7月18日に発売となった新型Dio110(JF31型)、各方面で話題になってますね。私、個人的にDioといいますと、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック、広末涼子、trfなどをイメージキャラクターに起用した、若者向けの原付(一種)スクーターというイメージがあります。Dioも遂にG2ですか、大人になったんですね。
ホンダはこのJF31型を世界で売り出すグローバルモデル「NSC110」として発表しました。NSCとは吉本の芸人養成所のことではなく「New Standard Commuter」の略。というワケで、日本では20年以上の長きに渡ってホンダの定番スクーターとしてすっかり名前が浸透している“ディオ”の ネーミングが与えられたようです。ちなみにヨーロッパでは「VISION」の名で販売されています。
さて、世界の人々に向けたJF31型、つまりDio110の仕上がりはG2ファンのみならず、誰もが気になっていることでしょう。で、ツイッターの方では何度かつぶやかせていただきましたが、私、7月中旬に新型Dio110を10日間ほどお借りし、ロングランを行ってまいりました。とにかく、思う存分走らせていただきましたのでご報告させていただきます。
7月13日の夕方、東京・青山のホンダ本社にて、これから相棒となるDio110とご対面。長旅仕様として、 オプションのGIVI製トップケース(26L)とメッシュシートカバーを装着した状態でお借りいたしました。広報車担当のT氏より「大統領にピッタリの色ですね」というキャンディールーシーレッドのDio110。ピンクではありませんが、確かにカラーバリエーションの中で最も鮮やかな色ですね。大径タイヤを採用した新しいデザインを引き立てているような気もします。
で、初ライド! そうそう、Dio110はここ最近のホンダ・グローバルモデル同様、ウインカーとホーンのスイッチの配置が入れ換わってるんでしたね。ちゃんと意識していたつもりなんですが、ホンダ本社を出て数10m、青山一丁目交差点を左折後にウインカースイッチをキャンセルするつもりが、いきなり誤ってホーンを鳴らしてしまいました……。PCXの時もそうでしたが、慣れてしまえばまったく問題ありません。今回の長旅でウインカーとホーンを間違えたのはこの1回だけ。ちなみにDio返却後、公用車のスペイシー100を運転した時、逆に間違ってホーンボタンを押しそうになりました……。
7月14日・午前3時、Dio110と共に千歳船橋の大統領官邸をスタート。昨年、スペイシー100で大統領歓迎イベントに参加した時(HCCコラムのバックナンバー祭・開催時に「原二主義」Vol.2にてご確認ください)と同様、まずは国道246号線で沼津を目指しました。
PGM-FIのおかげで、スロットルを煽ることなくセル一発で始動。空冷エンジンですが音も静かで深夜の住宅街でも気を遣うことはないでしょう。それにしても最近のホンダ4ストG2スクーター、PCXから排気音がイイなと私個人的に感じております。低めのサウンドは中々心地良いです。
夜が明ける前のR246はトラックの姿が目立ちますが基本的にガラガラで流れは良好。とはいえ、まだ200キロちょっとしか走っていないDio110をいたわり、抑え目のペースで走ります。大型のスピードメーターはシンプルで視認性が高く、どちらかと言えばホワイト系の照明も上品な感じ。体感速度に対してスピードメーターが指す速度は低めの印象を受けました。おそらく相当実速度に近い設定なのではないでしょうか。世界共通仕様とは言え、140km/hスケールのメーターはちょっと大袈裟かな、という気はしますが……。ウインカーのインジケーターは左右共用で、他にPGM-FIとハイビームのインジケーターが備わっています。
で、Dio110の特徴である大径タイヤのフィーリングはどうか? この時点では特に感じるものはありませんでした。最近の(Dio110に対して)小径タイヤのスクーターも操安は悪くないですからね。フロントフォークのアウターチューブも長くなっている分、サスのストロークも増えているのか、詳細はわかりませんが、乗り味としては個人的に固めの印象を受けました。
そしてライディングポジション。大径タイヤになっている分、明らかに小径スクーターとは異なります。膝の曲がりが楽な自然なポジションです。シートの着座位置は小径スクーターに比べ若干高めなのか、それともフロアの位置が低いのか、身長173cmの私が乗った場合、好みの問題あるかもしれませんがとてもしっくりとくるポジションで、とても斬新に思えました。私、乗ったことはありませんが、16インチタイヤを履いたスクーター、エクスプレス(1983年)やVia(1997年)はこんな感じだったのかもしれませんね。で、このポジションはその後の長旅でも恩恵に授かりました。どんなバイクにのってもすぐお尻が痛くなるこの私、中々痛くならなかったのですから(オプションのメッシュシートもクッションの役割を果たしたかもしれませんが)。この自然なポジションは疲労軽減にかなりの効果を発揮するものと思われます。シティ・コミューターのはずが、実はグランドツアラー!?
- 静岡県内の国道1号線はバイパスのおかげで距離が伸びます。が、125cc以下は通れないところもあり。写真は通れなかった静清(せいしん)バイパスの高架下。信号多すぎます。でも、あと320キロなんて楽勝っす!
- 京の都でキャンプ泊もよかったのですが今回はSPがおらず、G2連邦の閣僚達の猛反対によってビジネスホテル泊となりました。とても親切なホテルで、発売4日前のDio110をロビー内に駐車させてくれました。7月15日の出発前、従業員さんのものと思われる昭和の名スクーターと記念撮影。
一方、多くの皆さんはDio110のフロアボードが気になるのではないでしょうか? 大径タイヤを採用することで足元スペースが犠牲になっているのは見た目にも明らかです。では実際に乗ってみるとどうでしょうか? フロアボードの幅も車体と同様スリムになっており、自由度が制限されるのは事実ですが、不思議なことに窮屈な印象は長旅を通じてありませんでした。おそらく、前述の自然なライディングポジションによる効果が大きいと思われます。特に足を前に伸ばしたい気分にはなりませんでした。むしろ後ろ側、感じとしてはバックステップのようなポジションをとりたい時に、スペースにもうちょっと余裕があればいいなと感じました。膝まわりもフロントインナーラック部分がえぐられている視覚的印象で圧迫感はないし、実際にインナーに膝が当たることはありませんでした。いずれにせよ、今まで日本で販売されていたスクーターとは明らかに異なるパッケージングはDio110の特徴。好みの問題なので、ご購入を検討されている方は、まず販売店で実車に跨り、試乗されて確認することをお薦めいたします。
とまぁ、最初に乗った印象はこんな感じです。この日の目的地は京都。言うまでもありませんが、G2だからして今回の行程はすべて一般道であります。御殿場あたりは厚い雲に覆われ、ちょっと肌寒く感じた天候も、国道1号に合流し、清水あたりから晴れに。気温も急上昇してまいりました。愛知県に入ってからは一部国道23号線を走りましたが、基本的に国道1号をずっと走っていたら、日没前には京都に到着! この日の走行距離は491.8kmでした。
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