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このところニューモデルの話題が少なかった感のあるヤマハだが、いよいよ再攻勢が始まる。発表されている新中期経営計画によれば2013年から2015年までの3年間で、実に250のニューモデルが投入されるという。この数、RVやSPV(電動車)、マリンなども含めての数字だから、二輪はその約半分としても100機種を超えるニューモデルが続々と登場してくることになる。その口火を切ったのがMT-09であったり、SMAXというわけだ。
二輪車のコア技術として紹介されたのは、高性能、軽量、低燃費の3項目。まず高性能のポイントでは、MotoGP技術のフィードバック、そしてクロスプレーンコンセプト、さらに車両制御技術。軽量化へのポイントでは、車両レイアウトの見直し、材料技術の追求、薄肉成形技術の確立。低燃費のポイントでは、次世代F.I.技術、高トルクハイギヤード、低ロス馬力、の3点を上げている。
展示会場には、YZF-R1のクロスプレーンコンセプトを採用したクランクシャフトの実物や、MT-09の3気筒エンジンと一緒に、見慣れないツインエンジンが置かれていた。砂型ケースのいかにも試作エンジンという風貌のこのエンジンが、クロスプレーンコンセプトにより開発された新型ツインだった。これまでのツインでは定番の360度クランクや180度クランクとはまったく違う、90度、270度といった位相を持つ、ちょうどクロスプレーンコンセプト4気筒を半分に切ったクロスプレーンコンセプト2気筒だ。まだまだ本当に試作段階のようで、一切の詳細情報は無かったが、これもヤマハが進めるプラットフォーム戦略の一翼を担うようになることは間違いないだろう。
低コストへの挑戦というのも目標として挙げられており、東南アジア向けモデルでも普及が急速に進んでいるF.I.を例として、現在の40%のコストダウンをさらに押し進めて、2014年度にはキャブレターの価格にほぼ近いところまでコストダウンを図ることを計画しているという。
説明会の後半、滝沢正博事業開発本部長にバトンタッチして「新しい乗り物の提案・挑戦」と題して行われたプレゼンテーションでは、“サイド・バイ・サイド”と称される3人乗りの4輪マルチパーパスモデル、VIKINGが紹介された。
Recreation Off-Highway Vehicle(ROV)として、すでに5月11日から海外で発売されている新製品だが、F.I.採用686ccエンジンを最大積載量270kgを誇る軽量シャシーに搭載。優れたハンドリングや悪路走破性で早くも人気を獲得しつつあるという。いわゆるATVの世界ではバイクテイストのタンデムシートスタイルから、サイド・バイ・サイドと呼ばれるクルマ的な横並びのシートを持つコクピット、使い勝手を前提としたモデルへと需要は変化してきているという。このVIKINGでも横に3名が乗車でき、農業分野やオフロードでの実用性はもちろん、スポーツやレジャーユースにも対応できるマルチパーパスぶりが高く評価されている。
そしてラストが二輪ファン注目のニュービークル、Leaning Multi Wheel(LMW)と呼ばれる前2輪、後1輪の3輪を備えたコミューターだった。3輪コンセプト自体は、今やさほど珍しくはなくなっているが、ヤマハのチャレンジは、この3輪ビークルをファン領域、スポーツ領域も楽しむモデルとして開発していることだろう。前2輪で安定性を確保。そしてリーニング・メカニズムと合わせて優れたハンドリングを生み出しているという。こちらも詳細はまだ発表されていないが、二輪のスポーツ性を損なわずに、転倒等の危険性を軽減することで、新たなユーザー層にもアピールしていきたいという。
ちょっと気が早いが、今年の東京モーターショーではこれらの技術を元にしたニューモデル群が登場する予定というから大いに期待したい。また、MT-09を基本モデルとしてプラットフォーム化したバリエーションモデル等も開発中だ。いよいよ眠れるヤマハが覚醒してくれた、という期待も込めて今後のヤマハの動きに注目したい。
Leaning Multi Wheel(LMW)と呼ばれる前2輪、後1輪の3輪を備えたコミューター。その名の通り「リーン(傾く)」する3輪車。コンセプト自体は、ヨーロッパメーカーなどから実際に製品も発売されており、さほど珍しい存在とは言えないが、ヤマハのLMWは、3輪ビークルでファン領域、スポーツ領域も楽しむモデルとして開発しているということ。 |
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