cb1100_1100ex_title.jpg

ホンダ
こちらの動画が見られない方、もっと大きな画面で見たい方は、YOUTUBEのサイトで直接どうぞ。「http://youtu.be/7mgNC2qzLjQ」 こちらの動画が見られない方、もっと大きな画面で見たい方は、YOUTUBEのサイトで直接どうぞ。「http://youtu.be/9RhF__WZEdU」

 
よりレトロスタイルに。アルミスポークホイールに17リットル入り燃料タンク、2本出しマフラー Honda CB1100EXを追加

 空冷直4エンジンに鉄のダブルクレードルフレーム、前後18インチホイールなど、古き懐かしき時代のテイストを持ったホンダのCB1100がアップデートされた。

 細かなところまでいろいろ手が入って変わっているけれど、最初にあげるのはエンジンだろう。5速から6速化された。クランクケースは変わっておらず、これまでのエンジンボリュームのままミッションの歯車を増やした。

 もうひとつのトピックは、新たに、よりトラディショナルなワイヤースポークホイールと2本出しマフラー、大きな容量の燃料タンク(17L)を装備したCB1100 EXが追加されたこと。2010年の発売時にあった二輪専門誌向け試乗会の時でさえ、「ワイヤースポークは?」という声が少なくなかった。スペックだけに囚われず、新たに空冷直4エンジンを用意して、味の部分に正面から取り組んで作ったモデル。だからワイヤースポークホイール仕様は、出るべくして出た感がある。興味深いのは、ホイールだけポンと変更で終わらせてないことだろう。

 従来サイズの燃料タンク(14L)と集合マフラー、キャストホイールのスタンダードモデルも当然あって、排気管が違えど、同じく6速化されたエンジンを積む。装備によって種類がいくつかあるので、ここで整理してみよう。キャストホイール、集合マフラーのスタンダード『CB1100』は、ABS付と、ABSが装着されていないのと2種類。それをベースに、ホイールリム部、ボディ外装、ケースカバー、フォークアウターなどをブラックアウトした『CB1100 BLACK STYLE』があり、それもABS有る無しで2種類。ワイヤースポークの『CB1100 EX』は、ABS有る無しに加え、ABS車にETCとグリップヒーターが装着されたEパッケージもある。2、2、3の3モデル7種類。やる気が伺える。

 前置きが長くなったけれど、今回、最も長い時間試乗したのは中でも注目度が高いであろうCB1100EX〈ABS〉Eパッケージであった。

_TOG3852.jpg
_D3T5787.jpg _MG_9613.jpg
より昔の“CB”のイメージに近づいた“ノスタルジックCB”モデル、CB1100EXが登場した。アルミリムスポークホイールや17リットル入り燃料タンク、そして2本出しマフラー。
IMG_0455.jpg IMG_0462.jpg IMG_0440.jpg IMG_0433.jpg
ライダーの身長は170cm。

 すぐに乗り込まず、まずは歩いて周りをぐるっと見て回った。写真で見た時よりスタンダードモデルとの違いがはっきり。シート表皮は古風なデザインに変わっていて、二本出し排気と大型燃料タンクでボリューム感が違う。エンジンもこれだけシルバー1色なので、押し出しが強い。メーターパネルの色が、40年以上前に市販車世界初の直4エンジンで世界をあっと言わせたCB750Fourを思い出させる深いグリーン(初代のK0は黒だけど)で、白いメーター針の先に蛍光オレンジをちょんと付けているところがニクイ。ニヤリとさせる小技を利かしていた。

 またがっても違いを強く意識した。シートがスタンダードモデルより高い。数値的には2cm高い。それでも身長170cmで、つま先ツンツンにはならず、しっかり力が入れられる中足骨まで両足が届く。ステップは太ももの付け根の真下にくる感じ。シートの高さもあって足関節の曲がりが楽で、アップライトなハンドルと合わせ、背筋はしっかり起き自由度も大きい。スタンダードモデルだと、乗車視線で、エンジンのヘッドカバーがタンク両側からはみ出て見えるけれど、このEXでは大型燃料タンクによって見えない。ほんの些細なこと。だけど、やっぱり印象は違う。

 エンジンをかけて、ブリッピングしてみると、低く歯切れのよい乾いた音。これがなかなかいいのである。気に入った(動画を観てね)。スタンダードモデルの集合マフラーが放つ高周波も悪くない。でも、個人的にどっちかというと、太く迫力がありながら耳をくすぐる、こっちの方が好き。たぶん、いや間違いなくかなり作りこまれた排気音だ。

