2018年5月24日

CRF250Rが2019年モデルに、エンデューロレーサーCRF250RXをタイプ設定し発売

CRF250R/CRF250RX 831,600円/847,800円(9月10日/10月11日発売)

2000年のMFJモトクロス日本グランプリで、CRF450Rのプロトタイプ車が世界に先駆けてデビュー。そして翌年の2001年から全日本モトクロス選手権シリーズ及び、AMAモトクロス選手権でワークスチームが使用して活躍、本格的な4ストロークモトクロッサーの時代が幕を開けた。そしてこの年の11月10日にCRF450Rが市販開始されている。

4ストロークエンジンを搭載する新時代のモトクロッサーCRFファミリーの一員として、CRF250Rが登場したのは、CRF450Rの発売から2年遅れの2003年11月。以来、イヤーモデルごとに戦力アップがはかられてきているCRF450RとCRF250Rだが、登場時期と同様、それぞれの進化の度合いは毎年異なったスケジューリングで行われてきている。

2012年モデルのCRF250Rは、エンジン面ではスロットルボディの小径化を図るとともに、コネクティングチューブ、吸気ポート、排気ポート、エキゾーストバルブの形状変更が行われ、車体周りではCRF450Rと共通するサスのチューニングやワイドフットペグの採用などが行われた。2013年モデルではCRF450Rがフルモデルチェンジを受けたのに対して、フロントフォークのダンパー部のピストン径のアップ、バネレートの変更が行われ、また新パターンのフロントタイヤの採用が行われた程度で、いわゆる戦闘力アップの熟成マイナーチェンジが行われたのみだった。

そして2014年モデルで、CRF250Rにフルモデルチェンジの番がやってきた。エンジンでは全域でトルクフルなパワーを生み出す新設計ピストンと燃焼室形状の採用、混合気の充填効率を高める吸気通路形状の最適化、低中速のパワー感とスロットルレスポンスを両立させる燃料噴射方式“デュアル・ステージ・フューエルインジェクション(1サイクル2度噴射制御)”の採用などが行われた。サイレンサー全長を短くすることで慣性マスの集中を行い、また、同時に左右対称配置で得られる重量バランスの良さから高い車体安定感と軽快感を生み出すショートデュアルマフラーを採用。排気圧を最適化する整流板を取り付けた新型エキゾーストパイプも導入された。

車体回りでは第6世代の新設計アルミツインチューブフレームを採用。フロントの接地感とリアトラクションの向上などを目標にヘッドパイプとメインパイプの結合部を下方に移動させ、ヘッドパイプまわりの剛性を最適化。リアクッション上部とメインパイプ、ピボットプレートをより近づけて剛性を上げ、作動性を向上。リアフレーム上下パイプ間の角度を大きくし、各ガセット類の軽量化などが行われた。また、この新型フレームは低重心化とマス集中化を狙ったレイアウトを徹底していることも特徴だ。ECU、コンデンサー、レギュレーター、ワイヤーハーネスなど、各電装部品もグラム単位で軽量化し、同時に車体中心付近に配置させてマス集中化に貢献している。

足周りでは、縦、横剛性を最適化した新設計のスイングアームを採用。パイプの形状を見直し、従来よりも縦剛性を大幅に上げつつ横剛性を適切に保つことで、しなやかさと路面をしっかり捉える剛性感を両立させているという。フロントフォークは従来モデルを熟成し新設計の車体に合わせてセッティング。マス集中化と共に軽快感を最大限に引き出した車体レイアウトとのマッチングを図っている。おなじみのホンダプログレッシブステアリングダンパーは継続採用。

スタイリングでは、ジャンプ中もより扱いやすいように必要最小限の外装部品、徹底したマス集中化による軽快で俊敏な動きへの寄与、そして“マンマキシマム・メカミニマム”MM思想によりダイナミックで自由なライディングアクションに対応、という3点をキーワードに進化させたという。

2014年9月に登場した2015年モデルはフルモデルチェンジが行われた翌年のモデルということもあってマイナーチェンジのみで、フロントフォークにエアサスペンションを採用し、エンジンは、3種類のエンジン特性モードを手元で切り替えられるエンジンモードセレクトスイッチとインジケーターが新たに採用された程度。

2015年9月に登場の2016年モデルも熟成版といえるもので、エンジンの出力向上を目的に、吸排気系部品の素材変更も含めて見直しを実施。また、PGM-FIのセッティングの最適化も行われ、特に高回転域での出力アップとドライバビリティーの向上が図られている。それ以外では、フロントサスペンションが、フォークの内部構造の見直しに加え、アウターチューブに空気弁を追加、より細かなサスペンションセッティングを可能にするとともに、初期作動性能を向上させ、サスペンションの動きの良さと反力を両立させるという改良が行われた。同時に2016年モデルが発表されたCRF450Rの方も熟成のマイナーチェンジ。

4年ぶりのフルモデルチェンジとなった2018年マシンは2017年10月に発売されている。最大の特徴としては、ついにDOHCヘッドが採用されたことがあげられるだろう。同時にボア×ストロークの最適化や、吸・排気ポートのストレート化、2系統に独立させた排気システムの採用などもおこなわれている。車体周りでも剛性と柔軟性を両立させながら軽量化を図ったニューフレーム、チタン製燃料タンクなども新採用。「モトクロスレースで勝つこと」を目的に行われる改良は留まることを知らない。

