Minnano VS125

「若者がアルバイトで無理なく買え、大人もへそくりで買える変速ギアつきバイク」

これが“みんなのバイク”というサブネームのごとく、VS125のチャームポイントがダイレクトに伝わるコンセプトだ。

車両本体価格は税込みで17万8,500円。今や希少となった125ccクラスのマニュアルミッションバイクが20万円以下で買えるのである。

Minnano VS125

お洒落にまとめられたメーター周り。わざわざ香港のメーカーにアセンブルを依頼した効果はこういったところに現れている。広州の工場のエンジニアには日本人のこだわりが通じなかった、とか。もともとはそれぞれのギアの表示灯が付くだけだったギアインジケーターもわざわざLCDに数字で表示するように改良。
お洒落にまとめられたメーター周り。わざわざ香港のメーカーにアセンブルを依頼した効果はこういったところに現れている。中国本土の広州工場のエンジニアには日本人のこだわりが通じなかった、とか。もともとはそれぞれのギアの表示灯が点灯するだけだったギアインジケーターもわざわざLCDに数字を表示するように改良。
日本の某メーカーのノックダウンエンジンと同じクオリティで作られているという124cm3エンジン。それを更に輸入後チェックして出荷するという。キックを残しているためペダル周りのレイアウトはちょっと厳しい。自分でカスタムするのは構造がシンプルだけに楽そうだが。
日本の某メーカーのノックダウンエンジンと同じクオリティで作られているという124cm3エンジン。それを更に輸入後チェックして出荷するという。キックを残しているためペダル周りのレイアウトはちょっと厳しい。自分でカスタムするのは構造がシンプルだけに楽そうだが。

岐阜のユニオートから1月17日より発売されるVS125は香港から輸入されるモデルだ。中国のバイク産地として知られる広州からパーツを調達し、香港で組立て出荷されている。中国本土より、日本の事情に合わせた要望を積極的に受け入れてくれるという点で、香港のエージェントと手を組んでいるという。

足掛け1年にも及ぶ改良に次ぐ改良によって、日本仕様としてVS125は完成。ジャンルとしてはその見た目から、日本ではロードスポーツに分類されるだろう。ベースモデルには本来ビキニカウルが装着されているが、装着方法などの粗が目立ったため、カウルを取り払った純ネイキッドスタイルとするなど、品質に対し目の肥えた日本のユーザーに配慮されている。

前後サスも日本の道路事情に合わせた仕様に変更。また、日本ではビジネスバイク以外に馴染みの薄いロータリー・パターンのミッションをリターン式に改めている。

車体は125ccクラスとしては大柄だ。スポーティなマフラーやリアサスなどが目を引くが、金属パーツの加工処理といった細かな部分に目を凝らすと、国内4メーカー製品に対しちょっと「?」なところもあるが、車両価格を考えると仕方ない部分ではある。

実際に乗ってみると、着座位置が高いことに気づく。これはシートに欧州向けを使っているためで、実際に販売されるモデルでは改善されるとのことだ。

イグニッションキーは3段階。オフ、スタートの他、パーキングポジションが備えられているのが懐かしい。始動はセル、キック併用。ハンドル右のスターターボタンでエンジンは一発で目覚める。燃料供給はキャブレターのため、この時期は多少暖気が必要かもしれない。ちなみにチョークレバーはハンドル左側のリモートレバーで操作できる。スポーティなマフラーから発せられるサウンドは躍動感あるもの。ちょっと新鮮な感覚だ。

空冷単気筒エンジンは必要にして十分な力が備わり、刺激的ではないもののレッドゾーンの10,000回転までスムーズに回る。これといった不満はない。コクピットにはスピード、タコ、燃料、そしてシフトインジケーターが備わる。これは便利だ。

