2018年9月13日
市販製品特別走行に登場した60台を一挙紹介! ホンダコレクションホール20周年記念イベント開催(その4)
2018年7月16日(月曜日・海の日)に、栃木県にあるツインリンクもてぎの南コースで「ホンダコレクションホール開館20周年記念 市販製品特別走行」が開催された。もてぎの敷地内にあるホンダコレクションホールには、数多くのレーシングマシンや2輪&4輪の市販車、さらには汎用機器などがコレクションされている。今回は、その開館20周年を記念して、ホンダ創業期から2010年代までの70年間の歩みを代表する所蔵車両60台を、実際に動いている姿で一般に公開した。
このイベントでは、今回は特別走行ということで、長年ホンダで活躍してきているゲストライダー&ドライバー4選手(伊藤真一選手、高橋裕紀選手、道上龍選手、小暮卓史選手)も搭乗したが、やはり、この動態保存イベントでおなじみの宮城光さん(元Hondaワークスライダー/ホンダコレクションホールレース車両走行テスト担当)は欠かせない。
この日は他のイベントとバッティングしていた宮城さん、そのイベントの合間を縫ってお昼休憩の時間に特別走行枠として参加。約60台の今回の車両の中から宮城さんが個人的に思い入れのある5台(ホンダA型、CB750F、CBX400F、VFR750R、バラードスポーツCR-X)をピックアップし、それぞれを来場者に解説しながら実際に試乗していた。
■文:青山義明
■撮影:富樫秀明・青山義明
■取材協力:ホンダコレクションホール https://www.honda.co.jp/collection-hall/
1975年の免許制度改正により大型二輪免許取得が厳しくなったこともあって中型400ccクラスへの注目が高まっていた1970年代後半、各社が400クラスのモデルを投入してきている中、満を持してホンダが投入したのが、CBX400F。フロントフォークのTRAC機構、プロリンクサスペンション等を搭載し、ライバルを上回る48psを発揮する新開発エンジンもあって、一気に人気モデルとなった。1983年に後継機種のCBR400Fが登場したことでいったん生産は終了したものの、市場の強い要望により再生産が行われた。
世界初となる水冷90度V型2気筒DOHC8バルブエンジンは、スポーツ車として求められる、高出力でスリムという特徴を併せ持つエンジンであった。プロリンクリアサス、インボード・ベンチレーテッドディスクブレーキなどの先鋭メカニズムも搭載し、扱いやすさとその性能の高さもあって、ビギナーからベテランまで、男女を問わず幅広い層に支持され、ロードモデル月間販売台数記録を更新するヒット商品となった。
市販車を改造したマシンでレースを楽しむプロダクションレースが盛んになっていた1970年代後半、CB900Fで苦戦を強いられていたホンダが投入したのが、このCB1100Rである。3年間、それぞれホモロゲーションを取得するため、少量のみ生産されているため希少価値は高い。今回走行をしたモデルは1983年に製造されたCB1100RDと呼ばれるCB1100Rの最終モデル。
「1980年代を迎えるにあたって、これからの新技術の先がけとなり核ともなる技術をモノにしよう」という機運の中で開発されたのが「ターボ過給技術」であり、実際にその技術を投入したのがCX500ターボである。1982年に発売されたが、その翌年、排気量をアップし、出力と低・中速回転域でのトルクを向上させた輸出用モデルがこのCX650ターボである。ターボだけではなく、当時最先端のフューエルインジェクションや、アンチノーズダイブサスペンション、プロリンク式リアサスペンションなどの先進技術が惜しみなく投入された車両であった。
S800以来となる小型スポーツカー、バラードスポーツCR-X。H.P ALLOY(エッチピー アロイ)と呼ばれるプラスチック素材をフロントフェンダーとドア外板に採用し、車体重量は約800kgに抑えたFFライトウェイトスポーツ。短いホイールベースと相まってクイックなハンドリングの一台に仕上がっている。搭載するのは、1.5リットル(PGM-FI仕様)と、1.3リットル(キャブレター仕様)の2種類のエンジン(翌1984年にDOHCの1.6リットルを追加)。走行車両はルーフベンチレーションを持つ1.5Lエンジン搭載の1.5iである
当時平均年齢27歳の若い技術者たちによって創り出されたシティは「クルマを運転する楽しさを若者にも知ってもらおう!」というコンセプトで、1981年に登場したモデル。そのシティのカブリオレ・モデルは、ホンダにとってSシリーズ以来となるオープンカーで、ホンダ初のフルオープン4シーターモデルとして誕生した。その開発にあたっては、フェラーリなどのデザインで有名なイタリアのピニンファリーナ社の技術的協力を受けている。
1974年から一時撤退していた軽乗用車市場にホンダが約 11年ぶりに再挑戦したのが、このトゥディ。 マン・マキシマム、メカ・ミニマム思想に基づき、シリンダーをほぼ水平近くに傾斜させ、その下にデフギヤをレイアウトすることでエンジン・スペースを最小限にしている。 さらにタイヤをボディ四隅に配置することで2330mmの超ロングホイールベースを実現した。これにより、ゆったりとした室内空間と優れた高速安定性を兼ね備えたモデルとなった。