2018年8月15日
市販製品特別走行に登場した60台を一挙紹介! ホンダコレクションホール20周年記念イベント開催(その2)
2018年7月16日(月曜日・海の日)に、栃木県にあるツインリンクもてぎの南コースで「ホンダコレクションホール開館20周年記念 市販製品特別走行」が開催された。もてぎの敷地内にあるホンダコレクションホールには、数多くのレーシングマシンや2輪&4輪の市販車、さらには汎用機器などがコレクションされている。今回は、その開館20周年を記念して、ホンダ創業期から2010年代までの70年間の歩みを代表する所蔵車両60台を、実際に動いている姿で一般に公開した。
このデモンストレーションには、特別走行ということで、元Hondaワークスライダーで、今年の鈴鹿8耐には桜井ホンダから参戦したレジェンド、伊藤真一選手。そして、現在「MORIWAKI MOTUL RACING」より全日本ロードレース選手権JSB1000クラス参戦中の高橋裕紀選手。現在「Modulo Drago CORSE」のチーム代表であり、ドライバーとしてSUPER GT GT300クラスに参戦する道上龍選手。「KEIHIN REAL RACING」よりSUPER GT500クラスへ参戦中の小暮卓史選手の4選手がゲストライダー&ドライバーとして搭乗。また、MCは国内主要レースで実況を担当するピエール北川さん。絶妙なあおりで会場も大いに盛り上がった。
■文:青山義明
■撮影:富樫秀明・青山義明
■取材協力:ホンダコレクションホール https://www.honda.co.jp/collection-hall/
1950年代後半になり、高度経済成長期の日本では高性能スポーツモデルの登場を望む声も増えてきた。これに応える形でスポーツモデルを世に送り出してきたホンダが、250ccの市販レーサーをベースに、国産同クラス最速となる最高時速155kmというハイパワーモデルを登場させた。そのキャッチフレーズは「トップギアで時速70km以下では走れません」という刺激的なものだった。当時まだ珍しいセル始動ができたり、レース用のキットも用意されるなどバイク好きの心をくすぐるものだった。
ホンダがかつて展開したテックランド(生駒・朝霞・多摩)の一つ、多摩テック(東京都日野市・2009年閉園)で、スーパーカブ譲りのパワーユニットを搭載した子供用アトラクションとして製作された、いわゆる遊園地の乗り物。1962年の東京モーターショーに出品され、1964年のモデルチェンジ版では公道走行対応したCZ100が輸出販売開始、そして日本国内向け仕様モデルはZ50Mモンキーとして登場。2017年には50周年を迎えるほど、長年愛され続けているモデルとなった。
クラス初のOHCエンジンを採用し、最高時速100kmという高性能を発揮する90ccモデル。他社からも90ccのスポーツモデルが一斉に発売されるなど、1960年代初頭の中間排気量90ccスポーツ車ブームを巻き起こすきっかけとなった一台。リアフェンダーとメインフレームを分離したTボーンフレームと、18インチ大径ホイールを採用し、ホンダの二輪車で初めてGマーク(Good Design) 商品に選ばれたモデルでもある。
世界の二輪車の中心市場は500cc〜650ccクラスの大型車だったが、そこへより小さな排気量のエンジンで大型車並みの性能を出すことを狙いとし、真の世界一を目指し開発されたドリームCB450。トーションバーバルブスプリングやCV型キャブレターを採用し、オンロードスーパースポーツとしては量産市販車で世界初のDOHCエンジンを搭載。その2気筒450ccのエンジンは、ライバルの大型車の性能を凌ぐ43psを発揮し、最高時速180kmをマークした。
初代スーパーカブC100の登場から8年、フルモデルチェンジを受けたスーパーカブC50は、走行速度、静粛性等々、時代の要望に応えるべく初代C100のOHVエンジンに対し、より静かで出力向上も見込めるOHCエンジンに変更して搭載。灯火類を大型化し視認性も向上。スイッチ類も手元側に移して安全性や操作性に配慮したモデルへと生まれ変わった。
北米市場でCB450が一部にしか受け入れられなかったことから、ホンダは大排気量車両を投入することを計画。そして作り上げられたのが、このCB750FOUR。1968年の東京モーターショーで発表。アメリカ人の体型に合わせた大きな車体に、量産車としては世界初の空冷4ストローク・4気筒工ンジンを搭載(最高出力67馬力、最高時速200kmを発揮)。アメリカでも絶賛され、日米で爆発的なヒットを記録し、「ナナハン」という言葉まで生み出すこととなった。
空冷エンジンに最後までこだわってできあがったこのクルマは、世界でも例を見ないDDAC(Duo Dyna Air Cooling)一体構造二重壁空冷式エンジンは、水冷エンジン並みの冷却効率と匹敵する静粛性を備えており、1.3Lという排気量からは想像できないほどの出力を発揮したモデルであった。センター部分が大きく張り出した2分割グリルのイーグルマスクが特徴的で、インテリアでも、メーターやスイッチなどがドライバーに向けて立体的にレイアウトされたフライトコクピット等、デザインも魅力的なモデルであった。
スポーツカーとトラックからスタートした4輪メーカーのホンダが、次に目を向けたのが一般大衆向けの乗用車だ。そして登場したのがこのN360である。この当時から「大人4人が楽に座れる空間を先につくっちまえ。エンジンなら、自分たちの技術でどうにでも設計できるじゃないか」という本田宗一郎の言葉を受けて開発された一台で、これはその後のホンダの4輪設計思想である「マン・ マキシマム メカ・ミニマム」として綿々と続いている。価格は同クラスのライバルよりも安く、それでいてハイパワーの31馬力と最高速度約115kmという高性能で人々の注目を集めることとなった。
ヒット作のN360をベースに、ファッション性とスポーティさを兼ね備えた新たなコンセプトで作られた軽乗用車初のスペシャリティーカー。3連メーターやスポーツハンドルにバケットシートなどでスポーティさを強調。それでも大人4人がちゃんと座れるスペースを確保していた。水中メガネと呼ばれた黒くて太い樹脂製フレームのテールゲートが特徴的だ。軽としては初の前輪ディスクブレーキやラジアルタイヤの標準装備など、当時の軽自動車の高性能化への先駆けとなったモデルであった。写真は水冷エンジンとなった1971年モデル。
運搬や警備などの屋外作業用として開発された、ドアの無いオープンスタイルの軽トラック。信頼性と実績のあるTNIII360ベースのOHC空冷4サイクルエンジンを搭載。使い勝手に優れた装備に、フロント中央にスペアタイヤをセットした外観と、非常に個性的なクルマだったが、国内経済も安定し、より豊かな生活に余暇を楽しむレジャー志向が強くなってきた時代だったこともあり、スペイン語で「みんなでゆこう」という意味の「バモス」という車名の通り、レジャー用としても人気を呼んだモデルとなった。
空冷エンジンを搭載しクラストップの性能を発揮するという特徴で大ヒット作となったNシリーズから一転、水冷エンジンを搭載した新世代軽自動車。N360よりもエンジンの馬力を抑え、特有の騒音と振動を低減。さらに油臭や暖房能力不足といったネガティブな要素からも解放され、快適なクルマとなった。ここからシビックやアコードのその後のホンダ製乗用車の基礎が確立される一台となった。エンジンのタイミングベルトを日本車で初めて採用したクルマでもある。