢市市民の森温泉浴場
★★★★★
青森の温泉がリーズナブルに楽しめる。
※あくまで個人的な評価ですので、ご参考までに。
毛野ブースカ
[第60回へ][第61回][第62回]
[湯めぐりみしゅら〜んバックナンバー目次へ](※PC版に移動します)
[バックナンバー目次へ](※PC版に移動します)