初めて跨り、走り出した印象は
「もっさり」「もっこり」!?
写真や遠くからの見た目は、Ninja 250R 並みのスリムなマシン、という印象が強かったNinja 400R だが、それは跨る前までの話。いざ跨ると目線の下に広がるカウルの存在や、盛り上がったタンクなどから、意外に押出しの強いマシンなのだと気づかされる。それもそのはずで、2011年モデルとしてヨーロッパ市場へ導入、と発表された650クラスのER-6fとは兄弟関係にあたるモデルなのだ。
650クラスの車体と考えると納得だが、今度は心配になるのがそれに400のエンジンでは…だろう。
路面は完全ウェット。轍には水が溜まり、横切るように小川もできている。普段以上に慎重にアクセルを開けるしかない状況で走り始めた第一印象は、失礼ながら「もっさり」だった。一緒に走り始めたプロライダーも同様のことを言っていたからあながち的はずれではないだろう。
しかし、それがNinja 400R 本来の姿じゃなかったことが分かるにはものの数分とかからなかった。どんなバイクだって満足にアクセルを開けられなければ性格なんて分かりゃしない。ビビリィの言うことなど信用しちゃいけない。
パラツインの実力を再確認させる
スムーズで気持ちよく吹け上がるエンジン
ブーツのつま先や、股の下にいつの間にやら冷たいものを感じる頃には「もっさり」感はライダーのせいだということが分かった。思った以上に軽快なハンドリングと、まったく神経質という言葉とは縁のないブレーキや足周りを信頼できるようなれば、時おり襲ってくる豪雨の中でも平気で回せるようになった。5,000回転くらいからが本来のお楽しみゾーンで、最大トルクの7,500回転はおろか、最大出力の9,500回転を超え、レッド直前までストレス無く吹け上がる。
昔の…、は使いたくないフレーズだが、昔のパラツインを知る試乗者にとっては無理矢理「ブン回す」がツインであって、こんなに綺麗に回転が上がるツインには隔世を感じる。
絶対パワーではなく、手の内にあるパワーをいかにうまく使うか、それがレーサー・レプリカでもなく、スーパー・スポーツでもない「ただのスポーツ・モデル」というバイクの醍醐味だろう。
Ninja 250R といい、このNinja 400R といい、カワサキは本気で国内ライダー向けのバイクに“本来あるべき姿”を取り戻そうとしている。
(2010年7月13日記 試乗:小宮山幸雄/撮影:依田 麗)
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