 ETCとグリップヒーターを装着して販売される仕様だから、タコメーター内に“ETC”の文字が光るインジケータランプが最初からあって、ブラックの液晶を採用した中央のディスプレーには、グリップヒーターのスイッチが入っていることを知らせる表示が出る。後付ではなく最初から装備する特権とも言えるスッキリなおさまり具合。この日は外気温ヒトケタで寒くグリップヒーターは嬉しかった。

 中央のディスプレーには、このチェンジにおいて目玉のひとつである、シフトポジション表示が。これも、ないよりはあったほうが断然いいと思える機能である。かゆいところに手が届いた。1、2、3──とアラビア数字表示で、ニュートラルに入れると数字が消えて、速度計内に設けられた「N」マークが光る。それが慣れないうちは、数字が消えると一瞬、ギア抜けかな? なんて不安な気持ちになって、視線を左隣りに移してNマークが光っているのを確認して安心。ホンダらしく節度あるギアの入り方だし、バイク歴も30年だから、足の感覚でニュートラルに入ったか分かる。しかし、初心者やリターン組も含め、より多くのライダーが乗ることを考えて贅沢言うならば、ギアポジション表示のところに「N」なり「0」なりが出る方が使いやすいかなぁ。これも些細な事だけど。

 走りだすと、エンジンはより洗練されたとすぐに理解できた。トルクの出方が、とにかくフラットで、どの回転数からでも淀みなく力強い。意地の悪い人になって、いろんなギアで、急激なスロットルオン・オフをやってみたけれど、不快な部分が出てこない。6速ミッション化で、少し高めに、ワイドになったレシオもあって、スロットルを開けると速度の伸びが早い。加速していく時のギアチェンジにゆとりが出来て、チェンジ頻度も低くなり、速度のつながりが気持ちいい。低中速のトルクは十分にあって、5速、40km/hでアイドリングより気持ち高い回転数で流しながら、スロットル操作だけで、速度をのせていけた。6速に入れても走れるけれど、街中速度では心もとない部分もあるので、5速までがベターか。そうなると、高速道路走行においてトップ6速の有効性が見えてくる。燃費を伸ばせそうだ。6速化によって、より実用的に。これで得るものは多く、失ったものはないと思った。

 アルミリムを使ったワイヤースポークホイールはハブも含めて、フロントはキャストホイールと重量はほぼ一緒だそうだ。リアはこっちがちょっとだけ重い。ということはスタンダードモデルに対して約14kgの重量増は、マフラーと燃料タンクの分がほとんど。比べると、コーナー倒しこみではスタンダードモデルの方が明らかに軽快感はある。かといって、こっちが曲がりにくいってことではなく、ライダーの入力に対して何の抵抗もなく、スムーズに反応してバンクしていける。セルフステアは程よく、バイクに任せておけば楽しくコーナーリングしていけた。前後のサスペンションは、速度の低いところからでも動きが良い。前後のブレーキ性能は申し分ないが、ガーッと加速して、ぐいーっと力強くブレーキしてワインディングをぶんぶんに飛ばすより、前後18インチホイールでそれほど太くないタイヤ特有の、ヒラヒラと流れるような走りで、さっとコーナーをクリアしていく方が楽しい。70年代、80年代の空冷直4エンジンに大径ホイール車のヒラヒラ感ほどではないけれど、安定感はこちらが間違いなく高いので、安心して速度を上げていけた。軽快に走りたいならスタンダードモデルを私は選ぶ。EXはビッグネイキッドを自由に操っている面白さ。若干嗜好が違う。余談だけど、アクスル径が変わっていることなどで、前のCB1100にこの心くすぐるホイールはポン付け出来ないとのこと。

 ただ、少し気になった部分もある。太くなったタンクでより太ももが開くようになるのだが、私の体型(身長170cm、体重69kg)だと、ニーグリップがしにくい。どうしても燃料タンクの角部が足の内側に当たってしまう。流石に尖っていないので痛いほどではないのだけれど、膝の収まりが上手く行かない。乗る時間が長くなるにつれ、慣れていったけれど、気にならなくなるまではいかなかった。同じ日に試乗した私より長身のライダーに聞くと「まったく気にならなかった」という意見も複数あったので、良し悪しでなく、好み、乗り方、体型によるものもあるのだろう。だが、これでCB1100EXの魅力が大きく減点されたとまでは思わなかった。