尚、VS125は登録から1年または1万キロの保証付。パーツも十分にストックされており、アフターの心配は無用とのことである。

キャストホイールに、ペタルブレーキディスクとスポーツモデルの雰囲気は充分。タイヤはレトロなスポーツモデル用って感じの中国製が付いていた。
キャストホイールに、ペタルブレーキディスクとスポーツモデルの雰囲気は充分。タイヤはレトロなスポーツモデル用って感じの中国製が付いていた。
燃料タンクのキャップもこの通りスポーティ。コーション・シールは香港のスタッフが参考として日本語で作ったものが貼られていた。
燃料タンクのキャップもこの通りスポーティ。コーション・シールは香港のスタッフが参考として日本語で作ったものが貼られていた。
ヘルメットホルダー(左側に)のロックキーがシートのロックキーを兼ねている。シートを外すとちょっとした小物が入れられるスペース。シートカウルのサイド下両側にサポート用のグリップが。センタースタンドを上げるときに便利。
ヘルメットホルダー(左側に)のロックキーがシートのロックも兼ねている。シートを外すとちょっとした小物が入れられるスペース。シートカウルのサイド下両側にサポート用のグリップが。センタースタンドを上げるときに便利。
けっこう元気な音を聞かせてくれるマフラー。そしてカラフルなリアサスがスポーツ心を盛り上げてくれる。とは言っても、峠をガンガン攻める、なんて使い方のモデルじゃないのだからそこんところはよろしく。
けっこう元気な音を聞かせてくれるマフラー。そしてカラフルなリアサスがスポーツ心を盛り上げてくれる。とは言っても、峠をガンガン攻める、なんて使い方のモデルじゃないのだからそこんところはよろしく。
感覚的には'70年代のまだスーパースポーツだ、ネイキッドだ、などと細々と性格分けがされていなかった頃の「これがバイクですが何か」の雰囲気を想像してもらえるといいかも。そう考えれば値段も当時の価格!? と言える安さだし、クオリティだって、現在の日本車の工芸製品的なパーフェクト感には及ばないのすら納得できてしまうというもの。
感覚的には'70年代のまだスーパースポーツだ、ネイキッドだ、などと細々と性格分けがされていなかった頃の「これがバイクですが何か」の雰囲気を想像してもらえるといいかも。そう考えれば値段も当時の価格!? と言える安さだし、クオリティだって、現在の日本車の工芸製品的なパーフェクト感には及ばないのすら納得できてしまうというもの。

国産バイクに乗りなれた人ならば、各操作部の精度やカッチリ感、走行安定性といった点で多少違和感はあるだろう。でも、やはり車両価格を考えると、最終的には「仕方のないところ」という結論にならざるを得ない。

もっとも、その点はコストとの攻防の中で最上の品質と性能を求めた輸入・販売元のユニオートも心得ている。バイクに乗り始めようと思っている若者、また再び乗りたいと思っているリターンライダーに対し、今後広がる可能性を秘めたバイクライフのきっかけとなることがVS125の存在意義で、まずは手ごろな車両価格ありき、ということ。

一方で、VS125はベテランライダーに対しても楽しめる要素を持っている。空冷単気筒&キャブレターというシンプルな構成は、自分で手を加えることができる部分があるから。そういった点でも、VS125は今後の反響がとても興味深い1台だ。

 ●みんなのバイク VS125 主要諸元
       VS125
 全長  2,060mm
 全幅  745mm
 全高  1,135mm
 シート高  750mm
 車両重量  113kg
 最高出力  8.5kW(11.1PS)/8,500rpm
 最大トルク  7.5Nm(0.86kg-m)/7,500rpm
 燃料供給方式  キャブレター
 始動方式   セル・キック併用
 燃料タンク容量   12リットル
 トランスミッション   5速リターン
 制動装置   前:ディスク 後:ドラム
 タイヤ前  2.75-18
 タイヤ後  3.25-18
 保証期間  登録から1年もしくは10,000km 
 発売元  (株)ユニオート 

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