今回発売された2019年モデルでもフルモデルチェンジの翌年とはいえ、カラーリングの変更でお茶を濁すわけにはいかない。エンジンのカムプロフィールの変更や吸・排気系のレイアウト見直しが行われるとともに、兄貴分のCRF450Rと同様、安定したスタートを実現するためローンチコントロールシステムが新たに採用された。
 

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CRF250R。ハンドルのマウント周りも操縦のしやすさを求めて改良が行われている。

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CRF250RX。エンデューロレース向けに最適化を図ったモデルで、エンジンの点火時期とサスペンションのセッティングを変更、8.5リットル入りの樹脂製燃料タンクも採用、リアを18インチ化、アルミ鍛造サイドスタンドを装備。


 

★HONDA ニュースリリースより (2018年5月24日)

モトクロス競技専用車「CRF250R」の2019 年モデルおよび
エンデューロ競技専用車「CRF250RX」を発売

Hondaは、モトクロス競技専用車「CRF250R」のエンジン出力を向上させるとともに、ローンチコントロールシステムをCRF250Rとして初採用するなど2019年モデルとして仕様の一部を変更して総合性能の向上を図り、9月10日(月)に受注期間限定※で発売します。さらに、不整地を利用した耐久競技のエンデューロレース向け競技専用車「CRF250RX」を新たにタイプ設定し、10月11日(木)に受注期間限定※で発売します。

CRF250Rは、エンジンのカムプロフィールや吸・排気レイアウトを見直すことで、高回転高出力化を図るとともに、低・中速域でも力強く扱いやすい特性としています。また、より安定したスタートを実現するため、スタート直後の急激なアクセルワークに対して着実なトルクを得るために、エンジンの回転上昇を瞬時に制御する3段階のレベルが選択可能なローンチコントロールシステムを採用しました。このシステムは、HRC(株式会社ホンダ・レーシング)がワークスマシンに採用している技術をフィードバックしています。

車体は、トップブリッジにハンドルホルダーの取り付け孔を前後2ヵ所配置し、ハンドルホルダーのハンドル受け部を偏心させることで、ライダーの好みに応じて4通りのハンドル位置が選択できるなど、操縦のしやすさを追求しています。

CRF250RXは、CRF250Rをベースに、エンジンの点火時期とサスペンションのセッティングを変更。燃料タンクは容量8.5Lの樹脂製としたほか、リアタイヤに18インチサイズを採用。軽量、高強度なアルミ鍛造のサイドスタンドを装備するなど、エンデューロレースへの最適化を図っています。

カラーリングは、両車種ともにHondaのモトクロスマシンのアイデンティティーを継承するエクストリームレッドを主体色に、ホイールリムを精悍なブラックとしています。
※受注期間は2018年5月29日(火)から12月28日(金)まで

●販売計画台数(国内・年間)
 シリーズ合計      500台
 
●メーカー希望小売価格(消費税8%込み)
 CRF250R   831,600円(消費税抜き本体価格 770,000円)
 CRF250RX   847,800円(消費税抜き本体価格 785,000円)
※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
※このCRF250Rは、公道および一般交通の用に供する場所では一切走行ができません。また、登録してナンバープレートを取得することもできません
※走行場所には十分注意してください。私道や林道、河原、海辺などの公共の道路以外の場所でも、人や車が自由に出入りできるところは道路とみなされ、道路交通法および道路運送車両法の違反になります
 

 

★主要諸元

車名型式 ME12
CRF250R〈CRF250RX〉
発売日 2018年9月10日〈10月11日〉
全長×全幅×全高(mm) 2,181〈2,185〉×827×1,260〈1,262〉
軸距(mm) 1,486
最低地上高(m) 0.327〈0.329〉
シート高(m) 0.957〈0.961〉
車両重量(kg) 108〈111〉
乾燥重量(kg)
乗車定員(人)
燃費(km/L)
登坂能力(tanθ)
最小回転小半径(m)
エンジン型式
水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ
総排気量(cm3) 249.4
内径×行程(mm) 79×50.9
圧縮比 13.9
最高出力(kW[PS]/rpm)
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm)
燃料供給装置形式 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI]
始動方式 セルフ式
点火方式 DC-CDI
潤滑油方式
潤滑油容量(L)
燃料タンク容量(L) 6.3〈8.5〉
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式5段リターン
変速比 1速 2.230
2速 1.800
3速 1.470
4速 1.227
5速 1.043
減速比1次/2次 3.473×3.692
キャスター(度) 27°29′〈27°18′〉
トレール(mm) 116〈115〉
タイヤサイズ 80/100-21 51M〈90/90-21 54M〉
100/90-19 57M〈110/100-18 64M〉
ブレーキ形式 油圧式シングルディスク
油圧式シングルディスク
懸架方式 テレスコピック式(倒立タイプ)
スイングアーム式(プロリンク)
フレーム形式 アルミツインチューブ

(Honda測定値)
 ※製造事業者/本田技研工業株式会社
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