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“グローバル”な時代なのだそうだ。辞書的に狭義で考えれば「地球規模の○○」ってことだそうだが、何でもかんでもグローバルの文字を付け加えると、なんだか、まったく新しいモノのような気がしてくるから不思議だ。
ことバイクとなると、スーパーカブの時代からとっくにバイクはグローバルだったのだから今さら、という気もしないではないが、日本と欧州、そしてアメリカを中心に回っていたバイクの世界が、アジアへと拡散していく中で、本当のグローバリゼーションが始まったと言えるのだろう。
そんな、本物のグローバル時代の到来に産声を上げたのがホンダの新生CBR250Rなのだ。タイで生産を一切取り仕切り、アジアはもちろん、欧州や我が日本でも発売される。まさに、グローバル時代を痛感させられる出来事なのだ。
でも、そのグローバル時代の落とし子、CBR250Rを作り上げたのは日本の侍達だった。
Q:生産にあたるタイホンダさんは、開発の段階でも関わられているのですか?
山口さん(開発責任者)(以下敬称略):開発自体は日本で行っているんですが、当然ながら作りで課題があるところとか、必要があればそのつどタイホンダさんともディスカッションしながら、(パーツ等の)購買部門もタイ現地ですから話し合いをして開発をしてきました。
Q:グローバル向けモデルなので国ごとに違うでしょうが、日本でのターゲットは?
山口:今回は“エントリー・モデル”としてこのクルマの開発をしてきました。最近の若い方はなかなかバイクに乗っていただけないという現実があるのですが、そういった中で出来るだけ多くの人に乗ってもらいたい。チーム側の思いとしては、バイクへの敷居が高くなってしまっている中で、経済的にも手軽な250に乗っていただきたい、使っていただきたい、という思いで開発にあたりました。
Q:CB1100のアダルト向けに対して、若者向けということですね。スタイルはVFR的ですが…
飯田(デザイン担当):特にVFRを狙っているという感じではないんですけど。レーシングマシン的なモノを指向しているわけでもない。レーサーレプリカとしてももちろん作っていません。高級感とスポーティさを両立できるフルカウル仕様です。バイクオタクじゃない若い人に振り向いてもらえる格好良さ、というものを凄く意識しました。
もともとバイクが好きな方々の中にはすでにバイクのデザイン史がある訳じゃないですか。レプリカの時代もあれば、'80年代、'90年代とその時々のデザインを知ってらっしゃる。そういう方々じゃなく、やはり若い方がパッと見て「こういうのって格好いいな」と素直に思ってもらいたいのです。
Q:エンジンの味付けですが、もっと盛り上がるモノがあった方が?
高見(責任者代行、完成車テスト担当):気軽に乗って欲しいというのがありました。特に国内での使える“車速ゾーン”というのを考えると、高速で100km/h、郊外に出ても60km/h、そういった領域で、体感する上ではピーキーなエンジン特性もいいかもしれないですけど、実際には扱いやすいというところに主眼を置いて、フラットな出力特性としました。
Q:タイでは約30万円、国内との15万円弱の違いは?
山口:そこら辺は営業的な観点になるので、私どもからは…、申し訳ございません(笑)。
Q:将来的にはカウルのないモデルも期待してしまいますが? せっかくの綺麗なトラスフレームが見えないので。
山口:それもちょっと別の話ですので…(笑)。ただ、そういったモデルも検討したのは事実です。ですが、グローバルなモデルの先駆けとして、今回のスタイルのモデルということになりました。
Q:それぞれのご担当で、苦労された点、はたまたここは特に力を入れた、みたいなポイントがありましたら教えてください。
飯田:デザインで一番苦労したのは、グローバルモデルということで販売対象が広く、どの国の人が見ても「ホンダのフルカウルスポーツだ」と認めてもらうように、そこに至るまで、絵を決めるまでが一番苦労しました。いろいろな国のデザイナーがこのクルマの絵を描いてますが「ああこれだったらミドルクラスのCBRだね」っていうところに行くまでが時間もかかったし、社内での議論も大変でした。
あとはこのクルマは凄く使い易いディメンションとか、ハンドルの切れ角とかを持っているので、そういうモノとタンク、フルカウルを組み合わせる上での造形ですね。ハンドルは良く切れる、ライポジも楽、だけどスポーツバイクらしい低く構えた感じに作る、というのは大変でした。それと色。2つのイメージを両立させることをカラーリングで受け持つことになりますので、それを実現する上での部品の分け方と色の設定の仕方などに苦労しました。
原田(エンジン設計担当):エンジンではボア×ストロークの設定にいろんな意見がありました。ショートストロークで押し通すには、かなりの反対に合いました。私には単気筒でもCBRらしさ、を追求したい、という考えがありまして、今までの単気筒のフィーリング、いわゆるドコドコ感ですね、それを裏切るようなエンジンフィーリングにしたい、という思いがあったので特にこだわりました。
苦労した点といえば、クランクのジャーナルにメタルベアリングを採用した点もあります。シングルではメカニカルノイズの面で、高出力化していくとホンダの基準としてはかなり質が落ちる方向に行ってしまいまして、ベアリングサイズもかなり大きいサイズに、エンジンもコンパクトに出来ない。そういう時にメタルという存在に目をつけました。今までホンダとしてはモーターサイクル用としてはやったことが無かったのでよりチャレンジしてみたくなりました。
あとは、燃費ですね。燃費についてはこだわりました。どれだけ低フリクション化できるか、DOHCの中にローラーロッカーを入れたのも燃費を意識してます。アセアン市場向けで初のイリジウムプラグを採用しましたが、安く作るというのを考えながらも仕様は絶対に落とさない、というところでかなり苦労しました。
藤山(車体設計担当):フレーム関係も全て新設計で、当初からコストを抑えるという点では苦労しました。さらにスポーツバイクなのでスポーツ走行も充分できるような剛性、強度も持たせなければならないということで、あのカタチのフレームになりました。タイでの生産ということもありまして、そこら辺のバランスを高い次元で実現させる、ということが一番苦労した点ですね。
いろいろなフレーム形式を考えましたが、重量を抑えつつ剛性を上げるという点を突き詰めていくとあのフレームになったということです。フレームの前半分、トラスのところですが、この部分の生産はかなり高度な技術が必要で、タイの工場の皆さんに頑張ってもらっています。
高見:完成車チェックとしては、お客様に求め易い価格で、といっても妥協はしなかったですね。見た目の装備仕様もこだわってですね、我々は“本物感”という表現で言ってますけど、実際のところ、大型バイクと見比べても主要装備はほとんど変わらない、この装備が付いていながらこの価格、乗ってはエントリーから、リターンユーザーまで楽しい。ビッグバイクと言ってもふさわしいような高性能、高品質で出来ている、というところにまとめるのが苦労した点ですね。
安いからっていって、乗っても「う~んそれなりか」などと絶対思わせずに、この価格でも買って非常に良かったって思わせる仕上がりにするのに苦労しました。ホンダとして出す以上はホンダの基準、どこの国で作ろうとホンダ車のクオリティに仕上げています。
編集部:ありがとうございました。
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