2018年10月24日
市販製品特別走行に登場した60台を一挙紹介! ホンダコレクションホール20周年記念イベント開催(その6)
2018年7月16日(月曜日・海の日)に、栃木県にあるツインリンクもてぎの南コースで「ホンダコレクションホール開館20周年記念 市販製品特別走行」が開催された。もてぎの敷地内にあるホンダコレクションホールには、数多くのレーシングマシンや2輪&4輪の市販車、さらには汎用機器などがコレクションされている。今回は、その開館20周年を記念して、ホンダ創業期から2010年代までの70年間の歩みを代表する所蔵車両60台を、実際に動いている姿で一般に公開した。
特別走行が終了した後は会場を移して、この日の特別走行を振り返るスペシャルトークショーが、ホンダコレクションホール オリエンテーション室で開催された。ゲストドライバー&ライダーが、それぞれの車両に対する思い出と、この日の走行を振り返り、最後には4選手のサイン入り色紙がプレゼントされるじゃんけん大会も行われた。
また、このイベントはなんともう1回開催予定だ(走行車両は同一の予定)。次の開催は、2018年9月24日(月曜日・秋分の日の振替休日)の10時〜16時。雨天の場合は翌日の9月25日に順延予定となっている。今回見逃したあなた、ぜひ9月のイベントに出かけてみては。
■文:青山義明
■撮影:富樫秀明・青山義明
■取材協力:ホンダコレクションホール https://www.honda.co.jp/collection-hall/
2ストロークマシンに4ストロークで勝つために、楕円ピストンエンジン搭載のNR500を世界GPへホンダが投入したのは1979年のこと。それから時は流れ「開発した技術を市販車に活かす」という目的を具現化したのが1992年に300台限定、520万円で発売されたこのNRである。楕円ピストンエンジンはもちろん、カーボン製カウルや蛍光成分入りの特殊塗装なども奢られた一台となった。
オーバー750ccクラスへの憧れを持ったユーザーが増えビッグバイクの人気が高まっていた1990年代初頭、「PROJECT BIG-1コンセプト」に基づいて開発され、CBシリーズのフラッグシップモデルとして投入されたのがこのCB1000 スーパーフォア。丸型断面鋼管ダブルクレードルフレームに大容量23リットルのガソリンタンク、そして幅広のハンドルと車体は大きいものの、スイングアームなど要所でアルミ素材を使用するなどして、運動性能は高く軽快感も持ち合わせている。搭載する水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブエンジンは、中低回転域での特性を重視したものとなっている。
世界最高性能のスーパースポーツを具現化するということで登場したCBRシリーズのフラッグシップ。当時世界最速(3,530km/h)の航空機であるアメリカ空軍の偵察機「SR-71」の愛称「ブラックバード」に因み、それを超えるという意味で「スーパーブラックバード」というペットネームが与えられた。高出力で軽量コンパクト、そして低振動化を図り、1137cc4気筒DOHCエンジンにシリンダー一体クランクケース、ストレートポート、2軸2次バランサーなどが採用されている。
GL1500からのフルモデルチェンジで、排気量を1832ccへ拡大し、他にも前後輪の重量バランスを最適化するなどしてホンダ最高峰の大型スポーツツアラーとして正常進化を遂げたモデル。豪華装備もますます充実し、ディスチャージヘッドライト、電動式リバースギア、間欠機能付き電動ワイパー、盗難抑止システムH・I・S・Sを標準装備。さらに2007年には世界初のオートバイ用エアバッグを設定した車両も発売している。
2004年にホンダの米国法人から発売され、日本未導入(TV番組「仮面ライダー響鬼(ひびき)」では劇中に登場している)のワルキューレ ルーン。ゴールドウイングGL1800と共通の1832cc水平対向6気筒OHCエンジンを搭載しつつも、全く異なる流麗なロー&ロングなスタイリングを持つ。その実現のため車体側にリアクッションの取り付け部を持たないユニットプロリンクを量産車として初めて採用している。
ロー&モダンなオーガニックフォルムを持つオートマチック スポーツクルーザーとして誕生。690mmの低シート高と大きなステップボードを持ち、快適なクルーズのため採用されたトランスミッションはロックアップ機構付油圧機械式無段変速機HFT(Human Friendly Transmisson)は従来にはないダイレクト感とスロットルレスポンスを実現し、走行モードは、一般走行「D」、スポーツ走行「S」、そして「6速マニュアルモード」が設定されていた。
2013年・2014年シーズンのMotoGPで2連覇を達成したマシンRC213Vを一般公道で走行ができるようにしたのが、このRC213V-S。一般公道走行可能とするため、ヘッドライトなどの保安部品の取り付け、エンジンのメンテナンス性の観点からニューマチックバルブをコイルスプリング式へ変更、シームレストランスミッションをコンベンショナル方式に変更、とMotoGPマシンとの差異は最低限としている。車両価格2190万円というのも当時大きな話題になった。
