2018年10月29日
青春のQ・4(Quarter・4気筒)カタログ その3 RR・前編
レプリカ世代のトップバッター
そもそもQ4には元になるレーサー自体が存在せず、厳密にいえばレーサーのレプリカは存在しないのだが、バイクブームの中心は猫も杓子もレーサーレプリカスタイルとなっており、Q4も例外ではなかった。
1986年の12月、ヤマハは先陣を切ってQ4モデルでレーサーレプリカスタイルのFZR250を投入した。前傾45度の水冷エンジンやフレームは、基本的にFZ250フェーザーがベースだが、外装はワークスレーサーYZF750をイメージしたフルカウルスタイルに一新。デュアルヘッドライトのフルカウルには、新たにF.A.I(フレッシュ・エア・インテーク)が追加され、シングルシート風のテールカウル、前後17インチホイール、4ポッドピストンキャリパーなど最新装備を採用した。
続いて1987年3月にはスズキが、4ストレーサーレプリカの元祖的な存在GSX-Rシリーズの末弟としてGSX-R250を投入した。
ホンダもCBR250FOURにエアロフォルムのフルカウルを装着してCBR250Rへとモデルチェンジを行ったが、これは、当時ホンダが直4モデルで推進していたレプリカとは異なる人車一体のエアロフォルム思想のハリケーンシリーズの一員であった。しかし、圧倒的なレーサーレプリカブームの中、1988年CBRもデュアルヘッドライト、シングルシート風カウルのレーサースタイルへとフルモデルチェンジし、Q4もレーサーレプリカ全盛の時代を迎える。
Q4レプリカ第一弾登場
1986年12月
YAMAHA FZR250(2KR)
YAMAHA FZR250(2KR)
5月に発売されたFZR400、9月のケルンショーで発表されたFZR1000に続いて発売されたFZRシリーズのQ4モデル。FZ250フェーザーの45度前傾エンジンをベースに中高速域のパワーフィーリングを向上させ、エンジン幅も30mmダウン。フレームはFZ250フェーザー同様の角型断面高張力ワイドフレームだが、2ストレプリカTZR250系の17インチの中空3本スポークホイール、モノクロスサス、4ポッドブレーキキャリパーなどを組み合わせ、ワークスレーサーYZF750イメージのF.A.Iやデュアルヘッドライトのフルカウル、シートカウルで本格的なレーサーレプリカスタイルとなった。翌年7月にサテンメッキマフラー、イニシャル調整式フロントフォーク付きの限定車が発売されたようだが、プレスリリースも公式写真も存在しないため詳細は不明。
排気デバイスのEXUPを装備
1988年4月
YAMAHA FZR250(3HX1)
YAMAHA FZR250(3HX1)
全域にわたりトルクフルな応答性を実現した排気デバイスのEXUP(Exhaust Ultimate Power Valve)を装着してモデルチェンジ。マフラーはEXUPの刻印が入ったオーバルスタイルのサイレンサーで外観的にも特徴的。モノクロス式のリアサスは、新設計のボトムリンク式になりストロークが10mmアップ。ハンドルのグリップエンドも黒からサテン処理に変更され、ステップ位置は6mmアップなど細部も改良された。8月には新色のシルキーホワイト×ダイナスティブルーが追加され3色のラインアップとなった。また7月には、鈴鹿8時間耐久レースで、トニー・シャープレスとキャサリン・コバーンの女性ライダーペアで話題となったネスカフェアメリカーナイメージカラーと、絶大な人気を誇ったTECH21カラーの限定車も発売された(共に限定台数や価格は不明)。
完全新設計の本格的レーサーレプリカ
1987年3月
SUZUKI GSX-R250(GJ72A)
SUZUKI GSX-R250(GJ72A)
エンジンはGF系がベースではなく、新設計の超ショートストロークでシリンダーヘッドに2つのドームを設けたニューTSCCを採用。GFに比べクランクシャフト、ピストンなどが軽量化され、高回転化に対応している。マフラーも新設計のSPES(Suzuki Powerup Exhaust System)で、全域で広いパワーバンドを確保。スタイリングはGSX-Rシリーズの上位モデルのイメージを踏襲し、デュアルヘッドライトは耐久レーサーをイメージしたイエローバルブが採用された。車体色はレッドブルーツートン、ブルーホワイトツートン。アンダーカウルのないハーフフェアリング仕様(レッドブルーツートンのみ 519000円)もラインアップされた。5月に単色のブラックが追加され、6月にはクロスミッションを装備したスポーツプロダクション仕様のGSX-R250SP(ブルー×ホワイトツートン 559000円)も発売された。
スタイルを小変更
1988年1月
SUZUKI GSX-R250(GJ72A)
SUZUKI GSX-R250(GJ72A)
フロントとリアのウインカーを埋め込みタイプ、バックミラーは砲弾型に変更されよりスタイリッシュに。車体色はブラックとレッドブラックツートン。3月下旬にワークスカラーイメージのブルーホワイトツートンが追加された。スポーツプロダクション仕様(ブルー・ホワイトツートンのみ)は2月下旬にラインアップ。5月にはレッドホワイトツートンと金文字のブラックが追加された。ハーフフェアリング仕様は設定されなかった。主要諸元、価格は変更なし。
最終型は足着き性が向上
1989年7月
SUZUKI GSX-R250(GJ72A)
SUZUKI GSX-R250(GJ72A)
1989年モデルは、足着き性を向上させた新形状シート(シート高は4mm減)や荷掛けフックの増設などにより使い勝手の向上と、アルミカバー付きのサイレンサー、小型化されたウインカー、シックなグラフィックでモデルチェンジ。車体色はブラックベースで、ホイール色、グラフィックラインカラーが異なるプラシャンブルーメタリックとパールノベルティブラック。価格は520000円に引き下げられた。GSX-R250はこれが最終型となった。
CBRもフルカウルのRに進化
1987年3月
HONDA CBR250R(MC17)
HONDA CBR250R(MC17)
フルカウル、シングルシート風のテールカウルにリアディスクブレーキの追加でモデルチェンジ。キャブの変更などでレッドゾーンは18000rpmからとさらに高回転に。車体にはCBR750、400と同様にHurricaneのロゴが描かれたが、車名にはハリケーンがつかない。8月に新色のロスホワイト×ブラック×ファイティングレッドが追加された。
デュアルヘッドライトでモデルチェンジ
1988年5月
HONDA CBR250R(MC19)
HONDA CBR250R(MC19)
デュアルヘッドライト、デュアルテールランプでレーシーな雰囲気を濃厚にした新デザインにモデルチェンジ。エンジンはCBR250FOUR系がベースだが、フリクションロスの低減やキャブレターのサイズアップ、ミッションの改良などのほか、フロントフォーク、スイングアーム、チェーン、ブレーキパッドなど足周りも大幅にリファインされた。7月に新色のパールクリスタルホワイト×セイシェルナイトブルーを追加し3色のラインアップに。
グラフィックを一新
1989年2月
HONDA CBR250R(MC19)
HONDA CBR250R(MC19)
車体色をパールクリスタルホワイト×ファイティングレッド×テラブルー、グラニットブルーメタリック×ブリッツグレーメタリッック×ミディアムグレーメタリックにグラフィック、パールクリスタルホワイト×テラブルー×セーシェルナイトブルーに変更。主要諸元、価格は変更なし。
[青春のQ4 その1 その2 躍進編|その3 RR・前編|その4 RR・後編]