再び、国道に戻りJR大糸線と並走して西へと向かう。

右手の山間の奥に雪化粧した美しい北アルプスが見える。昨日から、綺麗なものと美味しいものを交互に満喫して、私の右脳は興奮しっぱなしです。

右脳の満腹感を感じていながらも、右手に澄んだグリーンの湖面が広がる湖が見えてきました。

青木湖です！

「レイチェル！ 青木湖が見えてきたぞー！」

「きれいですね！」

「ほんと！ レイチェルみたいだね！」

「先生ったら！」

お約束のような、コテコテ会話をしてから湖岸の駐車場にバイクを止めた。

意外にも駐車場にはバイクは他に一台だけしかいない。そのバイクもすぐに立ち去ってしまい、駐車場にはレイチェルと私、そしてVTちゃんだけとなった。

それなら、フォトセッションするしかないですね。

早速、「レイチェル！　美しい青木湖と北アルプスをバックに記念写真撮ろう！」

「はい！　撮りましょう！　撮りましょう！」

カッチョ良いVT400Sを前にして、後ろは美しい青木湖と北アルプスですから、レイチェルは別としても、私は構図負けしないよう最高の笑顔で対抗です！

この時期ならではの素晴らしい写真が撮れました！

では、これで旅も終りです。

「レイチェル楽しい旅をありがとう！」

「私もとても楽しかったです」

「今度は、バイク二台で二人旅しようか！」

「それ楽しそうですね！」

「そうでしょ！ 祥ちゃんに提案しとくからね！」

「先生！ どうせなら二人の旅をシリーズ物にしてもらいましょうよ！」

「いいねー それ！ それも祥ちゃんにすぐ言っとこう！」

二日間のタンデムツーリングですっかり仲良しになれた二人でしたが、これでお別れです。

インカムがなくて、走っている時には、ほとんど会話のなかった二人でしたが、VTの振動を共に感じ、共に同じ景色を見て、共に同じ空気を吸ったから、すぐに気持ちがひとつになれたのだと思います。

バイクは独りで、勝手気ままに走るのが一番だと思っていましたが、たまには、人の温もりも感じながら自分を抑えて走るのも違った景色が見えて楽しいと思いました。

秋の信濃路は何処を走っても、紅葉とススキの穂が、優しく眼に入りこんできます。

私にとって今年のシーズンは決して良い成績ではありませんでしたが、この景色のように枯れても味のある人生を送れるよう、明日からも練習に励んでみます。