 どこからでも湧き出るようなトルクで、クセのない空冷直4エンジン。ビッグタンクと6速化による快適性と実用性の向上。上質ながら気持ちを高揚させる排気音。金属の手触りとこだわりが伝わってくる見た目と仕上がり。テイストと実用性の両方を上げた。どこを取ってもホンダらしい緻密さを感じさせてくれた。昔を知らない若い世代のライダーは、自分のライフスタイルを豊かにする4気筒のネオクラシックバイクとして。若いころはライダーだったが、今は降りてしまった昔を知っている人は、押入れの奥から革ジャンを引っ張りだして、ホコリを叩き、また着てみたくなる。CB1100はそういうモデル。

(試乗:濱矢文夫)

_TOG3640.jpg _TOG3646.jpg _TOG3660.jpg
前後18インチホイールは、アルミ製のハブとリムを採用。ワイヤースポーク仕様とすることにより、よりレトロなCBイメージを高めている。 CB1100EXは2-1タイプの2本出しマフラーを採用。キャタライザーを集合部の目立たない位置に配置することにより、スッキリとしたエキゾーストパイプのデザインとなっている。パイプの曲げやパイプ同士の並びのベスト位置を見つけるのに苦労したとか。 メーターカバーには金属素材を使用し、質感を追求。文字盤にはスピンヘアライン加工を施している。CB1100EXではホワイトの指針にクロームの指針軸とグリーンの文字盤のコンビネーション。中央のLED窓にはギアポジションを表示するほか、NCシリーズや400CBシリーズで採用された燃費表示などの機能も追加された。
_TOG3682.jpg _TOG3667.jpg _TOG3673.jpg
より幅広く、そしてよりかさ上げすることによりイメージをまったく崩さずに約3リットルの容量アップに成功した燃料タンク。プレスライン形状も変更されている。 ついに採用された6速ミッション。従来と同サイズのクランクケースへ導入している。ベアリングの全幅を効率良く短縮するなど、内部スペースの見直しを行うことで可能としたという。 燃料タンク、シート形状の変更(ライディングポジション自体も変更されている)にあわせてサイドカバー形状も変更された。BIG-1からの流れを感じさせる三角形状から、かつてのCBをイメージさせるスタイルに。
_TOG3652.jpg _TOG3679.jpg _TOG3663.jpg
シリンダーヘッドカバーやステップホルダー、さらにAIリードカバーなど、曲面や複雑な形状を持つパーツも丹念にバフ掛けを行い、金属が持つ素材感と高い質感を追求。前後フェンダーはクロームメッキを施したスチール製、ウインカーもアルミボディに変更された。 ライダー側のクッション厚を20mmアップ。跨った際の膝まわりに余裕を持たせたライディングポジションに。また、ピリオン側のシートボトムのラインも下げて、たっぷりとしたボリュームのルックスに。 エキゾーストマフラーのサイズは、リアホイールのリムをしっかりと見せ、タンクボリュームとバランスさせるため、長すぎず短すぎないベストなサイズを追求したという。
IMG_0252.jpg IMG_0010.jpg IMG_0230.jpg IMG_0150.jpg
CB1100/CB1100EX販売キャンペーンを紹介する、ホンダモーターサイクルジャパンのCBシリーズ販売責任者、古賀耕治さん。手に持つのは成約者にプレゼントされるCB1100シリーズのイラストスケッチ。 CB1100/CB1100EXの開発責任者 本田技術研究所 二輪R&Dセンターの今田光宣さん。 スポーツモデル全体の乗り味まとめ役 本田技術研究所 二輪R&Dセンターの萩原紳治さん。 CBシリーズ全体の面倒を見ている責任者 本田技術研究所 二輪R&Dセンターの後藤悌四郎さん。
_MG_9550.jpg
 
●CB1100EX 主要諸元
■型式:EBL-SC65●全長×全幅×全高:2,205×835×1,130《1,145》mm■ホイールベース:1,490mm●最低地上高:135mm■シート高:785mm■燃料消費率:31.0km/L(国土交通省届出値 60km/h定地燃費値 2名乗車時)19.3km/L(WMTCモード値 クラス3-2 1名乗車時)■最小回転半径:2.7m■車両重量:257〈259〉《260》kg■燃料タンク容量:17L■エンジン種類:空冷4ストロークDOHC直列4気筒■総排気量:1,140cm3■ボア×ストローク:73.5×67.2mm■圧縮比:9.5■燃料供給装置:PGM-FI■点火方式:フルトランジスタ式バッテリー点火■始動方式:セルフ式■最高出力:66kw[90PS]/7,500rpm■最大トルク:91N・m[9.3kgf]/5,500rpm■変速機形式:常時噛合式6速リターン■ブレーキ(前×後):油圧式ダブルディスク×油圧式シングルディスク■タイヤ(前×後):110/80R18 M/C 58V×140/70R18M/C 67V■懸架方式(前×後):テレスコピック式×スイングアーム式
■車体色:キャンディーアザリアンレッド、パールサンビームホワイト、ダークネスブラックメタリック、インディーグレーメタリック■メーカー希望小売価格:1,102,500円(消費税抜き本体価格 1,050,000円)〈1,151,850円(消費税抜き本体価格 1,097,000円)〉《1,252,800円(消費税抜き本体価格 1,160,000円)》
※〈 〉は<ABS>モデル、《 》はE Packageのデータです。
※E Packageは、CB1100EX<ABS>仕様にETC車載器と、グリップヒーター、および専用インジケーターランプを標準装備したモデル。受注生産車となります。4月18日発売。

