2018年5月23日
JAIA輸入二輪車試乗会より aprilia RX125試乗 『アグレッシブで、スポーツ志向のライダーに向けた 本格的スタイルの125オフロード』
■試乗・文:濱矢文夫 ■撮影:依田 麗
■aprilia-japan http://aprilia-japan.com/
フロント21インチ、リア18インチというオフロードの定番タイヤサイズのRX125は、前後体重移動がしやすそうなフラットで前後に長いシートのスタイルからエンデューロレーサーのように見えるカッコ良さ。反面、このスタイルから完全にオフロードを走ることだけを考慮した作りのように感じるかもしれない。
シート高は905mmと低くはないけれど、オフロード車特有の細いシートと、乗車しただけで柔らかい前後サスが沈むので、本格的なエンデューロレーサーよりも足着ききは良い。エンデューロレーサーだと両足では全く届かない身長170cm、どちらかと言えば短足の私でも両足でも足の先が届いた。片足をステップにのせた状態なら、もう片方の足はきっちり地面に届く。125ccクラスのオフロードタイプの細い車体を支えるのに苦労はしない、というか気にならない。ハンドル幅は本格オフ車よりやや短い。レース車両にも使われるギザギザに尖ったステップは激しい動きでも足が外れない、土がついても滑らないためのものだが、グリップが良い反面、ブーツのソールへの攻撃性が高く、削れたりする場合も。この車輌もギザギザステップは山があまり尖っていないのがいい。これならブーツやライディングシューズへのダメージは小さく、普通に使うなら充分なグリップで、幅もそこそこあるので足裏が安定している。地面に対して背筋が垂直近くになるアップライトで高い視点のポジションは、見晴らしが良く楽ちんだ。
水冷4ストロークDOHC4バルブエンジンは、ショートストローク。これはきっちり回して走るのが面白い。高回転の伸びが良く想像以上に元気な加速をする。4ストローク124.2ccだから驚くような速さはないけれど、まったくもどかしさを感じない。低速トルクも必要十分だ。6速ミッションで高回転型のこのエンジンからも、ストリート重視の姿勢が伺える。ハンドリングは本格オフ車と比べるとフロントが重い感じ。これはストリートではネガティブなことではない。おかげでフロントタイヤに適度な荷重がかかっていて、本格オフ車のように前へ体重移動を大きくしてフロントフォークを縮めなくても、凸凹タイヤでも安定したコーナー進入が出来て、フォークが不意に伸び戻ることなく旋回力が出て乗りやすい。柔らかくよく動きながら日常領域では適度なダンピングのリアサスペンションと、長いスイングアームでリアタイヤが路面を押さえつけ、トラクション性もなかなかだ。舗装路では、深くリーンするけれど大きく回るようなオフ車的なものより小さくスマートにコーナーを抜けていける。高速で走っている時のフロントの安定性にも不満はない。
一概にオフロード車とくくっても、レース用車輌だけでなく、いわゆるオン・オフモデルやデュアルパーパスモデルと呼ばれる、公道で使うことを想定したものがある。例がホンダで申し訳ないが、エンデューロレーサーがCRF450RX、CRF250Xで、公道向けオフ車であるデュアルパーパスモデルなら、CRF250L、その前にあったXR250だ。このaprilia RX125は、見た目は本格的レーサー風だけど、かなり一般舗装路での使い勝手を考慮した作りの後者。ちゃんとしたデュアルパーパスモデルである。
未舗装の広場や道脇のちょっとしたダートに入ってみたが、舗装路の安定性でモノを言うフロントの重さにより、少し前が横へ出ていこうとする一般的なデュアルパーパスモデルの乗り味だ。本格オフ車ほどの走破性能はないけれど、林道などで遊ぶくらいならまったく困らないだろう。ちょっとしたお出かけや買い物など日常で便利に使えて、たまの休日に土の上を走って緑の中に分け入ってリフレッシュする。乗った後にそんなライフスタイルが見えてきた。
(試乗・文:濱矢文夫)
■aprilia-japan http://aprilia-japan.com/