新しいコンセプトの乗用車感覚ミニバンとして登場したオデッセイ。ヒンジの4枚ドアに3列シートというレイアウトで、センターウォークスルーやフラットフロアなど、ワンボックス・カーのような広い居住空間を持ちながらも、セダンの乗降性や走行性能を合わせ持つモデル。低ルーフ・ミニバン・ブームの火付け役となった一台。搭載されるエンジンは、高出力・高トルクの2.2リッター・OHC16バルブエンジン。
NSX Type Rに続くタイプR第2弾として誕生したのがこのインテグラ・タイプR。ホンダのレーシングテクロジーを盛り込み、テストコースやサーキットを舞台とした過酷な走行テストによって限界性能を磨き上げた一台。これにより、エンジンは許容回転数8400rpm時においてF-1を上回る24.4m/秒というピストンスピードと、リッター当たり111馬力という自然吸気エンジンで世界最高峰のハイパワーを実現。ほかにもハードなサスペンションセッティングやクイックなステアリングギアレシオ、さらに徹底した軽量化などのチューニングが施されている。
1990年代半ば、ホンダが提唱していたクリエイティブ・ムーバー(生活創造車)シリーズの、オデッセイ、CR-Vに続く第3弾として登場したのがステップワゴン。家族全員の使い勝手を追求し、5ナンバークラス最大級の室内空間を確保。エンジンは軽量・コンパクトで実用域の性能を重視した2リッター・DOHCエンジンを搭載した。デュアルエアコンや電動ダブルサンルーフ、回転対座シートを設定。「こどもといっしょにどこいこう」の キャッチコピーが有名。
ホンダ第一期F1のカラーリングをモチーフにした「チャンピオンシップホワイト」の車体色と、赤い「Hマーク・エンブレム」というType Rシリーズの象徴を身にまとったシビックが登場した。このタイプR第3弾は6代目シビックをベースに、1.6リッター・DOHC VTECエンジンの吸排気系を徹底してチューニングし、自然吸気エンジン世界最高峰のリッター当たり116馬力を達成。ほかにも徹底した軽量化、専用チューニングを施されたサスペンション、ブレーキローターサイズアップ等、これまでのタイプR同様に走りに対するこだわりを持った一台であった。
「走る楽しさ」と「操る喜び」を具現化した2シーターオープンスポーツカーで、S800以来、ホンダにとっては29年ぶりの登場となるFR車。高いボディ剛性と世界最高水準の衝突安全性を備えた新開発のボディ骨格構造「ハイXボーンフレーム」に、最高出力250馬力、最大許容回転数9000rpmを発揮するF20C型2リッター4気筒自然吸気DOHC・VTECエンジンを前輪よりも後方に配置し、50:50という前後重量配分を実現した。
前モデルのインテグラと違い、このモデルのタイプRはベース車両と同時に開発され、登場と同時に設定されている。スポーティクーペとしての走りは徹底的に追求され、エンジンは吸排気系、回転系パーツをすべて専用とし、インテークからエキゾーストまで徹底的に高回転化を追求。その結果、スタンダードモデルに対し60馬力アップの220馬力を実現した。そして前モデル同様世界最速FFと評価された。
スモールカーの新たなベンチマークを目指し、個々の要求すべてに一台で最大限に応える「パーソナルMAX の具現化」をコンセプトに開発されたフィット。燃料タンクを車体中央に配したセンタータンクレイアウトでこれまでにない低床ビッグキャビンや多彩なシートアレンジを実現するなど使い勝手も良好。ツインプラグによる2点位相差点火制御システムを採用した1.3リッター・i-DSIエンジンを搭載し、新世代CVT「ホンダマルチ マチックS」との組み合わせにより、23km/Lという圧倒的な低燃費と、低速からの力強い走りを可能にした。
1990年に登場したNSXの集大成モデルとして登場したのがこのNSX-R。タイプRと同様の変更となるのだが、マイナーチェンジ前のNSXタイプRとは異なり、NSX-Rという名称で登場した。カーボン素材(CFRP)を用いて軽量化がさらに進められ、初代タイプRでは手を付けられていなかった空力性能の向上も図られている。前後ダウンフォースによって、高速走行時の挙動安定性と限界性能を高め、中低速では旋回性を向上させるシャシーセッティングを施したため、全速度域において、操縦性の質が大きく向上した。
内燃機関エンジンの代わりに燃料電池(FUEL CELL)スタックといわれる発電機を搭載した電気自動車。タンクに充填した水素と大気中にある酸素の化学反応で作り出される電気でモーターを回すため、走行中に発生するのは水だけで排気ガスは全く出ないという、環境にやさしい車両である。この日、会場のホスピタリティーエリアで終日動いていたミスト扇風機の電源はすべてこのクラリティから供給されており、水素満タン状態で一般家庭の約7日分の電力を供給することが出来るという。