 
Honda CB1100/CB1100 BLACK STYLE

_TOG4360.jpg
_TOG3448.jpg
_TOG3474.jpg _TOG3478.jpg _TOG3461.jpg
CB1100の前後18インチホイールは従来からの変わらずのキャストタイプ。(写真はBLACK STYLE) エンジンはPGM-FIのセッティング変更が行われ、6速ミッションの採用と合わせて燃費の向上も達成。(写真はBLACK STYLE) BLACK STYLEのエンジンサイドカバーはブラック塗装されるが、ノーマルのCB1100ではこのエンジンサイドカバーを始めシリンダーヘッドカバー、ステップホルダー、AIリードカバーなどがバフ掛けされる。
_TOG3491.jpg _TOG3485.jpg _TOG4472.jpg
メーターはCB1100EXシリーズ同様に新型に。各インジケーターをブラックアウトし消灯時はスッキリ、点灯時は視認しやすいデザインとしている。センターに集中レイアウトされた大型液晶には見やすい“ネガ表示”が採用されている。CB1100の色調は赤指針とブラックの文字盤でCB1100EXとの差別化を図っている サスペンションはフロントに正立タイプ、リアにメッキ処理が施された単筒タイプを採用。プリロードアジャスターにより、フロント無段階、リア5段階の設定が可能。ブレーキはフロントにφ296mmフローティングディスクをダブルで対向4ピストンキャリパーとのセットで、リアはφ256mmシングルディスク+シングルピストンキャリパー。ABSをタイプ設定している。 CB1100EX(写真左)とCB1100(写真右)のタンク、シートの違いが分かる。タンクのプレスラインを始めかなりの部分で容量約3リットルを稼ぎ出している。CB1100のシートは好評の“e-cushion”を継続採用。シートレールを低く設定し、シート自体も低く細身のタイプとすることで750クラス並みの取り回し性を実現した従来モデルと同一のレイアウトを継承。
_MG_9527.jpg
 
●CB1100 主要諸元
■型式:EBL-SC65●全長×全幅×全高:2,205×835×1,130mm■ホイールベース:1,490mm●最低地上高:125mm■シート高:765mm■燃料消費率:30.0km/L(国土交通省届出値 60km/h定地燃費値 2名乗車時)18.9km/L(WMTCモード値 クラス3-2 1名乗車時)■最小回転半径:2.7m■車両重量:244〈246〉kg■燃料タンク容量:14L■エンジン種類:空冷4ストロークDOHC直列4気筒■総排気量:1,140cm3■ボア×ストローク:73.5×67.2mm■圧縮比:9.5■燃料供給装置:PGM-FI■点火方式:フルトランジスタ式バッテリー点火■始動方式:セルフ式■最高出力:65kw[88PS]/7,500rpm■最大トルク:93N・m[9.5kgf]/5,000rpm■変速機形式:常時噛合式6速リターン■ブレーキ(前×後):油圧式ダブルディスク×油圧式シングルディスク■タイヤ(前×後):110/80R18 M/C 58V×140/70R18M/C 67V■懸架方式(前×後):テレスコピック式×スイングアーム式
■車体色:ソードシルバーメタリック、パールスペンサーブルー、CB1100 BLACK STYLE グラファイトブラック■メーカー希望小売価格:1,029,000円(消費税抜き本体価格 980,000円)〈1,078,350円(消費税抜き本体価格 1,027,000円)〉
CB1100 BLACK STYLE 997,500円(消費税抜き本体価格 950,000円)〈CB1100 BLACK STYLE<ABS> 1,046,850円(消費税抜き本体価格 997,000円)〉
※〈 〉は<ABS>モデルのデータです。
IMG_0058.jpg


| 新車プロファイル「CB1100/CB1100EX」のページへ |


| ホンダのWEBサイトへ |