- ミッドカウルは、高い冷却性能と空気抵抗の低減を両立する高効率なエアマネジメント機能を持たせている。アンダーカウルはエンジンやキャタライザー部へ直接走行風を導き、冷却機能を高めながら、エンジンとマフラーとの一体感を持たせたデザインとしている。
- 世界中のユーザーが一目見て“ホンダのスポーツバイク”だと分かるアイデンティティを随所に盛り込んだ、という“グローバル・デザイン”のスタイリング。VFR1200Fを彷彿とさせるフロントフェイスは、H4バルブ55W/60Wを採用した特徴的なY字型ヘッドライトユニットが組み込まれる。
- ※こちらで動画が見られない方は、YOUTUBEのサイトhttp://www.youtube.com/watch?v=DPMAo7V4VJYでご覧ください
@見てみたら
最初に驚いたのが、見た目が意外なほどシャープだってこと。実車を目の前にする前は、当然、「もうすぐ発売ですよ」な写真でしか見たことがなかったが、その写真だと、どうしてもフロント部分が分厚く重々しく感じていた。ちょっと小太りだと思っていたのね。
2次元の写真の中と陽の光の下で見る3次元が違うことはよくあること。その中でも今回はその違いが大きい。重々しく思っていた理由をしめていたフロントカウルは、細く尖っていてスーパースポーツらしく、構成している面が多様で、特にVFR1200Fとイメージを共有しているヘッドライト部分と大きな一枚物のサイドカウルを繋いでる部分の造形は面白い。シートに座って見えるカウル上部はうねりながら各パーツを上手に一面として仕上げている。
このカウルの継ぎ目がきっちりとして美しく段差や互い違いがないところは、日本製ではないものの流石ホンダ。ボクが乗った個体は、じーっと目をこらすとデカールが左右で高さがほんのちょっとずれていたり、じーっと目をこらすとほんの少しカウルのスクリーンがねじれていたりしたけれど、それはものすんごく神経質にチェックして判るくらい。概ね「素晴らしい」と言える出来栄え。
データで判断すると、直接のライバルたるNinja250Rよりホイールベースは30mm短く(CBR250R=1370mm、Ninja250R=1400mm)、全長は50mm短い(CBR250R=2035mm、Ninja250R=2085mm)。全幅はほぼ一緒。だけど、フロント周りとテールの処理からか細身に見えるのでCBR250Rの方が前後に長い印象を受けた。
とにかく写真写りで損するタイプ。前、横、ナナメと角度を変えて眺めたときの表情は多彩。だから気になっているなら直接見てもらいたい。お見合い写真で判断せずに、いっちょお見合いをやってみる。前に座ったらときめいてしまって、「邪魔者はこの辺で」と去りふたりの世界へ───。
- CBR250Rの生産は、すでにグローバルモデルの125ccスクーターPCXの生産で実績があるタイホンダマニュファクチュアリングカンパニー・リミテッドで行っている。
@跨ってみたら
シートに座って握ったハンドルの位置は高め。適度にしぼられて垂れ角は小さいから乗車姿勢はゆったりめで前傾にはならない楽ちんポジション。タンクもヒザが当たるところが細く絞ってありスリムだ。
ブレーキレバーとクラッチレバーには調整機能は付いていない。けれど比較的レバーまでの距離は近い。ボクは指が異常に短く、レバーの調整機能がないバイクはどうしてもしっくりこないことが多い。でもこれは問題ない。小柄な人や女性ユーザーには嬉しいところ。
ここのところどのクラスでも足つきは良くなっている方向に進んでいるので、まさかこれがその流れから外れることはなく、身長170cmでかかとがやや浮くが、ほぼべったり。
@走ってみたら
セルスイッチを押してエンジンをかけアイドルしてみると、爆発しているのがしっかり判るシングルエンジンの音が聞こえてきた。25年近く前にあった同名の4気筒モデルを知っているオッサンであるから、どうしても口の中でなかなか飲み込めないスルメを噛み続けているような気持ちが少なからずある。知っている人は比較したがりだけど、これはまったく別物なのだ。新しいバイクとして無垢な気持ちで向き合えた方が楽しさは大きくなる。余計な知識を払拭しよう。
それだけCBR250Rはなかなかの存在感があった。ルックスだけでなく走ってみても。鋼管パイプを使ったダイヤモンドフレームに積まれたDOHCシングルエンジンは、スロットルを絞るとトルクはフラットに出てきて1万回転を超えるまで滑らかに吹け上がった。重々しい感じはなく、高回転でスロットルオンオフしてみてもギクシャクしない。
シングルディスクブレーキは必要充分の効き。がっつりタイプではないけれどボクは不足と感じなかった。乗車して前後に車体を揺すってみた時にフロントは初期から良く動き、リアは少し固めの印象だったサスペンションは、走ってみるとしっくり。現代的スーパースポーツのフロントからぐんぐん旋回していくタイプではなく、リアタイヤを意識しながらリーンアングルを保って向きを変えていくタイプ。
今回の試乗ではそれほどハードに走る機会はなかったので、がんばって走るような良いペースで乗るとどうかというのは判らなかったが、リーン中の安定感はとても良く、ビギナーや久しぶりにリターンした人でも戸惑わないで楽しく操れるだろう。これは入門バイクとして最適な適性を持っているバイクだ。250cm3ならではのカジュアルな足バイクとしての使い勝手だけでなく、人生で最初に乗るバイクとしてとてもいい。
いつの間にかこのクラスは、もっとカジュアルなバイク、スタイルで乗るバイクしかなくなっていた。そこにNinja250Rが発売されて、このCBR250Rが出てきた。バイクの楽しみ方は人それぞれで、いろいろあるけれど、本質にはコーナーリングを楽しむスポーツライディングがあるとボクは思っている。「見た目だけのおもちゃだ」というような発言を耳にしたこともあるが、そんなことはない。CBR250Rはちゃんとスポーツ走りが楽しい基本を持っている。(試乗:濱矢文夫)
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